ドラフト総決算2012 ~第8章~ ドラフトの主戦場はどこか?

選手コラム

 対決

 花巻東vs大阪桐蔭が3月21日に1回戦で対戦する。193cmから151kmを投げる大谷翔平、197cmから147kmを投げる藤浪晋太郎、一体どちらが勝つのか。対戦に向けて練習試合が解禁となると、大谷は福知山成美との試合で146kmを記録して3回をノーヒット、打っても2本塁打を放つと、同じ日に藤浪が桜宮との試合で145kmを記録し7回4安打8奪三振1失点。大谷投手を6球団、藤浪投手を7球団のスカウトが視察し期待を持たせるのに十分な投球を見せた。そして、3月上旬に、北海道日本ハムは大谷翔平投手の1位指名を決める。

 3月17日には大谷が龍谷大平安と対戦、高橋大樹を三振に斬ってとるなど6回10奪三振のピッチングを見せると、藤浪も市立尼崎を相手に146kmを記録し12三振を奪い、万全の状態で対決に臨んだ。しかし、結果は意外なものだった。

 大谷は立ち上がりから四死球を許す。150kmを記録するも落ち着かないマウンドだった。対する藤浪も引きずられるように調子が上がらない。2回に4番・大谷にライトスタンドにホームランを浴びるなど4回まで2失点、大谷は四死球を出すも何とか無失点に抑えていた。5回に2三振を奪った大谷だったが、6回に四死球から3失点、7回は森友哉の2ベースに田端良基のホームランで追加点を奪われると、9回は四死球を連発、田端良基を骨折させ、最後は頭への死球を与えてしまいマウンドを降りる。

 対する藤浪は調子は良くなかったものの打たせて取るピッチング、4回までの2失点だけに抑え、8安打2四球12奪三振に抑えて勝利を収めた。対戦した両校の投手が150kmを記録した初めての試合となった。しかし、大谷投手は7安打11四死球11奪三振、これが甲子園最後の投球となる。一方藤浪は苦しんだものの、この勝利をきっかけに春夏連覇、甲子園で負ける事は無く、運命を分けた一戦となった。

 大谷が去った後

 大谷が甲子園を去った後、二人の対戦を見て「予想以下だった」と発言した愛工大名電・濱田達郎、秋のピッチングには程遠い内容だったものの、粘りの投球でベスト4まで勝ち進む。準決勝でその濱田に先制パンチを浴びせたのは光星学院、田村龍弘、北條史也のコンビ、初回に3番・田村の2ベースを4番北條がタイムリーで返し先制すると、逆転を許しながらも後半に濱田を攻略し勝利、秋の明治神宮大会の決勝のカードだったが、再び光星学院が決勝に勝ち進む。

 昨年夏、明治神宮大会と、3大会連続の決勝に勝ち進んだ光星学院、大阪桐蔭の藤浪晋太郎と対戦する。田村が5打数で3安打、北條が4打数で2本の2ベースを放つなど、藤浪に12安打を浴びせるも、試合は7-3で大阪桐蔭が勝利、藤浪が見せた成長の証しである粘りの投球と、光星学院にも劣らない大阪桐蔭の攻撃陣でチーム力が勝った。しかし、田村・北條と藤浪の同郷対決の決着はつかなかったと言っていい。

 ドラフトの主戦場はどこか?

 甲子園の熱戦が続くなか、東京六大学でも異変。慶大・福谷浩司の姿がマウンドに無い。右内転筋痛を発症してしまう。その後短いイニングを投げるも重くて強い球は威力が減っていた。間隙を突くように早大・杉山翔大が5本塁打でホームラン王を獲得すると、昨年まで高校生だった日大三・吉永健太朗が4勝を記録する。法大・三嶋一輝がリリーフとして防御率1.75でリーグ3位となるも1勝2敗、吉永は防御率でも1.25でリーグ1位、奪三振も40でリーグ1位を記録、ドラフトの主役となった4年生から、大学野球の主役の座を奪い去った。

 東都リーグも開幕を迎える。亜大・東浜もオープン戦は順調に好投を続け、結果だけではケガの影響は見られないかに思えた。開幕戦の登板には12球団30人のスカウトが集まる。しかし、この試合で東浜が記録した球速は142km、6回で8安打を許して3失点と本人も「最悪の内容」と言うものだった。

 しかしここからが凄い。主役から離れるかに見えた東浜だったが、2戦目から4連勝、そのうち3完封、最終戦でも完封し、通産31勝21完封を達成する。球速は140km前半だが、持っている経験が違う。スライダーやカットボールを駆使し、大学レベルでは相手にならないというピッチングを見せた。

 ドラフトの主役は渡さない。そんな風に見えた投球に千葉ロッテが反応、ドラフト1位候補であることを公表する。しかし東浜は生田監督と共に東芝を訪れ、社会人入りを伝えるのだった。

 続く

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
ドラフト会議ホームページ2024 Draft home page

コメント