2013年ドラフト総決算~雌伏~

選手コラム 2013年ドラフトニュース

 2013年ドラフト会議、始まりは2007年にそれぞれの野球選手の誓いからスタートした。吉田一将、小林誠司、大瀬良大地、松井裕樹などがドラフト1位へ進んでいく、6年間のストーリーの第2章。

2009年甲子園

 2009年春の甲子園センバツ大会、決勝は花巻東vs清峰、1回戦で152km/hを記録し、1回戦2回戦を連続完封し勝ちあがったNO1左腕と評価を受けた菊池雄星投手と、同じく1回戦で148km/hをマークし大会NO1右腕と評価を受けた今村猛投手が激突した。試合は7回に1点を失った菊池雄星に対し、今村猛は完封、1-0で清峰が優勝した。NO1右腕とNO1左腕は試合後に「またここで戦おうな」と誓った。

 

 菊池雄星との再戦を望む清峰の今村の前に大きく立ちはだかったのは、長崎日大・大瀬良大地だった。7月22日、佐世保野球場。準々決勝の長崎日大vs清峰の試合は、150km/hを記録していた今村猛投手と145km/hの速球を投げるまで成長した大瀬良大地投手が先発し、プロのスカウトも集結した。今村は初回に1アウト後に三振を奪ったものの振り逃げとなりランナーを許すと2点、これはこの夏初失点となった。さらに5回にも1失点で3失点、9三振を奪い意地を見せるが、対する大瀬良大地がセンバツ優勝の清峰を4安打9奪三振に押さえ完勝した。今村は試合後に涙が止まらなかったが、「この経験を活かしたい」とプロ入りを決意する。

 大瀬良大地は甲子園出場を果たした。今村からは菊池雄星との約束を託された。しかし予選で力を使い果たした大瀬良の調子が甲子園で上がらない。初戦の作新学院戦は10-8と乱打戦で接戦となるも登板することはなかった。そして続く2回戦は花巻東、今度は今村猛を倒してきた大瀬良大地が菊池雄星と対戦する。

 菊池雄星も大瀬良大地も調子は良くなかったが5回までは菊池雄星が1失点、大瀬良大地は無失点に抑えた。しかし6回にそれぞれ2失点をして3-2、大瀬良は7回裏に2失点して同点に追いつかれたところでマウンドを降りライトに向かう。8回表に菊池雄星から勝ち越し点を奪い5-4となったものの、その裏に2番手投手がピンチを招くと大瀬良大地が再びマウンドに登る。しかしノーアウト満塁としてから走者一掃のタイムリー2ベースを打たれて万事休す、9回まで5失点したものの投げきった菊池雄星が勝利した。

 今村の代わりとして大瀬良大地を倒した菊池雄星は準決勝で中京大中京に敗れる。8月24日、中京大中京は日本文理との死闘の末に優勝、4番を打ったのは堂林翔太、そして3番を打ったのは河合完治である。

 

雌伏の時

 東都大学リーグでは日本大学が2008年の秋に1部最下位となり、19シーズンぶりに2部リーグでプレーする事になった。エースで4年生の十亀剣や3年生の3年生の野田雄大など高校で活躍した投手をそろえながらもチームはまとまりとやる気を欠き、昨年まで1部にいたチームが2部で最下位争いをしていた。何とか5位にとどまり2部3部入れ替え戦は免れたものの、東都1部リーグ2度の優勝を誇った鈴木博識監督が責任を取って辞任した。

 2年生となった吉田一将は青森山田高校時代に負ったケガのため1年間を棒に振り、2年生となりようやく本格的な練習ができるようになったところで、ベンチメンバーにも名前は無かった。しかし、吉田の目にはようやく先が見え始めた。体が日に日に大きくなり、高校時代のひ弱さが無くなっていた。思い切り腕を振ってもケガをしない身体になりつつあった。

 松井裕樹は2008年に青葉緑東リトルシニアに入ると、プロでも投手育成に定評のある小谷正勝氏に指導を受けた。そのときに習得したカーブは、プロ野球のスカウトが見て「高校生を含めても関東NO・1」と話すほどに磨かれていた。小柄なエースは着々と力をつけていった。

 

別れと出会いの秋

 熱い夏を戦ったメンバーがドラフト会議を迎える。 ドラフト会議では菊池雄星に6球団が指名し、埼玉西武の渡辺監督がくじを引き当てる。今村猛は広島が1位指名、堂林翔太、今宮健太などもプロ入りする。そんな中、プロ志望届を提出したもののプロ入りしなかった選手もいる。金光大阪の陽川尚将は巨人の育成ドラフト3位で指名されたものの、指名順位を不服としてプロ入りを拒否し、東京農業大に進んだ。また北海道に187cmの大型投手がプロ志望届を出していた。帯広大谷の杉浦稔大、大型ながら球速は137km/h、三振を奪うが被安打も多いまだ未完成な投手でプロからの指名は無く、國學院大に進む事になる。

 長崎日大の大瀬良大地は九州共立大へ、河合完治は法政大へ進学した。同じ夏を戦った選手がプロ、大学などに別れることとなった。

 

 ドラフト会議が終わった11月、いわき市内でセレクションを受けて集められた選手達がいる。「いわき松風クラブ」。監督、コーチが選抜した選手の中で主軸と決めたのは、中央台南中の内田靖人と、勿来一中の園部聡だった。来年夏の全日本少年軟式野球大会を目指すことになる。

 

 また明治神宮大会では新戦力が活躍を見せる。愛知学院大は初戦で明治大の1年生・野村祐輔に完封されるが、2年生の浦野博司が2番手で登板し2奪三振で全国デビューを果たした。また高校の部では東海大相模の一二三慎太と帝京の伊藤拓郎が注目された大会だが、神戸国際大附の岡本健投手が5回4安打無失点と好投を見せていた。優勝したのは大垣日大、エースはサイドスローの葛西侑也投手だが、決勝戦でリリーフ登板し勝利投手となったは阿知羅拓馬投手だった。

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