履正社・寺島成輝投手が横浜高に勝利、10球団スカウト絶賛

寺島成輝, 履正社高

履正社vs横浜高の対戦、履正社はエースの寺島成輝投手が先発し、9回148球を投げ切って6安打4奪三振で1失点に抑え5-1で勝利した。新たな発見もあったという寺島投手のピッチングに、プロ10球団のスカウトも絶賛した。

149キロ記録

寺島投手は初回、ショートへの内野安打と捕手の野選、そして犠打により1アウト2,3塁のピンチを迎え、横浜4番・村田雄大選手に犠牲フライで簡単に1点を許してしまう。しかし2回の攻撃中に雷雨のため1時間以上にわたる2度の中断があり、また味方の3ランホームランなどで点差が広がり、「一度オフにしました」と気持ちをいったん切ってからまた入れ直した。

その後は、変化球を中心に打たせて取る投球を披露した。球場表示では146キロ、巨人スカウトのスピードガンでは149キロを記録したストレートを要所で使うようにしたが、変化球をうまく使う事でストレートが生きてくることを感じ、「新たな発見だった」と寺島投手は話した。

ライバルとの対戦

高校BIG3と呼ばれる二人のエース同士の投げ合いを望んでいた。しかし藤平尚真投手が先発しなかった事に対して、「本当は初回から投げ合いたかった」と話した。中学時代に代表チームでチームメイトだった横浜の公家響選手に一塁ベース上で「なんで先発じゃなかったの?」と質問もしていたという。

二人は公家選手を通じてで昨年秋からSNSで繋がっていたが、寺島投手は、「自分と同じ境遇の人間がいた。それが藤平でした」と話すように、1年時から注目されながらも甲子園に出場できていなかった藤平投手を意識していた。そしてこの夏の地区大会前に「最後の夏、甲子園で戦おう」と約束をしていたという。

最初からの投げ合いという形でなく、5-1という勝利もなかなか実感できないかもしれないが、この日の寺島投手は間違いなく勝利した。

プロスカウトもあらためて高評価

寺島投手の評価はすでに固まっているが、藤平投手との投げ合いを1失点完投という形で制した事で、あらためて評価をしている。

巨人・山下哲治スカウト部長:「2人とも素晴らしい投手であることは間違いない。プロ相手にしても完投できる能力がある。」

千葉ロッテ・林信平球団本部長:「非常に投げっぷりが堂々としている。左で140キロ後半のストレートを投げられるというのは大変な魅力で、完成度の高い選手。甲乙つけがたい2人。どちらにするか選択を悩むかもしれない。」

中日・米村スカウト:「横浜相手なら力んだり、違う投球をするかと思ったけど、カウントを取りにいくとき、追い込んで三振を狙うときも変わらなかった」

オリックス・中川スカウトグループ長:「寺島投手はこれまで何度も見ているが、変化がないというか波が少ない。中断とか、コンディションの難しいところも関係なかった。これは非常に大事なことでセルフコントロールができている。高校生ではなかなかできない」

北海道日本ハム・大渕SD:「寺島は完成されていて力を発揮している。」

阪神・畑山統括スカウト補佐:「これだけの相手に高校生なら力んでもおかしくないのにいつも通り。打者をみながら力の入れどころを考えている。高校生レベルで強力打線を相手に損な投球ができる投手はなかなかいない。スライダーの曲がりも良くなってきている」

寺島投手は今大会ではまだ本気で力を入れた球を投げていない。投球内容だけ見ていると140キロ前後の速球とスライダーで、松井裕樹投手のような三振を奪いまくる派手な投球は見せないが、昨年の小笠原慎之介投手かそれ以上の底知れない力を感じさせる。変化球を磨けば、プロでも1年目からローテーションの一角として10勝を期待できる投手になりそうだ。

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「変化球を見せることで真っすぐも生きた」。三振は4個。27アウト中、2併殺を含む15アウトを内野ゴロで奪った。最速は球場表示で146キロ、巨人のスピードガンで149キロを計測した。6安打で1失点完投。雷雨による2度の中断も集中力を切らさず148球を投げ抜き「全国トップクラスの打線を抑えて、ステップアップできた」と頬を緩めた。

横浜打線が真っすぐを狙ってくると考え、捕手の井町と相談してスライダー、カットボールを主体に組み立てた。球場の表示はMAX146キロだったが、一部のスカウトのスピードガンではMAX149キロを記録。鋭い直球をまじえてゴロを打たせた。

ドラフト候補の履正社・寺島と横浜・藤平が直接対決するとあって、国内10球団のスカウトが視察し、ロッテは林球団本部長も訪れた。通常は出場校が1巡すれば撤収するが異例の残留。巨人・山下スカウト部長は「寺島も藤平も失点後をしっかり抑えた。(Aランクの)評価は変わらない」とうなずいた。

最後の夏、聖地でその約束は果たされた。最速149キロ、進化したカットボールを主体に投げ抜いた148球-。整列後、2人は互いに「ありがとう」と言葉を掛け合った。「この勝利でもっと自分は上のレベルに行けると確信しました」と言いきった寺島。もう遮るものはない。

悪条件にも負けないタフネスぶりに、日本ハム・大渕スカウトディレクターは「こういう状況だからこそ、本当の力が分かる」とうなった。


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