作新学院が準々決勝で木更津総合を下し、ベスト4進出を決めた。今大会のヒーローとなった今井達也投手は、この日は疲れを見せたものの9回に152キロを記録する驚異的な投球を見せ、早川隆久投手との投げあいにも勝利した。
152キロ右腕がねじ伏せる
今大会は寺島成輝投手、高橋昂也投手、堀瑞輝投手を始め、鈴木昭汰投手、早川隆久投手、河野竜生投手など左腕投手が特に注目を集めていた。作新学院の今井投手は初戦で尽誠学園の左腕・渡辺悠投手に投げ勝つと、3回戦で花咲徳栄の高橋昂也投手に、そしてこの日は木更津総合の早川隆久投手に投げ勝った。
尽誠戦は140キロ中盤の速球主体に投げ最速は151キロ、花咲徳栄戦はスライダーを主体に最速は152キロ、そしてこの日は「早川君は球数が少ない。自分のチームもできるだけ守備の負担を減らしたかった。それには打たせて取るのがベスト」と話し、カットボールを中心にコントロールを重視した投球を続けた。しかし9回にはギアチェンジをして150キロ台を連発し152キロを記録、最後の打者となった早川隆久投手に対しても151キロの速球で空振り三振を奪った。
視察した阪神の平塚克洋スカウトは「打者を見極めた投球技術を覚えた」とさらなる進化を評価した。今井投手は140キロ後半の速球を持ちながらも試合で結果を残せずにここまで来たが、最後の夏に今井投手のすべてを見せてヒーローとなり、プロもドラフト1位候補として評価する投手となった。
3試合連続弾
また作新学院は入江大生選手が3試合連続となるホームランを放った。入江選手は186cmの体があり、146キロを投げる本格派右腕としてこの春の春季栃木大会では背番号1を背負っていた。しかしその大会後にエース失格を言い渡され、打者として専念、「三振をとるよりも、本塁打の方が気持ちいい。」と話し、「今井に託して自分は打つ方で」と話していた。
今大会は3試合連続弾となり、さらに記録を伸ばす可能性もある。今井投手と同じように最後の夏の甲子園で大きく飛躍を遂げた入江選手にも注目をしたい。
「早川君は球数が少ない。自分のチームもできるだけ守備の負担を減らしたかった。それには打たせて取るのがベスト」。今井はそんな早川をお手本にした。3回戦同様にカットボールでカウントを稼いだ。直球は140キロ台前半と抑えめにしたが、5回2死二、三塁のピンチでは147キロ。8回2死二塁では146キロを外角低めに決めるなど、勝負どころでは力を込めた投球内容でネット裏、阪神の平塚克洋アマスカウトを「打者を見極めた投球技術を覚えた」とうならせた。
恐るべきパワーを発揮したのは一回だ。入江が今大会無失点の左腕、早川の出はなをくじいた。真ん中に入ってきた139キロの直球を見逃さない。先制弾をバックスクリーン左に打ち込んだ。
「自分の時は、早川投手の球が甘かった。準決勝、決勝と勝つために、今度は少し意識して(本塁打を)狙っていく」
「流れを持ってこられて良かった」。5月まで投手で背番号1をつけていたが、結果が出ず、打者に重きを置いた。それからは通算16発の量産ぶり。この日は7回にブルペンで投球練習し、いざという際の登板にも備えた。「甲子園が楽しくてしょうがない。早く打席が来いと思う」と準決勝へ胸を躍らせた。
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