広島・九里亜蓮投手がルーキー初勝利、大瀬良、東浜に負けない

広島カープルーキーニュース

 広島のドラフト2位ルーキー・九里亜蓮投手が開幕2戦目の先発し、6回5安打1失点と九里投手のピッチングを見せて初勝利、ルーキー全体で一番星となった。同じ広島のドラフト1位・大瀬良大地投手や、亜大で共に凌ぎを削った東浜巨投手にも刺激を与える。

 

打たせて取る

 九里投手が亜細亜大時代から続けている投球スタイルが、プロのマウンドでも変わる事無く見られた。9回を完封しても奪三振は1つとか2つとか、そういうピッチングが九里投手の持ち味で、力のあるストレートと小さく沈む球を低めに集めて打ち取っていく。この日も6回を投げて5安打も1失点、奪三振は0と九里投手の良い投球だった。

 九里投手は2012年の秋のリーグ戦で防御率0.70を記録し、中央大の鍵谷陽平投手の0.97、東浜巨投手の1.02を上回り最優秀防御率となった。そして2013年の春、東浜巨投手の後のエースとして期待されたが、プロ入りを目指して球威アップや三振を奪える投球を望み春の初戦で5回2/3を投げて10三振を奪った。しかし8安打で自責点5で敗戦投手となり、生田監督からも厳しく叱られて先発2番手に降格してしまう。

 そして2013年秋は再び持ち味の打たせて取る投球となり6勝0敗を記録した。付け加えると、ドラフト後の明治神宮大会では八戸学院大戦で7回2安打12奪三振、決勝の明大戦でも5回2安打6奪三振と三振も奪える投球を見せ、このようなピッチングもできるという実力の高さを見せている。

 

ライバル多し

 九里投手がライバルとする相手として、まずは同世代で特に同じ広島のドラフト1位・大瀬良大地投手となる。最後の秋に大学王者となったものの、ドラフト会議では大瀬良大地投手がNO1投手と評価され、3球団がドラフト1位指名した。大瀬良大地投手のように最初から先発の枠が決まっていたわけでは無かった。オープン戦で結果を残して2戦目の先発を勝ち取った。

 次にライバルと見るのが福岡ソフトバンクの東浜巨投手。亜大時代に1年上の先輩だった東浜投手は、東都の記録を次々と塗り替えるレジェンドであり、チームの大黒柱だった。3年間東浜投手に次ぐ2番手投手として投げ続け、練習では球数を投げ込んでフォームを作る東浜投手に負けじと球数を投げ込んた。

 そうして作られたコントロールで、今年はまず東浜巨投手よりも先に勝ち星を挙げた。九里投手の活躍は東浜投手にとっても刺激となるだろう。まだ先発の枠を掴みきれていない東浜巨投手にも注目される。

 そして最後は現在亜大4年の山崎康晃投手。昨年春は先発1番手を奪われ、日米大学野球では九里投手は代表漏れしたが、山崎投手は代表でリリーフとして防御率0.00を記録しMVPに輝いた。自分よりも速い150km/h台を連発する山崎投手は、来年はプロで対戦する相手となる。同じチームで山崎投手の凄さを知っている九里投手にとって、先に差をつけておきたいライバルだろう。

 

 涙はなかった。初のヒーローインタビューを受ける九里は、満面の笑みを浮かべた。開幕2戦目にして、12球団の新人初勝利を手に入れ「率直にうれしいです。ウイニングボールは親に渡します」と感謝。スタンドで見つめた家族に誇らしげに胸を張った。

 新人離れしたマウンドさばきで谷繁竜を手玉にとった。この日の18アウトのうち、2併殺を含む15個を内野ゴロで稼いだ。奪三振もゼロ。身上の打たせて取る投球の真骨頂を披露した。22日のソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクD)では4回8失点で炎上。だが、公式デビュー戦では大学時代のセット投球に戻し、結果につなげた。

 理想は「勝てる投手」。転機は亜大2年の春だ。初先発した青学大戦で6回まで1安打に封じながら、3点リードを終盤に逆転された。スピードばかりを求めたためにスタミナ切れし「速いだけじゃいけない。そんなことをしていたら勝てない」と反省。多彩な変化球すべてで勝負できるようにモデルチェンジした。

 ライバルよりも、一足先に初勝利にたどり着いた。入団発表前夜の昨年12月8日。大瀬良と広島市内のお好み焼き店にふらりと入り「お互い活躍せんと、面白くねえだろ」と健闘を誓い合った。4月2日のヤクルト戦(マツダ)に登板予定のドラ1右腕について質問されることも多く「(大瀬良)大地は大地」と答えることが多いが「アイツに負けたくない」が偽らざる本音だ。

 6回を5安打1失点。奪った三振は一つもなかった。18アウトのうち、15アウトは2併殺を含む内野ゴロで奪った。「それが自分の持ち味ですから」と胸を張る。直球は最速146キロだったが、大半が140キロに満たない。スライダーやカーブで目先を変え、さらにツーシーム。亜大で1年先輩だった東浜(ソフトバンク)に直伝された沈む変化球がさえわたり、内野ゴロの山を築いた。

 九里を前田健に続く2戦目に抜てきし、開幕2連勝。野村監督は「本番に強い。100点満点」と目を細めた。「まだ1勝しただけ。毎年コンスタントに2桁勝てる投手になるのが目標」。強心臓ルーキーはどこまでも堂々としていた。

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