セリーグは広島カープが連覇を果たした。しかし今年の優勝は、20代の先発陣が台頭し、新たなチームによる優勝と感じさせるものだった。
20代の投手陣
今年は2014年ドラフト2位の薮田和樹投手が14勝3敗、2015年のドラフト1位・岡田明丈投手が12勝5敗、2013年ドラフト1位の大瀬良大地投手が9勝2敗、2011年ドラフト1位の野村祐輔投手が9勝5敗だった。ここ数年のドラフト上位で獲得した投手が、チームの優勝に大きく貢献した。
特に注目されるのは薮田投手か。2014年のドラフト会議で薮田投手の名前はそれほど出てこなかった。というもの亜細亜大でプレーしていたもののリーグ戦では4年間でわずか2試合しか登板していなかった。しかし担当スカウトが練習に足を運び、松田オーナーも「ビデオを見たらフォームはバラバラ。ただ、150キロをバンバン投げるポテンシャルはあった」と評価した。
ドラフト1位で獲得した投手も順調に勝ち星を伸ばしていった。1位投手だから当たり前というかもしれないが、1位で獲得した投手も思い通り勝ち星を残せる投手まで育てることができないケースもあり、非常に評価できる点といえる。
スカウトの目と信頼
2012年にドラフト2位で鈴木誠也選手を指名しているが、ドラフト直前の会議でも全体的には3位4位で獲得できればという評価だったという。担当の尾形スカウトは、1位候補にも挙げられていた光星学院の北條史也選手と比較をし、「立ち姿が格好良く、走る姿もいい。野球センスを感じた。打ち取られると悔しさを態度に出す。何より野球に真っすぐな気持ちがプロ向きだと感じた」と、松田オーナーや他のスカウトを説得した。
当時の野村監督が北條と鈴木の「どっちが足速いの?」という質問に「鈴木の方が速いです」と尾形スカウトは即答し、「潜在能力、バネが違います」と続けた。これで鈴木選手を2位で指名することが決定し、今年4番を打つ選手となった。
育成といえば広島カープだった。使える資金が少ない中で、素質ある高校生などを獲得して育てた。育てた選手がFA等で他球団に流出する時代もあったが、あきらめる事なく選手を育て続けた。
逆指名ドラフト時には、有力選手の確保に走っていたが、従来のスカウト活動を取り戻し、担当スカウトの目と、それを信じる首脳陣によって信頼の中で選手の獲得ができている。「この選手ってこんなに良かったんだ」と思う事が広島カープの選手には多いが、チーム内では「当然」という事なのだろう。
2016年のドラフトでも加藤拓也投手、高橋昂也投手、床田寛樹投手、坂倉将吾捕手、アドゥワ誠投手、長井良太投手という素質の高い投手を獲得しており、彼らも2年後くらいには最強広島のメンバーになっていそうで、この強さは当分続きそうだ。
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