亜大・九里亜蓮投手が5安打10奪三振で完投、亜細亜大が5連覇

九里亜蓮, 亜大

 東都大学リーグでは亜細亜大学が5連覇を達成した。リーグ通算35勝を挙げた東浜巨投手が抜けた穴を、九里亜蓮投手、山崎康晃投手などが埋めた。

 亜細亜大は最近、続々とエースが登場する感じがする。東浜巨投手が記録を打ち立てる中で九里亜蓮投手は2番手として登板し成長をしていた。昨年の秋に東浜巨投手と競争して獲得した最優秀防御率、そして今年の春秋連覇でエースとしての力も証明した。

 しかし苦しんだ1年でもあった。東浜という大きな存在が無くなりエースとしての重圧がかかる中で、春の開幕戦で6回途中まで5失点で降板し、1戦目の先発を3年生の山崎康晃投手に奪われた。プロ入りを目指し球威を高めようとして取り組んだフォームで、三振は奪えるようになったが制球が安定しなかった。

 その後、球威は140km/h前後だが低めの制球が決まるスタイルに戻ると、再びエースとして好投し春を制したが、日米大学野球の代表合宿ではそのストレートを打たれて2回5失点し、代表メンバーから外れた。

 そして秋、初戦ではいきなりトルネードでの投球を見せると、その後も1戦ごとに違うフォームで投げ、プロのスカウトも「大丈夫か?」と心配する声も挙がった。球速は140km/h前後で九里投手も「球速が出ないからプロの評価が下がっているのは分かります。」と話すが「でも三振も奪えるし、勝てているんで」とフォーム変更は、勝つための模索であることを強調した。

 186cmから最速で147km/hを記録しており、また制球力が抜群でドラフト上位候補と評価する人もいれば、球威もそうだがフォームが固まっていない事からも社会人で見たいと評価するスカウトもいるだろう。ドラフト会議の注目選手の一人だ。

亜大V5!プロ注目右腕・九里が10K完投/東都  - サンケイスポーツ:2013/10/18

 最後は10個目の三振で締めた。1点差を逃げ切った九里は駆け寄ってくる捕手・嶺井の姿を見て初めて優勝の実感が湧いてきた。

 「胴上げ投手は初めて。自分が投げる試合は負けたくないと思って投げてきた」

 昨年までは1年先輩で絶対的なエースの東浜(現ソフトバンク)がいた。卒業し、戦力ダウンが心配されたが、残った選手が伝統を守った。中でも、九里は春5勝で秋も5勝と大車輪の活躍を見せた。

 抜群の制球力を持ち、プロも注目の逸材。この日もスカウトがネット裏から投球を見守った。「ドラフト上位で消える」というのが、大方の見方だ。もっとも、その前にやり残したことがある。来月の明治神宮大会での優勝だ。

 九里が最後の打者を空振り三振に仕留めると、一瞬にして歓喜の輪ができた。第2試合があるため胴上げはなかったが、チームを支えたエースは「5連覇は意識していなかった。一つ一つ勝っていこうとした結果」と喜んだ。

 東都大学リーグで歴代最多22完封を記録した絶対的エース・東浜(ソフトバンク)が抜け、主将の嶺井は「2部落ちするぞと周りから言われた。どう戦っていいか分からなかったが、選手に危機感が芽生え、それぞれ持ち場でしっかりやろうと言い合った」と振り返る。生田勉監督も「1部残留」を目標にチームづくりに取り組んだ。特に今秋はリーグ戦ながら「1回負けたら終わりだと思え」とナインを鼓舞。今春外野手でベストナインを獲得した水本を先発から外すなど、実績に関係なく調子の良い選手を起用した。

 「戦国東都」で史上3校目の5連覇。九里の成長が東浜の穴を埋めた。7月の日米大学野球選手権の候補に選ばれながら、大学日本代表24人から落選。指揮官が「あれで人間が変わった」と振り返る通り、夏場の2カ月間は毎日200球の投げ込みを敢行し、体力と自信をつけた。今季は開幕から1回戦の先発を死守。先発した試合では5試合連続完投勝利と貢献、春からは10連勝となった。

 最後の打者を三振に斬って取った九里は、両手を上げてほえた。今季先発した5試合全てに完投勝利。「マウンドを譲るつもりはなかった」と143球10奪三振。亜大を専大、東洋大に続く3校目のV5へと導いた。

 エースの意地を懸けた秋だった。春は2カード目から山崎康晃(3年)に1戦目先発を譲った。今年6月の日米大学野球選手権の代表選考合宿でも九里は打ち込まれて落選。対して山崎は代表入りし、最優秀投手賞を受賞した。「自分の実力のなさを感じた。このままじゃいけないという気持ちで練習に取り組んだ」。今夏の2か月は、週に約1500球を投げるなど挫折を糧に練習に励んだ。

 通算35勝の東浜巨投手(現ソフトバンク)が抜けた今季。春のリーグ戦前、「今年は最下位」とも言われたが強い亜大であり続けた。生田勉監督(47)は「(選考合宿後から)人間がガラッと変わった。今季はマウンドで自分を見失っていなかった」と九里の変貌を認める。


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