京大・田中英祐投手が完封勝利、プロ6球団、阪神は5人で視察

田中英祐, 京大

 関西学生野球リーグの京都大vs同志社大戦では京都大のエース・田中英祐投手が雨の中で登板し、6安打6奪三振1四球で完封、今季3勝目を挙げた。この試合にはプロ6球団18人のスカウトが視察、阪神は佐野アマスカウト統括以下5人で視察する熱の入れようだった。

雨中の登板で完封

 田中投手は「こういう天気なのでバランス重視、球速は追いかけない」と話した。激しい雨が降る中での登板となりマウンドもかなりぬかるんだ状態だったが、それでも最速145km/hを記録し球速も出ていた。同大の4番・篠川選手も「あのカットボールにやられた。芯を外されてゴロばかり、リーグのエースの中でも本当にいい投手」と話し、京都大のエースを認めていた。

 5回までは内野安打の1本のみに抑えていた。しかし雨によって体力が消耗したのか6回には内野安打2本、7回にも2安打を許してピンチを背負ったが、その場面でも落ち着いて後続を断ち9回6安打6奪三振1四死球で完封、リーグ戦で唯一勝っていなかった相手・同志社大に勝利した。

 これで今季は3勝2敗、42回1/3を投げて被安打36、自責点8で防御率は1.70となり、勝利数では立命大の桜井俊貴投手が4勝を挙げているがそれに続く成績となっている。

 

6球団18人のスカウト視察

 この試合には阪神が佐野アマスカウト統括や池之上格スカウト課長など5人のスカウトが視察した。他にも巨人は・山下スカウト部長、オリックスは加藤編成部長など編成トップクラスが集まり、6球団18人のスカウトが投球を見守った。

 阪神の佐野アマスカウト統括は「東京六大学などの1位候補に迫る素材の投手。変化球もストライクを取れるし、タイムリーを見てもセンスがいい」と評価すると、池之上格スカウト課長も「技術、素材はプロのレベルにあると思っています。きょうは力任せではなくて、しっかりとコントロールしながら、考えながら投げられていた。結果を出し続けるのは素晴らしいこと。投手の務めはゼロに抑えることですから」と、素材だけでなく投球術など総合的な投手力を評価した。

 また巨人・山下スカウト部長も「関西の大学ではトップ。プロで鍛えればもっとよくなる素材」と話すと、東北楽天・愛敬スカウトも「ドラフト候補として見る目が変わった。全力で腕を振る中で緩急を付けられ、打者との駆け引き、牽制もうまい。投手として備えなければいけないものを持っている」と素材だけでなく即戦力として評価をした。

 プロの評価はドラフト1位に次ぐ評価となっており、田中投手がプロ志望をすればドラフト2位、3位で指名があるものと見られる。特に、巨人、阪神はマークをしていると言っていい状況で、指名の可能性が高い。

 

チームも勝てる力を着けた

 東京六大学では東大が72連敗中となっている。投手が好投しても得点が奪えなかったり、守備で投手の足を引っ張る事もある。京都大も昨年まではそういうチームだった。田中投手が延長まで0を続けても得点が奪えず、田中投手の成績は3年まで4勝21敗だった。野手がエラーで足を引っ張る場面もあった。

 しかしこの日、田中投手は雨のグラウンドでも打たせて取るピッチングを見せた。野手を信頼してのプレーだった。また同志社大のエースで149km/h右腕の柏原史陽投手を3回1/3から3点を奪いノックアウトした。田中投手だけでなく、チームが守れて打てるようになり、田中投手の今季3勝2敗の成績につながっている。

 田中投手は「目標は勝ち点を挙げる事。それが出来なければ自分の投球への評価など出来ない」と話す。勝ち点が挙げられない場合は力不足と判断し、社会人経由でプロ入り、という事も考える可能性もある。勝ち点を取る3度目のチャンスで目標が達成できるかに注目が集まる。

 

 “虎の恋人”にとっては、激しい雨も、ぬかるむマウンドも関係ない。京大入学後、4度目の甲子園。田中は、無心で腕を振った。「カーブも有効に使えた」と振り返ったように、最速145キロをマークした直球にカーブ、カットボールなど多彩な変化球を効果的に織り交ぜた。緩急を自在に操り、同大打線に的を絞らせず。従来までの「力任せ」のイメージとは、ひと味違う投球で6、7回のピンチもしのぎ、待望の「聖地1勝」を2度目の完封で飾った。

 ネット裏には巨人、楽天、オリックスなど6球団18人のスカウトが集結した。早くから右腕を今秋ドラフト候補としてリストアップしている阪神は、スカウト部門トップの佐野仙好アマ統括スカウトを始め、最多5人の編成陣を送り込む熱の入れようだった。

 1年時から「面白い」と注目していた担当の池之上格スカウト課長の言葉も、熱を帯びる。「技術、素材はプロのレベルにあると思っています。きょうは力任せではなくて、しっかりとコントロールしながら、考えながら投げられていた。結果を出し続けるのは素晴らしいこと。投手の務めはゼロに抑えることですから」。将来、“本拠地”になる可能性のあるマウンドで見せた快投に、賛辞を惜しまなかった。

 聖地初勝利も手にした。兵庫・白陵高では2年夏の県大会3回戦が最高。大学ではこれまで甲子園で3度登板したが、勝てなかった。この日は雨でぬかるんだマウンド。そのため「(甲子園の雰囲気を)楽しむ余裕もなかった」と振り返ったが、最速145キロの速球を武器に同大に初勝利。関西学生リーグの全チームから白星をもぎ取った。

 チームも00年秋(4勝)以来の1シーズン3勝。寶馨監督(たからかおる=57)は「(甲子園球児が)一人もいない京大が、たくさんいる同大に勝つんだから結構なこと」と喜んだ。6日の試合は02年秋以来の勝ち点が懸かる。この日、巨人・山下スカウト部長は「関西の大学ではトップ。プロで鍛えればもっとよくなる素材」と評価した。京大からは初となるプロ入りを目指すエースは「2試合で決めたい。自分も投げる気です」と気合を入れた。

田中完封、京大は強い - ニッカンスポーツ紙面:2014/5/6

 


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