高校通算56本塁打を打っている花巻東の佐々木麟太郎選手が甲子園に初登場したが、4打数ノーヒットに封じられ、苦いデビューとなった。それでも視察したスカウト陣はそのスイングを評価している。
ノーヒット
佐々木麟太郎選手は1年秋までに高校通算50本を放っていた。12月に両肩の手術を受け、センバツには間に合うかが心配されたものの、事前の練習試合で6本塁打を放ち、復調、そしてセンバツでの爆発も期待されていた。
しかしこの日は、市和歌山の149キロ右腕・米田天翼投手と対戦し、初回ノーアウト1、3塁のチャンスで140キロの高めのストレートを空振りして三振、3回もストレートを3度空振りして三振した。5回はサードフライ、8回にもストレートを打ってファーストゴロと、強いストレートでインコースを攻められ、また緩急をつけられて完全に封じられた。
試合後、「自分がふがいない結果でチームに貢献できなかった。責任を強く感じています」と話したが、「直球に伸びがあり球速も速かった。遅れる部分も多かった」とまだ、本格的なストレートについていける状態ではなかった。父親の佐々木洋監督は「今回の悔しさを持って夏に向かってくれればなと思います」と話した。
スカウト評価
それでも佐々木選手への期待が、視察したスカウト陣から聞かれた。
巨人・水野スカウト部長:「手術明けで実戦不足もあったと思う。それでもスイングはさすがなもの。まだ2年生だし、これからいい投手と対戦すれば自信になる。」
東京ヤクルト・橿渕スカウトデスク:「高めの真っすぐを我慢できればというところ。秋に見た時より、スイングは力強くなっていた。」
阪神・葛西スカウト:「まだ本調子ではなかった。秋の状態はもっと良かった。それでも、しっかり振れていたし、スローイングも問題ないことは確認した。」
横浜DeNA・八馬アマスカウトグループリーダー:「スイングは一級品」
まだ春先で打者にとっては速い球を打つのが大変な時期で、手術の影響もあったため今大会の結果については全く関係ない。ただ、結果として残ったことは事実であり、この結果が逆に佐々木選手をさらに成長してくれると思う。
スイングや体のサイズなど、色々な指摘がされると思うが、本人がしっかりと感じたことを一つ一つクリアしてゆけば、次に甲子園に姿を見せる時には、しっかりと結果を残してくれるだろう。それくらい、すでに信頼感を感じさせる打者だと思う。


《麟太郎へのスカウトの評価》▼巨人・水野雄仁スカウト部長 手術明けで実戦不足もあったと思う。それでもスイングはさすがなもの。まだ2年生だし、これからいい投手と対戦すれば自信になる。
▼ヤクルト・橿渕聡スカウトデスク 高めの真っすぐを我慢できればというところ。秋に見た時より、スイングは力強くなっていた。
▼阪神・葛西稔スカウト まだ本調子ではなかった。秋の状態はもっと良かった。それでも、しっかり振れていたし、スローイングも問題ないことは確認した。

腕がしびれるなどの原因だった胸郭出口症候群を12月に手術で治療。2月中旬からようやくバットを振り始めて、ぶっつけ本番に近かった。打てるコースは全部振って、ドラフト候補右腕に立ち向かったが、実戦感覚はまだ戻っていなかった。それでもスラッガーとしての素質は十分。DeNAの八馬幹典アマスカウトグループGLは「スイングは一級品」と改めて評価した。



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