2021年のドラフト会議では、高校生は市和歌山・小園健太投手、天理・達孝太投手、明桜・風間球打投手、昌平・吉野創士外野手、市和歌山・松川虎生捕手が最初の入札で指名され、外れ1位の入札で森木大智投手が指名され、高校TOP6となりました。
【2021年ドラフト総決算5】高校生ドラフト候補の評価の変遷〜1年生編
2年春
高校生は一冬を越え、さらにパワーアップした力を見せたがっていた。センバツ出場を決めている仙台育英の笹倉世凪は1月のブルペンで149キロを記録し、「センバツで150キロを出す」と意気込むと、大阪桐蔭の松浦慶斗も「150キロを出したい。2年春ではなかなかいない」と話す。また、センバツ出場はならなかったものの、高知高の森木大智も、冬のトレーニングに自信を見せ、「春で150キロは出ると思う」と話していた。
1月24日にはセンバツ出場チームが発表されると、さらに仕上げのペースを上げた。しかし、3月11日に史上初となるセンバツの中止が発表された。
その後、春季大会も各地で相次いで中止となり、夏の選手権大会も中止が決まった。
それでも、高校野球の火をなんとか消すまいと、各都道府県の高野連が夏の独自の大会を開く事を決めていく。結局全都道府県で、それぞれの判断で決勝まで行わない所もあったが、開催されることがきまった。そして、センバツ出場を決めていたチームにも、甲子園でプレーする機会「甲子園交流戦」を与えられることが決まった。
2年夏
独自大会で、無観客とはいえ、球音が帰ってきた。そして2年生で注目される投手が続々と登場する。
青森では八戸西の福島蓮、八戸工大一の黒田将矢の2人の188cm右腕が注目され、北海道では旭川実の田中楓基が147キロを記録し5球団が注目した。秋田では明桜が独自大会で優勝し、風間球打が150キロを記録した。
早稲田実の清宮福太郎はいよいよ4番に座り、独自大会初戦で場外へのホームランを放った。埼玉では昌平の吉野創士のバットが火を吹く。昌平は3年生のみで独自大会に出場する予定だったが、3年生の要望で2年生の吉野がベンチ入りし、5番として活躍を見せていた。
和歌山では、智弁和歌山の徳丸天晴、中西聖輝が力を見せる中で、視察に訪れていた7球団のスカウトが、184cmから152キロの速球を投げる小園健太投手の投球に目を奪われる。そして岐阜では岐阜第一の阪口楽が、後に中日に指名される帝京大可児の加藤翼から特大の一発を放ち、多くのスカウト、ファンにインパクトを与えた。
大阪桐蔭の関戸康介が、大勢のスカウトが視察する中で最速154キロを記録したと話題となり、「5キロ増しでしょう」と笑ったが、「腕が振れた感覚はあったので、出てもおかしくないかな。」とも話した。スカウトからは「2年生の中ではずば抜けている。来年十分入る」と高く評価をされた。
甲子園交流戦では、最後の夏を迎える3年生の中で、2年生も光るプレーを見せている。花咲徳栄の浜岡陸、明徳義塾の代木大和、天理の達孝太、明豊の太田虎次朗、県岐阜商の高木翔斗、智弁学園の西村王雅、仙台育英の笹倉世凪、伊藤樹、東海大相模の石田隼都、大阪桐蔭の松浦慶斗の名前が挙がる。
天理の達には複数の球団首脳から高い評価を受けると、東海大相模の石田は、非常に早いテンポで強打の大阪桐蔭を相手に7回1失点と好投した。

この頃の高校生の評価としては、投手では森木、関戸、笹倉に小園、風間が頭角を現し、野手では徳丸、阪口が世代の中心になると予想していた。
2年秋
いよいよチームの最上級生となる新チームで、森木大智投手が秋季高知大会の1回戦で先発し、エースとしての一歩を踏み出す「7,8割で」とした投球で148キロを記録し、5回1安打7奪三振無失点の投球に各球団のスカウトの来年の上位候補と確信した。
市和歌山の小園健太は秋の前哨戦となる新人戦で智弁和歌山に勝利すると、明桜の風間球打、天理の達孝太も好投を見せる。東海大相模の石田隼都は夏のハイテンポの投球とは違うスタイルも見せていた。
市和歌山は小園だけでなく、バッテリーを組む松川虎生の打撃にもスカウトが注目するようになる。岐阜第一の阪口楽も順調にホームランを飛ばし、昌平の吉野創士も順調にホームラン数を伸ばした。智弁学園の前川右京も、近畿大会決勝で大阪桐蔭の関戸康介から通算29本目のホームランを放った。
この他にも中日に1位指名される154キロ右腕3年生の高橋宏斗投手が「自分のストレートとは違う」と一目置いていた畔柳亨丞が圧巻の投球を見せる。190cm右腕・静岡の高須大雅、神戸国際大付の阪上翔也、旭川実の田中楓基にスカウトが集まる。そして北海道ではこの田中に投げ勝った北海の左腕・木村大成が好投手として注目された。
東京では大型左腕に注目が集まった。八王子の羽田慎之介は191cmの身長のある左腕投手で、富士森戦に先発するとホームランなどで3失点。しかしストレートは144キロを記録し、8回10奪三振3失点の投球を見せる。チームとしても勝ち上がり、注目をするスカウトは試合の度に増えていった。
高知の森木は四国大会で高松商に破れ、また明桜も敗れてセンバツ出場は逃す。その中で市和歌山の小園は強敵の智弁和歌山に秋3連勝をしてセンバツ出場を決めた。その中で、この世代を代表する左腕だった笹倉世凪は、秋の仙台育英のベンチ入りメンバーが外れ、そして高校を退学していたことが報じられた。
後はセンバツが無事開催されるかどうかに絞られ、2020年が幕を閉じる。
3年春
センバツは今年は無観客ではあったものの開催された。市和歌山の小園健太、天理の達孝太、中京大中京・畔柳亨丞、大阪桐蔭の松浦慶斗が注目される中、東海大相模の石田隼都が5試合を投げて45奪三振の圧倒的な投球で甲子園を制し、その実力を見せつけた。
大会でも好投した畔柳と投げ合い、敗れたものの好投をした専大松戸・深沢鳳介、140キロ中盤の球を投げ安定感をみせた。他にも投手では広島新庄の花田侑樹、北海の木村大成、明徳義塾・代木大和の名がスカウトから挙がりった。
打者では市和歌山の松川虎生、智弁学園・前川右京、大阪桐蔭の池田陵真、三島南の前田銀治の打撃、東海大相模・大塚瑠晏の守備、上田西・笹原操希の足などを評価する声が挙がった。






3年夏
センバツ大会が終了する前後に、スカウト達はすでに地方に散らばっている。春季高校野球ではセンバツに出場しなかったチームの選手が、一冬こして成長した姿を見せている。
その中で名前が挙がってきたのは、二松学舎大付・秋山正雲、修徳の床枝魁斗、武庫荘総合の斉藤汰直、掛川西の沢山優介、享栄の竹山日向と肥田優心、金沢龍谷の井上透摩、池田の篠原颯斗、九州国際大付の191cm右腕・柳川大晟や山本大揮など。他に、立花学園の永島田輝斗はデータを使ったトレーニングで150キロを記録した他、刈谷高の遠藤泰介や福岡高の井崎燐志郎など、公立高校でも150キロ投手が誕生して注目された。
八王子の羽田慎之介、静岡の高須大雅は昨秋よりも多くのスカウトを集めていた。愛工大名電は寺嶋大希が本格化し、左のエース・田村俊介は一塁で出場していた。千葉では東京学館の粟飯原龍之介と千葉学芸の有薗直輝が注目された他、ちょうどその頃にプロでは阪神の佐藤輝明選手がルーキーで活躍を見せ、佐藤選手とスケールや境遇の似た市立尼崎の米山航平なども注目されていた。
その中で、小園、風間、森木が順調に成長をし、高校BIG3と呼ばれるようになった。センバツに出場した畔柳、松浦はその影響もあってか春に離脱し、智弁学園の前川も春は打撃に苦しんでいた。
しかし夏の大会では、畔柳、松浦も140キロ後半の球を投げ、前川も強打を取り戻す。夏の地方大会は暑さとの戦いで終盤になると特に投手は力が落ちた。また新型コロナとの戦いもあり、星稜や東海大相模が途中で出場を取りやめる事態となった。
最後の夏の甲子園ではBIG3の中で明桜の風間だけが甲子園の土を踏んだが、長期に雨が振り続ける中で本来の力は見せられない。その中で日程も味方につけ、総合力で上回った智弁和歌山が優勝し、智弁学園が準優勝を果たした。
夏の戦いはほぼ毎日続き、そして高校野球を卒業する選手も毎日現れる。それぞれが大学、社会人、そしてプロへの進路を表明していった。






3年秋
結局の所、2年の夏から秋の時点から、トップの高校生の評価は大きく変わらなかった。
ドラフト会議で投手は、BIG3の風間球打、小園健太、森木大智と、達孝太、木村大成が順調にドラフト会議で指名され、竹山日向、畔柳亨丞、松浦慶斗、黒田将矢は少し低い順位に見えたが指名された。
夏は故障のため登板できなかった羽田慎之介も指名されたものの、夏に150キロを突破した関東第一の市川祐、甲子園で150キロを記録した滝口琉偉、そしてエースとして力を見せた愛工大名電の寺嶋大希は指名されなかった。
野手ではドラフト当日に少し評価に変動があった。1位で昌平・吉野創士、市和歌山・松川虎生が指名され、2位で有薗直輝、3位で粟飯原龍之介と前田銀治が指名される。早くから注目されたスラッガーの阪口楽、前川右京が4位指名となったが、無事、指名されてプロ野球の扉を開いた。




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