春季高校野球九州大会の決勝戦は、神村学園高校(鹿児島)が西日本短大付高校(福岡)を5-1で破り、3年ぶり5度目の優勝を飾った。最速150キロを誇るプロ注目のエース右腕、早瀬朔投手(3年)が、この日の試合で4回パーフェクト投球を見せ、優勝に大きく貢献した。
復活のエース!最速150キロ右腕が決勝で完璧リリーフ
神村学園のエース、早瀬朔投手は、185cmの長身から最速で150キロとも156キロ友いわれる速球を投げ、プロから注目を集めている。この日の決勝では先発ではなく、5-1とリードした6回から2番手としてマウンドに上がったが、長身から投げ込まれる最速148キロのストレートと、チェンジアップやカーブといった変化球を巧みに使い、センバツにも出場した強打の西日本短大付打線を完全に封じ込めた。登板した4イニングを打者12人に対し、無安打無四球のパーフェクトピッチング。4つの三振も奪い、「相手の打者が直球を狙ってくると思ったので、チェンジアップやカーブを投げたりして緩急を使ったのが良かったと思います。西日本短大を抑えられたのは自信になった。絶対に勝たせるピッチングをすると決めていたのでうれしい」と、決勝のマウンドでの快投に笑顔を見せた。また、打者としても2安打1打点と、投打にわたりチームの勝利に貢献した。
監督の「愛の説教」が転機に!疲労骨折乗り越えエースの自覚
早瀬投手は、今年1月に左の股関節の疲労骨折が判明していた。その後、少しずつ投球を増やし、「もうフルで投げられます」と今大会に臨んだ。
しかし、大会初戦の壱岐高校戦では先発したものの、5回を投げ11安打4失点と苦しい投球内容だった。チームは逆転勝ちしたものの、試合後、小田監督から「チームを勝たせる投球をするのがエースの役目だろ。今日投げた球は神村のエースの球じゃない。一球一球に思いがこもっていない。チームを思って愛のある球を投げるのが神村のエースじゃないのか」と厳しい叱責を受けた。
これにより早瀬投手に熱い気持ちが戻り、「夏の甲子園で2年連続ベスト4を経験して注目されているチームのエースを任されているので、チームの自覚が足りなかった。いい勉強になりました」と、エースとしての責任感を改めて自覚した。まだ本調子ではないことも考慮されたのか、その後は決勝まで登板機会が与えられなかったが、ダッシュやメディシンボールを使ったトレーニングで体のキレを出すことに専念。そして決勝のマウンドで、「神村のエース」としての魂のこもった投球を見せることができた。小田監督も、「全く抜け球がなく、捕手の構えたところにきていた。甲子園でベスト8の結果を出した相手に勝ったので今日はほめてあげたい」と、エースの投球を評価した。
甲子園常連校のエース!聖地への想いと更なる進化へ
神村学園は、昨夏の甲子園で2年連続のベスト4に進出するなど、全国でも屈指の力を見せる。早瀬投手自身も、昨夏の甲子園では2試合に登板し、3回戦では完投勝利を挙げるなど聖地のマウンドを経験している。「甲子園で投げて自信がつきました。甲子園は自分が変われる場所」と、甲子園での経験が彼の成長を後押ししている。
兵庫県丹波市出身で、中学時代は神戸中央ボーイズでプレーしており、地元という事もあるが、甲子園への思いは強い。「まだ経験していないチームメイトを連れて行きたい。甲子園を経験した選手で頑張ってみんなに甲子園を経験させるという気持ちでやっていきます」と、チームメイトと共に再び聖地の舞台に立つことを強く願っている。
好きな投手は阪神タイガースの才木浩人投手。憧れのプロ野球選手を目標にする。まずは故障からの復活を完全なものにするように、「もっと体力をつけるために走り込みをしなくてはいけないと思いました」と体力を強化し、夏の甲子園に再び立つことを目指す。そして最速150キロを誇る長身右腕の将来がどうなるのか、ドラフト会議に向けた動きも注目されそうだ。
早瀬朔投手 プロフィール
- 氏名: 早瀬 朔(はやせ さく)
- 所属: 神村学園高等学校 3年
- 出身: 兵庫県丹波市
- 生年月日: 2007年(平成19年)8月30日(17歳)
- 経歴: 西脇ワイルドキッズ(小学)- 神戸中央ボーイズ(中学)- 神村学園高等学校(1年秋からベンチ入り)
- 投打: 右投左打
- 身長・体重: 185cm・78kg
- 最速: 150キロ
- 特徴: 最速150キロを誇る長身右腕。スリークォーター気味のフォームから力強いストレートを投げ込む。昨夏甲子園で2試合に登板し完投勝利も経験。投手としての意識が高まり、更なる進化を目指す。
- 好きな投手: 才木浩人投手(阪神)


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