東都大学野球春季リーグ戦は優勝の行方を大きく左右する青山学院大学vs亜細亜大学との3回戦が行われ、青山学院大が勝ち点4として単独首位に浮上、リーグ5連覇へ大きく前進した。エース・中西聖輝投手(4年・智弁和歌山)圧巻の15奪三振で今季初完投勝利を飾り、負ければ5連覇が途絶えるという崖っぷちの状況から一転、優勝に王手をかけた。
圧巻の15奪三振で単独首位浮上!エースが今季初完投勝利
青山学院大学のエース、今秋ドラフト上位候補に挙がる中西聖輝投手が、優勝争いの大一番、亜細亜大学との3回戦に先発した。9回を投げ抜き、許したヒットはわずか3本で1失点。そして、自己最多を大きく更新する15個の三振を奪い、見事な完投勝利を挙げた。これが今季初完投、今季5勝目となり、キャリアハイとなるシーズン奪三振数も80に伸ばした。
9回、最後の打者をフォークで空振り三振に仕留め、両拳を握って喜びを噛み締めた。その後、マウンド上で固まっていたが、「どんなポーズをしようかなと。でも優勝が決まったわけでもなかったので、やめました」と話し、アドレナリンが出まくる中でも冷静で余裕のある表情を見せた。1回戦で投げ負けた亜大エース齊藤汰直投手との投げ合いにも雪辱を果たした。
中西投手は、この日の投球について「どの変化球でも空振りが取れて勝負ができるピッチャーだとコーチに言われて、どの球でも、どのカウントでも、全力で腕を振って、良いコースに投げることを心がけてから三振は増えた気がします」と話し、同じ腕の振りで投げられるようになったことで三振が増えたと話した。
崖っぷちからの力投!プロスカウト絶賛のバランスと球威
1回戦を落とし、負ければ5連覇が途絶えるという崖っぷちに追い込まれていた。しかし、そこからチームは2連勝し、単独首位に浮上した。中西聖輝投手は、1回戦の自身の投球を「情けない投球をしてしまった」と反省。そして、「エースとして、どんな形でも勝って、優勝につなげるという思いでした。今日の試合に勝つことだけに集中していました」と、勝利への強い思いと集中力を胸にマウンドに上がった。
前日の2回戦で先発初完投勝利を挙げた鈴木泰成投手の投球を見て、「うれしかったけど、悔しかった」と発奮したことも力になった。
この日、視察をしたスカウトからも高い評価が聞かれた。
- 楽天・部坂スカウト:「バランスの良さと制球力が魅力。昨年からフォームの開きがなくなり、球威も増した」
- ヤクルト・余田スカウト:「肩まわりの筋肉がやわらかく、腕が後ろへ大きくひける。ウチでいうと奥川に近いタイプ」
肩が開かずに最後まで閉じたままでも腕がビュッと出てきてコースにストレートや変化球を投げ分ける。角度がある形で奥川投手に似ている印象だ。140キロ台後半の直球にスライダーやフォークを織り交ぜ、低めに投げ分ける投球だった。
智弁和歌山時代からバッテリーを組む女房役の渡部海捕手(3年)も3回にレフト越えソロホームランで援護し、ピンチにはマウンドに行って鼓舞するなど、バッテリー一体となって勝利を掴んだ。渡部捕手も「プレッシャーは特に。亜大は強い相手だったので、ワクワクした。どうやって亜大を倒すか。それしか考えていませんでした」と、緊迫した状況を楽しんでいた。
5連覇へ王手!最終週で完全優勝目指すエース
亜細亜大学に連勝し、勝ち点4とした青山学院大学は単独首位に浮上、リーグ5連覇へ王手をかけた。優勝争いは最終週に持ち越され、青学大が国学院大学戦で勝ち点を挙げれば、2季連続の完全優勝でリーグ5連覇達成となる。この日は両親が応援に訪れており、勝利が「1日遅い母の日のプレゼント」になったと語った中西投手。孝行息子は逆転Vでさらに両親を喜ばせたい意向だ。エースとして、そしてドラフト上位候補として、チームを5連覇に導くことへの強い決意を胸に、最終週、そして夏、さらにはプロの世界へ向け、中西投手の今後の活躍から目が離せない。
中西聖輝投手 プロフィール
- 氏名: 中西 聖輝(なかにし まさき)
- 所属: 青山学院大学 4年
- 出身: 奈良県
- 生年月日: 2003年(平15年)12月18日(21歳)
- 経歴: KGヒーローズ(小学1年~)- 光陽中学校(橿原磯城シニア)- 智弁和歌山高等学校(1年春からベンチ入り、2年秋からエース)- 青山学院大学(2年春リーグ戦デビュー、3年秋最優秀投手・ベストナイン受賞)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 182cm・90kg
- 最速: 152キロ
- ポジション: 投手
- 特徴: 今秋ドラフト上位候補の本格派右腕。最速152キロ。バランスの良さと制球力が持ち味。今季初完投で15奪三振を記録し、チームを単独首位に導いた。最優秀投手、ベストナイン受賞経験あり。




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