秋季近畿大会が18日に開幕し、智弁学園(奈良)が近大附属(大阪)に8-6で逆転勝利し初戦を突破した。来秋ドラフト候補の最速147キロ左腕・杉本真滉(まひろ)投手(2年)が、序盤に6点を失いながらも178球を投げ抜き、15奪三振で完投勝利。小坂将商監督からはOBで阪神ドラフト1位の伊原陵人投手を超えるとの賛辞も飛び出し、視察した横浜DeNAスカウトもその能力を絶賛した。
序盤6失点から覚醒、驚異の15奪三振
エース・杉本真滉投手の真価が問われるマウンドだった。初回は三者凡退で立ち上がったが、2回に3つの死球から3点タイムリー三塁打などで5点を失うと、3回にもソロ本塁打を浴び、序盤でまさかの6失点。「これだけ打たれたのは初めて。焦りや悔しさがあり、力みにつながっていた」と苦しい立ち上がりを振り返る。
しかし、ここからが圧巻だった。小坂監督から「冷静になれ」と声をかけられ落ち着きを取り戻すと、4回以降は追加点を許さない。尻上がりに調子を上げ、終わってみれば毎回の15奪三振。178球を一人で投げ抜き、チームの逆転劇を呼び込んだ。
小坂監督「伊原より全然上」、DeNAスカウトも絶賛
そのポテンシャルに、指揮官もスカウトも賛辞を惜しまない。数々のプロ野球選手を育ててきた小坂監督は、昨秋ドラフトで阪神に1位指名されたOBの伊原陵人投手の名前を挙げ、「タイプは違いますけど、伊原より全然上です」と太鼓判。ネット裏で視察したスカウトも、その修正能力とポテンシャルを高く評価した。
横浜DeNA・藤田スカウト:「体力がある。途中から切り替えられるメンタルもある。バッターへの姿勢もいい。真っすぐが低めに決まり出すと打てない上にスライダーもいい」
高卒プロへ「自分の実力を試したい」
147キロを記録するストレートは「ベース上でもうひと伸びする」という球質で、得意のスライダーとのコンビネーションで15個の三振を奪った。来年は夏の甲子園を制した沖縄尚学の左腕・末吉良丞投手や、既にドラフト上位候補と評価される聖隷クリストファーの高部陸投手など、注目サウスポーがいるが、杉本投手の147キロ左腕として比較され、注目されそうだ。
試合後、杉本投手は「自分は高卒でプロに行きたい」と、将来の目標を力強く宣言した。今夏の甲子園で活躍した同学年のライバルたちの姿も刺激になっており、「負けているという気持ちを持って、上回れるようないい投手になっていきたい」と向上心は尽きない。この勝利で5年ぶりの選抜出場へ王手をかけた智弁学園。聖地への切符を掴み、さらに大きな舞台でその名を轟かせる。
杉本 真滉 プロフィール
- 氏名:杉本 真滉(すぎもと まひろ)
- 所属:智弁学園高校 2年
- 出身:兵庫県明石市
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:175cm・80kg
- 主な特徴や実績:2026年ドラフト候補。最速147キロ左腕。秋季近畿大会1回戦で6失点しながら178球を投げ抜き15奪三振の完投勝利。小坂監督から阪神ドラ1・伊原陵人投手以上と評される。






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