秋季高校野球近畿大会は18日に開幕し、今夏の甲子園8強・東洋大姫路が近大新宮を4-1で下し、初戦を突破した。新チームでエースナンバーを背負う下山大翔投手(2年)が、9回を1失点に抑える公式戦初完投勝利。偉大な先輩たちから受け継いだ投球術で、3季連続の甲子園出場へ好発進を切った。
劣等感を武器に、粘りの101球完投
偉大な先輩たちが抜けたマウンドで、新エースがその存在価値を示した。最速135キロと、前チームのエースだった阪下漣投手や木下鷹大投手のような140キロ後半の速球はない。「木下さんと阪下さんは球が速かった。嫌になる部分もあった」と、かつては球速へのコンプレックスを抱えていた。
しかし、今の下山大翔投手に気負いはない。「力がないのはわかっている。やるべきことをしっかりやる」。その言葉通り、この日は9安打を浴びながらも、打たせて取る粘りの投球で9回を101球、1失点にまとめた。
5回まで毎回走者を背負いながらも要所を締め、公式戦初完投を勝利で飾った。「一回一回集中して投げていたら、気づいたら九回になっていた」と、マウンド度胸も十分。岡田龍生監督も「ピッチャーがそれなりに抑えたこと」を勝因に挙げた。
先輩から受け継いだカットボール
コンプレックスを武器に変えるきっかけをくれたのは、その偉大な先輩たちだった。夏にベンチ入りできなかった期間、先輩投手陣から「投げられれば楽になる」とカットボールを伝授された。「先輩とレベルが違いすぎるけど、教えてもらった変化球が成長につながっている」と感謝する。直球と同じ軌道から変化するこのボールを軸に、新たな投球スタイルを確立。名門のエースナンバーを掴み取った。
準々決勝の相手は、来秋ドラフト候補の147キロ・杉本真滉投手を擁する智弁学園。左腕エース同士の激突となるが、磨き上げた投球術で、2年連続のセンバツ出場をたぐり寄せる。
下山 大翔 プロフィール
- 氏名:下山 大翔(しもやま たいしょう)
- 所属:東洋大学附属姫路高校 2年
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:2026年ドラフト候補。最速135キロの左腕。前チームの先輩から教わったカットボールを武器に、打たせて取る投球が持ち味。秋季近畿大会1回戦で公式戦初完投勝利を挙げた。





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