センバツ高校野球大会では、市和歌山の149キロ右腕・米田天翼投手が、明秀日立を9回1失点に抑えて勝利し、ベスト8進出を決めた。
打たせてとる投球
相手の明秀日立・金沢監督は「力で押してくるかと思ったら打たせて取る形」と、1回戦の花巻東戦で佐々木麟太郎選手をノーヒット2三振に抑えた米田天翼投手の投球について話した。
この日は初回に143キロを記録したものの、球速はそれほど出せない。しかし、この冬に取り組んだ回転の良いストレートと、先輩の小園投手ばりの小さく動く球を駆使し、9回で9安打を許すも6回の1点しか許さなかった。「速球のタイミングで振ってくるのが、分かっていた。速球と思わせてカットボールやツーシームで」としてやったりの投球だった。
昨年は小園投手に非常に良く似たフォームで投げており、先輩の投球を追求していた。しかし、185cmの身長のある小園投手とは違いがあり、舩津副部長から紹介された中日の山本拓実投手の動画を見て、「身長が低くてもあれだけの球を投げて抑えられる」と、球速ではなく、低めからホップする球質を追求するようになった。
これでセンバツベスト8、小園投手、松川捕手のバッテリーで2回戦敗退だった昨年を超えた。米田投手は「去年の先輩を超えられてうれしい」と話した。投球数も多くなりこれからはチームの投手力での勝負となるが、ここぞでの米田投手の投球が大変重要になりそうだ。

米田は1学年上で昨年DeNAにドラフト1位入団した小園健太投手(18)と別の道を歩む。昨秋、スタイルをマネしたが空回り。あるとき、舩津直也副部長(29)から動画を見せられた。「身長が低くてもあれだけの球を投げて抑えられる」。167センチの中日山本拓実が躍動する姿だった。目が覚めた。185センチの小園先輩とは違う。175センチの体をどう生かすか。「角度をつけるより、低いところから球がホップして伸びてくる感覚が理想です」。最速149キロ右腕は、自分だけの速球を磨いてきた。
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