第107回全国高校野球選手権愛知大会では、県内有数の進学校である菊里が旭野に延長11回タイブレークの末、4-3で勝利した。この試合で、高蔵寺・芹澤大地投手、向陽・軍司拓海投手とともに、「公立左腕三羽がらす」の一角として注目される最速141キロ左腕・土屋諒太投手(3年)が5回からリリーフ登板。両足をつりながらも7イニングを11奪三振無失点に抑える気迫の投球で、3時間42分に及ぶ激闘の末に勝利へと導いた。
両足つりながら7回零封「1点もやれないと思っていた」
土屋諒太投手はこの日、2-3と1点を追う5回からマウンドに上がった。試合は味方がなかなか点を挙げられない中でイニングが進んでいった。それでも土屋投手は、130キロ中盤から後半の伸びのあるストレートを中心に相手に流れを渡さず、気迫のこもった投球でスコアボードにゼロを並べ続けた。
そして9回に3−3の同点に追いつくと、延長に入っても得点を許さなかった。打線が延長11回にタイブレークで1点しか奪えなかったが、その裏を見事に無失点に抑え、4−3で勝利した。「気持ちで投げきった」。試合中に両足をつるアクシデントに見舞われながらも、マウンド上で感情を前面に出し、チームを鼓舞し続けた。
温存のために先発をしなかったが、劣勢のまま9回まで進んだ試合に、「3点取られた後だったので、1点もやれないと思っていた。勝ちきって、校歌を歌えてうれしい」と笑顔を見せた。
「公立左腕三羽がらす」、将来の夢はロボット研究者
昨夏の1回戦で19奪三振を記録し、一躍注目を集めた土屋投手は、高蔵寺の芹澤大地投手、向陽の軍司拓海投手とともに「公立左腕三羽がらす」と注目される存在だ。特にプロも注目し、侍ジャパンU18代表候補にもなっている芹澤投手についてはは、「練習試合で対戦してバケモノだと思った」と話したが、「自分の道で抑えるだけ」と、力の差はあっても試合は0に抑えれば勝てると話し、負けない気持ちを示した。
芹澤投手がプロ志望をせずに社会人野球に進むことを明らかにしたが、土屋投手も将来について、夢はロボット系の研究者と話す。「ロボットも野球も同じくらい、楽しみ」と語り、ロボットの競技会「ロボカップジュニア」にも出場経験がある。
高校卒業後は工学系の分野に進学する予定で、野球部を引退したら受験モードに切り替え、工学部のある大学に進む。進学校のエースは「高校最後の大会なので、悔いを残さないように戦いたい」と話し、目標に掲げる「3勝」に向けて高校野球に全力を傾ける。
土屋諒太投手 プロフィール
- 氏名:土屋 諒太(つちや りょうた)
- 所属:菊里高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:179cm・82kg
- 主な特徴や実績:最速141キロを誇る左腕。”公立左腕三羽がらす”の一人として注目される。2025年夏の愛知大会初戦でリリーフ登板し、7回11奪三振無失点の快投。昨夏には19奪三振を記録。将来の夢はロボット系の研究者で、ロボット競技会「ロボカップジュニア」への出場経験もある。

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