全国高校野球選手権東東京大会はではプロ注目の遊撃手・嶋崎智慧主将(3年)を擁する東京実業が郁文館に4-7で逆転負けを喫し、初戦で姿を消した。高校通算35本塁打、投げては最速147キロを誇る二刀流は、この日も投打にわたり奮闘したものの、チームを勝利に導くことはできず、試合後には涙を見せながら、今後の進路について揺れる胸中を明かした。
初回先頭打者安打&9回志願の登板、主将が見せた執念
「1番・遊撃」で出場した嶋崎智慧選手は、初回先頭でセンター前ヒットを放ち、チームの4点先制の口火を切った。5回にもレフト前ヒットを放ち2安打を記録。しかし、その際に右太もも裏をつるアクシデントに見舞われた。それでも、「チームの顔として交代するわけにはいかない」と、痛みをこらえながら最後までグラウンドに立ち続けた。
4-7と逆転され、重い空気が漂う9回1死一塁の場面。「雰囲気を変えるのは自分のピッチングしかない」と松田稔監督に自ら登板を志願し、マウンドへ。足の影響を考慮し変化球主体の投球ながら、「ベストボールだった」という気迫のピッチングで後続を断ち、追加点を許さなかった。
「本当に幸せもの」涙で語った仲間への思い
試合後、泣かないと決めていたが、涙があふれた。「試合に出られなかった3年生に申し訳ない。自分たちがやってきたことがこれで全部終わったんだなと思うと、自然と涙がこぼれて」。主将として、チームを勝利に導けなかった責任を一身に背負った。
昨秋の都大会初戦でミスから敗れた悔しさをバネに、この冬はチーム全員で走り込みを強化してきた。「これまでやってきたことは間違いではなかった」と語る嶋崎選手。平日の神宮球場に響いた仲間たちの大声援を、「自分たちは本当に幸せもの」と、忘れられない光景として胸に刻んだ。
「プロが第一」も…揺れる進路
投げては147キロ、打っては高校通算35本塁打の長打力がある遊撃手には、この日はプロ3球団のスカウトが視察に訪れた。試合後、今後の進路について問われると、「プロに行きたい。今日の結果を受けて、もう一度考える」と話し、「大学を挟んでプロに行くのか、高校で志望届を出すのか。もう1回自分の中で考えたい」と慎重な姿勢を示した。
ただし、「家族に恩返しがしたいので、プロに入ることが第一」という強い思いは変わらない。打撃には自信があり、「野手でいきたい」としながらも、「投手として話があったら、投手でもいい」と、評価されたポジションでプロ入りを目指す。まずは高校野球が終わり、少し長くなってしまったが、考える時間を持って進路の決断をする事になる。その決断を待ちたい。
嶋崎智慧選手 プロフィール
- 氏名:嶋崎 智慧(しまさき ちさと)
- 所属:東京実業高校(3年)
- ポジション:内野手(遊撃手)、投手
- 投打:右投両打(現在は右打ちに専念)
- 主な特徴や実績:投げては最速147キロ、打っては高校通算35本塁打を誇るプロ注目の投打二刀流。東京実業で主将を務める。ソフトバンク・今宮健太選手を参考にしている。2025年夏の東東京大会初戦で2安打、リリーフで1回途中を無失点に抑えるも、チームは敗退。進路については「プロが第一」と語る。





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