全国高校野球選手権佐賀大会では、9年ぶりの夏の甲子園出場を目指す唐津商業が、昨秋・今春の県大会を制した第1シードの龍谷を10-3で破る金星を挙げた。投打の柱である木本夢翔投手(3年)が、投げては8回途中3失点の粘投、打っては決勝打を含む2安打4打点の大活躍で、チームを勝利に導いた。
大阪桐蔭を抑えた自信胸に、粘りの8回3失点
「自分には経験がある。慌てることはなかった」。マウンド上の木本夢翔投手は、冷静だった。最速は142キロだが、この日は最速で139キロと130キロ台止まりだった。初回から6イニング連続で先頭打者の出塁を許す苦しい展開だった。しかし、大崩れすることなく、ストレートとスライダー、チェンジアップを織り交ぜ、要所を締めるピッチングで8回途中を9安打7奪三振3失点と、第1シードの龍谷打線に粘りの投球を見せた。
バットでも非凡な才能を見せつけた。「3番・投手」で出場すると、1-1の同点で迎えた5回2死一、二塁のチャンスで、勝ち越しのレフト前タイムリーヒット。「自分が取られたので自分で還す」と、自らのバットで試合をひっくり返した。とどめは8回無死満塁の場面。甘く入った変化球を捉えた打球は、中堅手の頭上を越える走者一掃の3点タイムリー三塁打となり、試合を決定づけた。
9回、右足がつりかけ、完投こそ逃したものの、エースとしての責任を果たした。「最後までいけなかったことは悔しいけど、勝てたことが大きい」と、汗をぬぐった。今春は関西遠征を行い、全国屈指の強豪・大阪桐蔭を相手に、8回1死まで無安打に抑える投球を見せた。「向こうもまだ調整段階」と謙遜するが、西の横綱を抑え込んだ経験が、この日の粘り強い投球につながった。
7回2アウトから4者連続三振など、試合後半にもしっかりと力をキープしていた。その全力投球で9回には降板したものの、まだまだ力を出せそうな投手だ。次は昨年の夏に甲子園に出場している有田工業が相手、厳しい相手との対戦が続くが、思い切り腕を振って夢に向かって翔けあがりたい。
木本夢翔投手 プロフィール
- 氏名:木本 夢翔(きもと ゆめと)
- 生年月日:2007年6月14日
- 出身地:佐賀県唐津市
- 経歴:相知レインボー(相知小1年) – 相知中学校(軟式野球部) – 唐津商業高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:177cm・66kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:投打でチームを牽引する二刀流エース。2025年夏の佐賀大会2回戦で、優勝候補の龍谷を相手に8回途中3失点の好投、打っても決勝打を含む2安打4打点と活躍。今春の練習試合では大阪桐蔭相手に8回途中まで無安打投球を披露。最速142キロ。憧れの投手は西武・今井達也。唐津商業では1年秋からベンチ入り。



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