東京六大学が2026年からDH制導入、日本最古の大学リーグが101年目に改革

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今年、創設100周年を迎える東京六大学リーグが、101年目の2026年からDH制を導入する事を決めた。日本最古の大学野球リーグが改革を行う。

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DH制の歴史

プロ野球ではパ・リーグがDH制を導入しているが、セ・リーグは導入していない。そもそもDH制は1973年にMLBのアメリカン・リーグで採用され、その後、MLBでは2022年からナ・リーグでもDH制を導入し、日本のパ・リーグが1975年に導入している。現在では国際大会は多くがDH制で行われている。

大学リーグでは1992年から大学野球選手権でDH制が導入され、1994年には東都リーグがDH制となった。その後、多くのリーグがDH制を導入したが、東京六大学リーグと関西学生野球連盟だけが導入していない。また、明治神宮大会もDH制ではなく投手が打席に立っている。社会人野球は日本選手権が1988年に、都市対抗野球が1989年にDH制となっている。

そしてこの日、東京六大学が2026年の春のリーグからDH制を導入することを決めた。今年春からの導入も検討されたが、「100年は同じ野球でいきましょう」とリーグ100年目の今年は1年目と同じように投手が打席に立ち、101年目となる来年からDH制となる。

DH制導入で東京六大学の野球は変わるか?

早稲田大の小宮山監督は「ピッチャーが打席に立つ野球をしてきたのをあきらめるのは残念だが、世の中の流れなのでやむを得ないと思う」と話す。その上で、「高校生の勧誘で、打つだけ番長も獲れるメリットは出てきた」と話し、打撃に秀でた選手の獲得も視野にいれる。

法政大の大島監督も「選手の出場機会が増えるので歓迎。投手に代打を送るかなどの悩みは少なくなる」と話し、投手交代の采配面で、負担が軽減されると話した。

また、早稲田大のエース・伊藤樹投手は「疲労が減ると思いますが、これまでの攻守の流れが変わってくる部分もある。どちらかというと投手に追い風なのでやってみたかった」と話す一方で、「見る側としては、ピッチャーのバッティングを見られないのは寂しい。大谷選手のように投打二刀流で活躍できるような選手が出て来た時は、チームとして難しい判断を迫られそう」と話す。東大のエース・渡辺向輝投手は、「継投が多い東大としては、ピッチャーに専念できるのはいいこと」と投手に専念できるメリットを挙げた。

プロ野球でみると、DH制を導入しているパ・リーグと導入していないセ・リーグでの比較が行われ、日本シリーズで2013年から2020年までパ・リーグが日本一になっていたことでDH制による野球の差を指摘する声もあった。DHで出場する選手の打撃力や、1番から9番まで息を抜けない打線、そして投手についてもセ・リーグに比べるとストレートに強さのある投手が多い傾向なども挙げられた。

しかし、2021年にヤクルト、2023年に阪神、2024年に横浜DeNAとセ・リーグが優勝し始めるとその声もあまり聞かれなくなった。単にその間に6度日本一になったソフトバンクが強かっただけで、DH制による大きな差というものはそれほどないように見える。

一方で、アマチュア野球の場合、エースで4番を打つような野球の能力が突出した選手がいた場合、投手だけに限定する事のデメリットもある。ただし、すでに投手が投手として、野手が野手としてプレーしているカテゴリ(例えば社会人野球)であれば、その課題も小さくなる。

東京六大学は全国から選手が集まるリーグで、大学生のリーグでもレベルは非常に高く、選手の層も厚い。すでに選手の役割が決まった形でプレーしている事が多い。確かに明治大出身の山崎福也選手が六大学通算で打率.264、1本塁打を放ったこともあるし、早稲田大の大石達也投手も二刀流でのプレーを熱望されたり、篠木健太郎投手の打撃なども注目されたが、やはりそれを上回る成績を残せる野手はいるだろうと思う。

アマチュア野球もDH制になるか

ただし、高校生のカテゴリでは4番投手や1番投手といった選手が打撃や足を見せるなど、まだ将来的にどちらが良いと決めきれてない選手も多い。すでに高校野球でも投手は投球のみと分業をしている高校もあると聞くが、野手として可能性を見たい。反面、守備に課題があるものの、打撃は高校生トップクラスという選手の打撃を見たいという思いもあるが、そうなると選手の人数や層の格差がさらに大きくなるかもしれない。

大学生でも野手に転向する可能性を評価してのドラフト会議の指名というのも過去にあった。近大の糸井嘉男選手は投手として140キロ後半の速球を投げていたが、足の速さなど身体能力の高さも注目されており、2023年の自由枠で日本ハムに入団すると、2年で投手から野手に転向した。また、社会人野球の住友金属でプレーした金城龍彦選手は153キロの速球を投げ、社会人野球では投手でプレーしていたものの、横浜ベイスターズの入団テストでは野手として受け、ドラフト5位で内野手として指名された。

スカウトとしては、高校時に打撃のセンスも評価していた投手は、その上のステージでも打撃を見てみたいという選手のいると思う。しかし、現時点で他の大学リーグはほとんどがDH制を導入している状態で、その機会はほぼなくなっている。そのため多くは大学1,2年で自らその役割を決めて、3,4年にレギュラーで出場することを目指す。

楽しみという意味では投手の打撃が見れないものの、打撃に特化した選手を見られるようになるという点で、一長一短という所か。ただし、これから少子化になっていく中で高校野球でのDH制導入は今後もないのではないかと思われ、地方の大学でもDH制解除で試合をするチームも出てくるのではないかと思う。

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この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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コメント

  1. むしろ大谷の登場でDH制が強く肯定されていったように思う
    打力のある投手が見られなくなるって言うけどピッチャーがちょっと打てるくらいじゃもうたいした価値はないし
    大谷が二刀流できたのもDH制のおかげだ