東都大学野球春季リーグ戦では、全勝街道を走る亜細亜大学が昨年の王者・青山学院大学との首位攻防戦に先勝し、開幕7連勝で2022年春以来となる6季ぶりの優勝に王手をかけた。この試合で先発を任された、齊藤汰直投手(4年・武庫之荘総合)投手は右手中指の爪が割れる怪我から約1カ月ぶりに復帰したが、圧巻のピッチングで勝利に貢献し、ドラフト上位候補と目されるその実力を改めて示した。
怪我からの復活!優勝王手呼ぶ8回1失点11奪三振の快投
今秋ドラフト上位候補に挙がる亜細亜大学のエース・齊藤汰直投手が、待ち望まれた復帰登板で期待に応えた。怪我の影響で開幕戦以来マウンドから離れていたが、青学大との首位攻防戦の初戦に先発。東都リーグ初のジャイアンツタウンスタジアムでの開催という「いつもと違う雰囲気でめちゃくちゃ緊張感が」あったというが、「ワクワクした感じもありました」と語り、その緊張感を力に変えた。8回を投げ、許したヒットはわずか2本、1失点。そして、自身3度目の2桁奪三振となる11個の三振を奪う快投を見せ、チームを勝利に導き今季初勝利を挙げた。「追い込んだら低めに集めることをイメージした結果、三振につながったと思います」と、三振を奪うイメージ通りの投球ができたことを振り返った。
最速152キロ直球と落差フォーク!日米6球団スカウト絶賛
齊藤汰直投手の最大の武器は、この試合で自己最速を2キロ更新する152キロをマークした力強いストレートと、落差のあるフォークボールだ。フォークへの手応えについて、「フォークは今までで一番良かった。自信を持って投げました」と胸を張った。
この復活登板には、日米合わせて7球団のスカウトが視察した。
- 巨人・木佐貫洋スカウト:「非常に角度があり、フォークも良かった」
- 横浜DeNA・八馬幹典アマスカウティンググループ・グループリーダー:「スケール感があって、フォームのバランスが良く柔らかさもある。決め球も良い。今年の右投手の中で上位に入る」
- 福岡ソフトバンク・宮田スカウト:「まとまっている。フォークもいい。上位候補は間違いない」
とそれぞれ評価し、ドラフト上位候補という判断となった。
対戦した青学大もエースでドラフト上位候補の中西聖輝投手を立てて、6回2/3を投げて6安打13奪三振2失点という内容に抑えたものの、青学大の安藤寧則監督も「斉藤は東都を代表するいい投手。あれだけの投球をされると打つのは難しい」とその実力を認めざるを得なかった。
宿敵エースとの投げ合い「ここからは自分が抑えていきたい」
リーグ5連覇を目指す青学大との重要な一戦で、齊藤汰直投手は相手エースの中西聖輝投手との投げ合いを制した。4回には青学大の好打者、小田康一郎選手にソロホームランを献上したが、「そこまで甘くない球。相手が上だった」と相手を称えつつ、「強気で抑えようとした結果。この1本で気持ちが切り替えられた」と、その後の投球への切り替えができたことを語った。
「自分が投げられない間、ほかのピッチャーがつないでくれていた。自分の番がきたので絶対にやってやろうと全力で投げました」とエースとしての責任感を胸にマウンドに上がった。特に3年生のブルペンエース井上悠投手が5勝を挙げてチームを牽引してきたことに触れ、「3年生なのにすごい場面で抑えて結果を出してくれた。プレッシャーをかけてしまったが、ここからは自分が抑えていきたい」と語り、今後の登板への強い決意を示した。
優勝まであと1勝となり、チーム、そして正村公弘監督は、「優勝はみんな意識しています。明日一戦必勝で戦っていくしかない」「目の前の試合を1つずつ勝って、結果優勝できるかできないか。優勝は意識していますから。明日も一戦必勝で全員で戦っていきます」と、目の前の試合に集中し、全員で勝利を掴み取ることを誓った。怪我から復帰し、宿敵相手に勝利、そしてチームを優勝王手へと導いたエースが、そしてプロへ向けどのような投球を見せてくれるのか、注目が集まる。
齊藤汰直投手 プロフィール
- 氏名: 齊藤 汰直(さいとう たいち)
- 所属: 亜細亜大学 4年
- 出身: 兵庫県
- 生年月日: 2003年(平15年)12月7日(21歳)
- 経歴: 小浜小学校(ポルテ、川西タイガース)- 宝塚中学校(軟式野球部)- 武庫之荘総合高等学校 – 亜細亜大学(1年春からベンチ入り)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 183cm・90kg
- 最速: 152キロ(自己最速)
- 特徴: 今秋ドラフト上位候補の本格派右腕。最速152キロのストレートと落差のあるフォークが武器。スケール感があり、フォームのバランスも良い。怪我から復帰し、優勝王手のかかった試合で好投。





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