NPB選手会が現役ドラフトの実現を12球団に提案も、全体を考える必要あり

プロ野球ニュース

NBPの選手会は、出場機会の少ない若手選手を指名する、現役ドラフトの具体的な方法を、12球団側に提案していることが分かった。

すでに野球協約に明記

現役ドラフトは、MLBで入団後に一定期間を経過したマイナー選手を獲得できるルール5ドラフトの日本版で、すでに野球協約の第14章にの明記されている。(第14章の全文を下に掲載します。)

しかし、現在はまだ実施されておらず、選手会より具体的な実施方法を提案し、実施につなげる。具体的には、高卒・大卒・社会人から入団後の経過年数、登録日数を基準に、1球団10人程度がプロテクト外とするような方法で、これらの提案は、「日本プロ野球構造改革ビジョン」として近日中に発表するという。

今年は巨人が丸選手、炭谷選手の獲得や、岩隈選手を獲得など大きな動きを見せており、ドラフト会議では高校生卒の若い選手を多く指名した。この動きから現役選手ドラフトが実施に向かう可能性はあるが、MLBと違ってNPBは保有する選手が多くなく、また、毎年多くの若い選手が自由契約になる(育成契約に変更するときも一度自由契約となる、または育成契約を継続するために自由契約になる)ものの、なかなかその選手を獲得する動きは見られない。

球団は、ファームのイースタンリーグ・ウェスタンリーグを、最大で144試合前後行うが、特に1軍選手の故障などが多いと、試合に出場する選手が少なくなって起用に苦労をしていると聞く。北海道日本ハムはこれまで独自に65人を保有枠とし育成契約の選手を保有していなかったが、今年のドラフトで育成ドラフトで初めて選手を指名したのも、ファームの試合を1年間通して行うためという事もある。

どこのチームも保有枠はギリギリの状態で、現役選手ドラフトを行っても、指名されたとしても年に1,2人という事にもなりかねない。保有枠の拡大、または故障者に対する仕組み、ドラフト会議も含めて考える必要がある。

NPB野球協約第14章抜粋

第125条 (選抜会議)
1 選抜会議は、毎年新人選手選択会議終了後7日ないし10日の間にコミッショナーの指定する場所と日時において開催する。この日時と場所は会議の3週間前までにすべての球団に通知される。
2 球団は、球団役員が選抜会議において選手を選抜し、その選手契約を取得することができる。

第126条 (選抜の対象となる選手)
1 選抜の対象となる選手は、選抜会議の日の球団支配下選手数の5分の1に相当する数(1未満の端数は四捨五入するものとする)のその球団が選定した選手とする。
2 各球団は選抜会議の当日コミッショナーに、前項の選手の氏名及び資料を提出しなければならない。

第127条 (選抜の方法)
1 選抜会議は、コミッショナーが議長となる。球団は、選抜の対象選手の中から1回1名順次選抜し、選抜の対象選手がなくなるか、又はすべての球団がそれ以上選抜を希望しない旨表明するまで繰り返す。
2 選抜の順番は次の優先順位により決定する。連盟の優先順位は毎年交代し、球団の優先順位はその年度の連盟選手権試合の勝率順位の逆順とする。優先順位をもつ連盟に属する勝率最下位の球団が第一順位、他の連盟の勝率最下位の球団が第二順位となり、以下連盟交互に第一回選抜の順番を定める。第二回の選抜の順番は第一回選抜の逆順、第三回選抜以下は奇数回の選抜は第一回の順番に、偶数回の選抜は第二回の順番による。同一連盟内に同じ勝率の球団があるときは、コミッショナーがその順位を決定する。なお、初年度の連盟の優先順位は抽せんにより決定する。

第128条 (選抜の拒否)
選抜の対象となる選手及びこれら選手を保有する球団は選抜を拒否してはならない。ただし、同一年度において3名を超える選抜に対しては、これを拒否することができる。

第129条 (選抜金)
選抜により選手契約を取得した球団は、選手契約完了後その選手が所属した球団へ、次の選
抜金を支払わなければならない。
第1回選抜のとき その年度の参稼報酬額に200万円を加算した額に消費税及び地
方消費税を加算した金額。
第2回選抜のとき その年度の参稼報酬額に100万円を加算した額に消費税及び地
方消費税を加算した金額。
第3回選抜以下のとき その年度の参稼報酬額と同額に消費税及び地方消費税を加算した
金額。

第130条 (選抜の撤回)
選抜会議において選抜した球団は、その選抜を撤回することはできない。

第131条 (選抜された選手の保留)
選抜により取得された選手は、第66条(保留の手続き)の規定にかかわらず取得した球団
が保留する。

第132条 (譲渡条項の準用)
この協約における選手契約譲渡に関する条項は別段の定めがない限り、選抜による選手契約
の譲渡に関するそれぞれの場合に準用される。

 

この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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コメント

  1. 育成にすら残れない戦力外通告選手は毎年何人か拾われているのに
    文中に出てきた所謂「育成落ち選手」の移籍がこれまでまったくないのは
    どう考えても12球団が空気を読んでいるとしか思えません。

    個人的には日本独自の現役選手ドラフトをやるよりも
    一時的であろうと40人枠(勿論公開する)を作って、MLBのルール5ドラフトをそっくり真似したほうがうまくいくような気がします。

    新たな分配ドラフトがどのような形になるかは分かりませんが
    12球団が空気を読むことのないシステムであることを強く願います。