10月20日に2022年のドラフト会議が行われました。指名選手の内訳を見て、2022年のドラフト会議がどんなものだったのか分析します。
支配下ドラフト指名選手
( )( )は、順に昨年・一昨年の指名人数
高校 | 大学 | 社会人・独立 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
投手 | 12(16)(12) | 12(17)(19) | 12(10)( 9) | 36(43)(40) |
捕手 | 4( 4)( 3) | 1( 3)( 3) | 0( 0)( 0) | 5( 7)( 6) |
内野手 | 5( 5)(10) | 7( 3)( 7) | 5( 3)( 1) | 17(11)(18) |
外野手 | 4( 5)( 5) | 7( 8)( 3) | 0( 3)( 2) | 11(16)(10) |
合計 | 25(30)(30) | 27(31)(32) | 17(16)(12) | 69(77)(74) |
育成ドラフトの指名人数
( )( )は、順に昨年・一昨年の指名人数
高校 | 大学 | 社会人 | 独立海外 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
投手 | 15 ( 9)(13) |
10 ( 6)(14) |
0 (0)(0) |
4 ( 2)(3) |
29 (17)(30) |
捕手 | 1 ( 5)( 5) |
3 ( 1)( 2) |
0 (0)(0) |
1 ( 2)(1) |
5 ( 8)( 8) |
内野手 | 8 ( 4)( 1) |
2 ( 1)( 1) |
0 (0)(0) |
3 ( 2)(2) |
13 ( 7)( 4) |
外野手 | 3 ( 4)( 3) |
4 ( 5)( 4) |
0 (0)(0) |
3 ( 4)(0) |
10 (13)( 7) |
合計 | 27 (22)(22) |
19 (13)(21) |
0 (0)(0) |
11 (10)(6) |
57 (45)(49) |
クラス別分析
高校生は昨年一昨年に比べて支配下で5人減ったものの、育成で5人増えて、合計52人は全く同じ数字となった。今年は目玉選手が少なかったのは否めないが、全体的には例年と同じくらいの選手が指名されている。
大学生も支配下で4,5人減っているが育成である程度の人数が増えている。やや候補が少ないのではと言われた今年のドラフトだったが、大学生も例年と同じ程度の選手が指名されている。
社会人は3年間で最も多く指名をされた。高校・大学でやや注目選手が少なかったドラフトで、社会人が存在感を見せるのではないかと期待したが、少しだけ存在感を見せただけにとどまった。これはプロ側にも理由があり、各球団で育成環境や組織が充実されていく中で、独自に育てるという意識が強くなっているのではないかと思う。
独立リーグ・海外の選手は育成ドラフトでは3年間で最多となったものの、今年は支配下で独立リーグの選手は指名されなかった。メジャーでプレーした経験のある加藤選手が指名されたのは新しい動きだった。
高校生・大学生に目立った選手が少なく、不作という表現も使われたが、全体の人数的にはそんな事は無かった。ただし、社会人・独立リーグの選手でもっとアピールできるチャンスだったのかもしれない。ただし、上に書いたようにプロ側の育成重視の傾向もある。
ポジション別分析
投手は支配下で昨年よりかなり少なくなったものの、育成では増えており、トータルで65人は一昨年よりは少ないものの去年よりは多かった。
野手を見ると、捕手は例年並み、内野手はトータルで30人は3年間で最も多く、内野手の当たり年だった可能性がある。大学生はトータルで21人と、外野手の当たり年と言われた昨年より8人減ったものの、一昨年よりは多く、平均的と言えるかもしれない。
ただし、指名を見てみると、1位で内野手は高校生のイヒネイツア選手のみ。大学生の二遊間が多い年と注目されてきたが、2位で村松開人選手、友杉篤輝選手が指名されたものの、1位指名では蛭間拓哉選手や浅野翔吾選手、森下翔太選手、2位でも西村瑠伊斗選手、古川雄大選手、萩尾匡也選手と、上位指名では外野手が目立った。田中幹也選手や奈良間大己選手、戸井零士選手が下位指名まで残り、立教大の山田選手や法政大の斉藤選手、早稲田大の中川選手、慶応大の下山選手などの指名漏れが、プロ側の需要なのか、選手が伸び悩んだためか、両方の可能性もあるが、プロ側は全体的に打撃を重視する傾向もありそうで、遊撃手でも打撃のある選手を求めるようになり、内野手にとっては難しい時代になってきているかもしれない。
また、ドラフト候補の傾向から野手ドラフトになるという声もあったが、ドラフト1位では矢澤選手も含めて野手が6人、2位も7人が野手の指名となり、これは野手ドラフトと言われた昨年の1位3人、2位7人よりも多くなっている。
以前は投手中心の守りの野球、投手が試合を作っていく戦い方だったが、近年は投手と野手が半々のような、バランスを重視した傾向になりつつあり、今年は特に目玉の選手が少なく、補強ポイント外でも将来のエースになる選手というのが少なく、各球団とも補強ポイントを埋めるドラフトを展開し、投手・野手のバランスが取られた可能性もある。
また選手の方も、これまでは最も運動神経が良く、力のある選手が投手をやっていたのが、俊足の選手が捕手をやったり、140キロ後半を投げる選手がショートや外野をやったりと、志向がバラけているのかもしれない。
結論
指名人数も含めて、多くは例年通りだった今年のドラフト会議だが、昨年に引き続き、ドラフトの目玉と言われる選手が少なかったことは否めない。しかし、コロナ禍においてアピールの機会を得られなかった選手が、次のステージで大きくアピールをする可能性もあり、指名漏れとなった選手の次が注目される。
その中で社会人選手は、高校生や大学生に有力選手が多い年は指名の優先度が低くなってしまい、プロでやれそうな社会人選手が多いと思っている。今年はプロ入りのチャンスだったように思われ、昨年以前に指名解禁となっていた吉村貢司郎投手や小孫竜二投手、船迫大雅投手、福永裕基選手がプロ入を手にしたのは素晴らしかった。
ただし、こういう年に以前だと社会人から目玉選手が飛び出してドラフト界を賑わせていたのが、やや盛り上がりを欠いた感じもする。福留選手や松中選手、古田捕手や、和田一浩選手、内海哲也選手など、社会人選手が輝いた時代に戻ることができるか、社会人野球選手は正念場となっており、今年のドラフトでプロに飛び込む選手も、社会人野球出身の意地を見せて、多くの後輩のために入り口を広げるような活躍を見せて欲しい。
また、少し厳しい話をすると、少子化により、中学生・高校生の野球選手の人数は毎年減少している。村上選手や佐々木朗希投手のように飛び抜けた選手は出てくる一方で、全体的な選手のピークはもうすでに過ぎていると思われ、これからは例年よりも選手が少ない、という事を感じるようになるのは当たり前かもしれない。
少しでも野球に興味をもつ少年が増得るようにする事は、野球選手が、野球に取り組む人全体の課題とも言えそうだ。

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