北海道六大学野球リーグで、北海道日本ハムのエース、伊藤大海投手らを輩出し、リーグ優勝3度の実績を誇る北洋大学(前身・苫小牧駒澤大学)が、学生数の減少などにより、今年度限りで休部することが発表された。この困難な状況の中で迎えた、チームのラストイヤーとなる春季リーグ開幕戦で、エースの藤田和来投手(4年・岐阜聖徳学園高校)がエースの投球を見せ、チームを勝利に導いた。
伊藤大海投手を輩出した伝統、14人のラストシーズン
北洋大学野球部は、2020年のドラフト1位・北海道日本ハムの伊藤大海投手や、元巨人の作田啓一選手など、プロ野球選手を2人輩出している。2018年春には伊藤投手を擁して全日本大学選手権に出場し、全国初勝利を挙げるなど歴史を持つチームである。しかし、学生数の減少という時代の波には逆らえず、休部という決断に至った。1999年の創部から指揮を執り、伊藤大海投手らを育てた大滝敏之監督(70歳)は、「悔しいが、今年がたぶん最後。選手14人で一致団結してやりたい」と語った。
現在の部員は4年生10人(1人留学中)、3年生3人、2年生1人の計14人となっており、1年生がいないという厳しい状況だった。エースの藤田和来投手も「チーム状況も年々きつくなっていて、自分の代でかと。最後、みんなで楽しんで終われれば」と話し、この14人で一丸となり、ラストシーズンを戦い抜くことを誓っている。9季ぶりのリーグ優勝を目指す。
146キロ右腕・エース藤田和来投手が延長10回完封勝利
ラストイヤーとなる春季リーグの開幕戦、道教大旭川校戦に臨んだ北洋大は、エースの藤田和来投手が先発し、延長10回138球を投げ抜いて、わずか2安打で無失点、8奪三振という内容で相手打線を封じ込めた。延長10回に深井聡輔主将(4年・長野・松本国際高校)の決勝適時打で1-0とサヨナラ勝ちをおさめた。休部発表後初の公式戦を白星で飾り、現実を受け止めつつも、チーム一丸となって戦い、勝利を掴んだことに喜びを滲ませた。
藤田投手は187cmの長身から最速146キロのストレートを武器とする右腕。この日の延長10回完封勝利は、彼の投手としての能力と精神力の高さを示すものであった。藤田投手は、指揮官への感謝の思いを胸にマウンドに上がり、「最後ぐらいは監督を(神宮に)連れていければ。1勝でも多くしたい」と語る。
北洋大野球部は静かに幕を閉じるつもりはない。最後に恩師と共に全日本大学野球選手権という大舞台で、華々しいラストイヤーを迎えたい。
藤田和来投手 プロフィール
- 氏名: 藤田 和来(ふじた かずき)
- 所属: 北洋大学 4年
- 経歴: 岐阜聖徳学園高等学校 – 北洋大学
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 187cm78kg
- 最速: 146キロ
- 特徴: 最速146キロの右腕。休部が決まった北洋大学のラストイヤーのエースとして、延長10回完封勝利を飾るなど力投を見せる。


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