全国高校野球選手権大阪大会は決勝が行われ、大阪桐蔭が東大阪大柏原に延長10回タイブレークの末、5-6で敗れた。春夏ともに甲子園出場を逃すのは2019年以来6年ぶり。今秋ドラフト候補の最速153キロ右腕・森陽樹投手(3年)と、主将でエースの中野大虎投手(3年)のプロ注目二枚看板が相手打線に捕まり、2年連続の夏の甲子園出場はならなかった。
プロ注目Wエース、まさかの5失点
絶対王者が、決勝の舞台で涙をのんだ。先発した森陽樹投手は、2回に先制の2点タイムリー二塁打を浴びるなど、3回2失点で降板。4回からマウンドに上がったエースで主将の中野大虎投手も、6回に2本のタイムリーを浴び2失点。自慢の二枚看板が、東大阪大柏原の「打ち出の小づち打法」の前に、本来の力を発揮できなかった。
打線は0-4と4点を追う7回、中野投手の頭部への死球から流れが変わり、押し出し四死球や吉野颯真一塁手(3年)の執念の内野安打などで一挙4点を奪い同点に。試合は延長タイブレークに突入したが、10回に中野投手が勝ち越しの2点タイムリー二塁打を浴び、力尽きた。
西谷監督「監督がうまく導いてやれなかった」
試合後、大阪桐蔭の西谷浩一監督は、「よくやってくれたと思います。苦しい展開になったんですけど、こういうところを追いつけるようなチームになって、だからこそ勝たないといけないゲームでしたし、準備をしてきたのでみんなを信じてやりましたけど、監督がうまく導いてやれなかったと思います。それに尽きます」と、悔しさを滲ませながら選手たちをかばった。
今大会、大阪桐蔭は7試合を戦っているが、4回戦までに森投手は2試合4イニング、中野投手は1試合3イニングと、2年生の153キロ右腕・吉岡貫介投手や145キロ左腕の佐井川湧牙投手が好投し、力をためながら勝ち上がってきた。そして、照準を合わせていた準々決勝の大阪偕星学園戦で森投手が9回3安打12奪三振で完封すると、準決勝の履正社戦は中野投手が7回6安打1失点で勝利し、計画通りの形で決勝戦に臨めたのではないかと思う。
しかし決勝戦では、東大阪大柏原打線の素晴らしい攻撃により、森投手も中野投手も本来の投球ができなかった。中野投手は持ち前の粘りを見せたものの、タイブレークは運の要素もあることから投手力で勝つことはできなかった。
中野はプロ志望表明、森は熟考へ
試合後、プロ注目の二枚看板は、それぞれの進路について話した。
まず、主将としてチームを牽引してきた中野投手は、「出します」と話し、プロ入りへの挑戦を明言した。
一方、森投手は、「今の時点ではあまり考えないようにしています」と、今後熟考する姿勢を示した。
評価としてはスケールも大きく153キロを投げる森投手のほうが、将来性も含めて高く評価されていると見られる。しかし、1年時からやや伸び悩みがあり、今年の投球でも、良い時とそうでない時の状態の波や、ピリッとしないような印象も残ったのではないかと思う。
中野投手は森投手よりも試合を作るコントロールと変化球のコンビネーションがあるが、将来、どこまで成長してくのかという点で、他の高校生右腕投手と比較すると、やや低くなるのではないかと思う。それでも大阪桐蔭の主将としてやってきた事や、森投手という1年時から怪物と称された投手がいる中で比較されながら今の役割を担っていると考えると、それから開放されたこれからが、中野投手がどのように成長していくのかが楽しみでもある。
6年ぶりに春夏連続で甲子園の土を踏むことができなかった名門・大阪桐蔭。悔しさを胸に、二人の逸材はそれぞれの次のステージへと歩みを進める。森投手の決断にも注目したい。
森陽樹投手 プロフィール
- 氏名:森 陽樹(もり はるき)
- 生年月日:2007年8月1日
- 出身地:宮崎県延岡市
- 経歴:東海東少年野球クラブ(小1) – 聖心ウルスラ学園聡明中学校(軟式野球部) – 大阪桐蔭高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:190cm・92kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速153キロ、身長190cmを誇る今秋ドラフト上位候補の大型右腕。2025年夏の大阪大会決勝で先発するも3回2失点で降板。卒業後の進路については熟考する姿勢。2年春夏に甲子園出場。
中野大虎投手 プロフィール
- 氏名:中野 大虎(なかの だいと)
- 生年月日:2007年6月18日
- 出身地:大阪府和泉市
- 経歴:大阪泉州ボーイズ(小6~) – 浜寺ボーイズ(中学) – 大阪桐蔭高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・79kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:プロ注目の最速149キロ右腕。大阪桐蔭の主将でエース。2025年夏の大阪大会決勝でリリーフ登板するも、延長タイブレークで決勝点を許す。試合後、プロ志望届の提出を明言。2年春夏に甲子園出場経験あり。











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