全国高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会が行われ、昨春のセンバツ王者・健大高崎(群馬)と、昨夏の覇者・京都国際(京都)が大会8日目の第1試合で対戦する。前年の春夏甲子園優勝校が、翌年の夏の甲子園初戦で対戦するのは史上初。最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)と、昨夏優勝投手の左腕・西村一毅投手(3年)という、プロ注目の両エースの投げ合いが、早くも聖地のボルテージを最高潮に引き上げる。
健大高崎・石垣元気「日本一長い夏に」160キロ宣言
「良いチームなので、できれば初戦でやりたくなかった相手」。健大高崎の青柳博文監督は、抽選結果に苦笑いを浮かべたが、その言葉とは裏腹に、チームは自信に満ち溢れている。今春のセンバツ前に京都国際と練習試合を行い快勝。主将の加藤大成内野手は、相手エースの西村投手から本塁打を放っており、「イメージ的にはいい」としながらも、「春と夏では違うので、そのイメージは消して準備したい」と気を引き締めた。
やはり注目は、今秋ドラフト1位候補の最速158キロ右腕・石垣元気投手だ。チームは群馬大会で下重賢慎投手、山田遼太投手が中心となって投げ、リリーフで左肘のトミー・ジョン手術から復活した昨春センバツV腕の佐藤龍月投手(3年)と石垣投手が必要に応じてリリーフで登板、1年生の石垣聡志投手も先発をしている。そのため、エースの石垣投手は2試合、わずか5イニングしか登板していないが、許したヒットは0本、奪った三振は8つと圧倒的なピッチングをしている。
青柳監督は「3―2とか2―1の試合になると思う。石垣、佐藤、下重を総動員して守り抜きたい」と、投手総力戦を宣言した。甲子園では満を持して石垣元気投手が先発し、なかなか点を奪うことができないと見られる京都国際エース・西村投手との投げ合いに応じる事になりそうだ。
その石垣投手は甲子園練習を終え、「いるだけで楽しい球場。最後は日本一で終わりたい」と決意を述べた。甲子園での160キロ到達にも「試合を重ねていく内に慣れていくと思うので、いけるかなと思います」と話し、「日本一長い夏にしたい」と優勝を誓った。
京都国際・小牧監督「うちは雑草集団」挑戦者として臨む
一方、夏の大会連覇を目指す京都国際の小牧憲継監督は、健大高崎について「はるかに強いですし、うちの方が挑戦者としてやりやすいと思う。相手は中学野球界のスター軍団、うちは雑草集団。選手がどう立ち向かってくれるか、むちゃくちゃ楽しみです」と、チャレンジャーの立場を強調した。
春の練習試合で健大高崎に大敗を喫した経験が、チームの成長を促した。「あの試合でボコボコにしていただき、このままではいけないとスイッチを入れてもらった」と話す。そして、昨夏日本一に貢献したエース左腕・西村一毅投手も、京都大会では4試合34イニングを投げるなど、大車輪の活躍を見せてきた。
試合は大会8日目と最も遅い日となり、「かなり投げたので休ませたかった。1日でもと思っていた」と、エース西村投手の疲労回復の時間が得られたことに感謝し、全く疲労をしていない相手エースとの対戦に万全の状態で臨む。
また、打線も石垣投手の158キロの速球対策として、打撃マシンの距離を近づけ170キロに設定して打ち込むなど、準備に抜かりはない。「少ないワンチャンスをモノにするしかない。西村にしっかり投げてもらって、ロースコアで競って終盤勝負」と、指揮官は勝利への青写真を描く。
この試合でどちらかのエースが甲子園から去ることになるのはもったいないが、健大高崎は多くの投手陣がいる中でも、石垣元気投手が先発し完投する形で挑む事になるだろう。京都国際の西村投手を相手には1失点もすることはできないと思う。そしてこの試合の両投手は、大会後の侍ジャパンU18代表に選ばれる可能性は非常に高いと見られ、ともに日の丸を背負って投げることになると思う。

石垣元気投手 プロフィール
- 氏名:石垣 元気(いしがき げんき)
- 所属:健康福祉大学高崎高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投両打
- 主な特徴や実績:最速158キロを誇る今秋ドラフト1位候補右腕。2025年夏の群馬大会決勝で4回パーフェクト6奪三振の好救援を見せ、チームを2年連続の甲子園出場に導く。昨春のセンバツ優勝投手。4季連続の甲子園出場。
西村一毅投手 プロフィール
- 氏名:西村 一毅(にしむら かずき)
- 所属:京都国際高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:昨夏の甲子園優勝投手。2025年夏の京都大会4回戦で、春の府王者・京都共栄学園相手に延長10回を投げ抜き、毎回の13奪三振、2失点(自責0)の快投で勝利に貢献。プロ9球団が視察。決め球のチェンジアップに加え、力強いストレートも武器。













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