ドラフト会議で、オイシックス新潟アルビレックスBCから球団史上初となる投手の支配下指名(阪神5位)を受けた能登嵩都(のと・しゅうと)投手(24)。大学時代の実績はリーグ戦3試合のみだった右腕を、イースタン・リーグの投手4冠王にまで育て上げたのは、元巨人の投手で同球団の野間口貴彦チームディレクター兼ヘッドコーチ(42)だった。二人三脚で歩んだ2年間が、夢の扉をこじ開けた。
大学4年間で3試合、恩師の「勝負」
運命的な“再会”が、能登投手の野球人生を変えた。旭川大高校3年夏、甲子園初戦で奥川恭伸投手(現ヤクルト)擁する星稜と投手戦を演じた能登投手。当時、巨人のスカウトだった野間口コーチは、その試合を現地で視察し「印象に残っていた」という。
しかし、能登投手は桐蔭横浜大学に進学後、4年間でのリーグ戦登板はわずか3試合。実績は皆無だった。そんな中、オイシックスの編成を担う立場になった野間口コーチは、大学の練習場で再び能登投手に遭遇。その素質に惚れ込み、イースタン・リーグ参入1年目という大事なシーズンに「勝負、かけよう」と、無名同然だった右腕の獲得を決断した。
「クソ!」と泣いた日々、愛のムチで覚醒
入団後、野間口コーチは能登投手のメンタルを徹底的に鍛え直した。結果だけを求め、内容を省みない姿勢を見かねたある日、「俺の前で二度と“NPBに行きたい”なんて言うな」と一喝。NPBの厳しさを知るからこそ、「シンプルに覚悟が足りなかった」と突き放した。
その指導は厳しく、能登投手は「何回も泣かされて。“なんだ、クソ!”って思ったことも」と苦笑いで振り返る。だが、その愛のムチが右腕を覚醒させた。「厳しかったけど野間口さんを信じてやってこられた結果。感謝しかない」。
イースタン4冠、愛称は「栗まんじゅう」
覚悟が決まった能登投手は、今季エースとして開幕投手を務めると、12勝、防御率2.60、勝率.750、102奪三振と、イースタン・リーグの投手4冠を独占。球団初の支配下指名を掴み取った。
今やトレードマークとなった丸刈りは、プロでも継続する意向だ。「やっぱり楽ですし、男らしさもあるのかなと」。その風貌から、ファンには人気漫画「ちいかわ」のキャラクターにちなみ「栗まんじゅう」の愛称で親しまれている。阪神OBの高山俊選手らからも「いい環境だと思う」と背中を押され、「“ここで能登に投げさせておけば大丈夫”っていう必要とされるピッチャーになる」と、甲子園のマウンドでの飛躍を誓った。
能登 嵩都 プロフィール
- 氏名:能登 嵩都(のと しゅうと)
- 所属:オイシックス新潟アルビレックスBC
- 出身:旭川大学高校 – 桐蔭横浜大学
- ポジション:投手
- 投打:右投右打ち
- 身長・体重:184cm・88kg
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト5位(阪神)。最速150キロ。2025年イースタン・リーグで投手4冠(最優秀防御率、最多勝利、最高勝率、最多奪三振)を獲得。










コメント