ドラフト総決算2012 ~第6章~ スタートを切ったと思われたレース

選手コラム

 主役、登場

 2011年高校野球春季大会、巨人、中日、広島、横浜、福岡ソフトバンク、東北楽天の6球団のスカウトが視察に訪れたのは、2011年のドラフト候補選手となる3年生ではなく、2年生の花巻東・大谷翔平投手だった。1回戦で盛岡大付と対戦することになった花巻東だったが、大谷投手が147kmのストレートで3安打13奪三振1失点完投勝利、スカウトに強烈なインパクトを与えた。そして準決勝の盛岡一戦で、2年生で151kmを記録する。また、2年生春までで既に25本塁打を放ち、スラッガーとしても注目を集めていた。

 藤浪晋太郎投手も開花の時を迎えた。7月5日の東海大相模との練習試合、下半身を徹底的に強化した投手は、197cmの長身から147kmの速球を投げ下ろした。夏の大阪大会が開幕すると、初戦で強豪の関大北陽と対戦するが、144kmのストレートで14奪三振、3安打に抑えて完封勝利を挙げ、多くのプロのスカウトを惹きつけた。同じ世代に生まれた190cmの二人の大型投手が同じスタートラインに立ち、今スタートを切る。どちらが勝つのか、全く分からないレースが始まった。

 レースはスタートを切ったのか

 しかし、レースは波乱の様相を呈する。夏の岩手大会、左足に違和感を感じた大谷翔平は、リリーフ登板するも2回途中で4失点、チームは甲子園に勝ちあがったものの予選大会での投球はこれのみだった。一方、藤浪晋太郎は関西創価戦でも6回2安打7奪三振で無失点に抑えるなど快調に勝ち進み、準決勝では優勝候補・履正社との対戦を迎える。

 履正社はプロも注目の海部大斗、石井元を中心に藤浪晋太郎に襲い掛かるが、藤浪晋太郎は強化した下半身を活かして粘りの投球で応戦、177球を投げて7奪三振1失点で完投し勝利を収めたのだが、スタミナは奪われていた。決勝では東大阪大柏原の石川慎吾、福山純平、花本太紀といった選手が藤浪晋太郎に襲い掛かる。6回まで2失点に抑え、6-2と点差を話していたのだが、7回にスタミナが切れ、3失点して降板すると、8回に同点に追いつかれ9回にサヨナラ、手を掛けた甲子園は、快音と共に離れて行った。

 甲子園に出場した花巻東、初戦の相手・帝京は1年生の時に148kmを記録し怪物と騒がれながら苦しんでいた3年生・伊藤拓郎がマウンドに登っていた。大谷翔平は左足の調子が悪く60%の状態で、4番ライトで出場したが、伊藤拓郎が4回途中5失点で降板後、交代するように4回途中からマウンドに登る。

 150kmを記録したものの、6安打に5四死球を与え7-8で終戦。最初の全国の舞台は不完全燃焼に終わるのだった。

 試合後、骨端線損傷と診断された。成長に体が追いつかず、軟骨が折れてしまう病気だ。190cmを越す大谷投手だがまだ体は成長途中だった。スタートしたと思われたレースだったが、まだスタートする段階ではなかったようだ。大谷、そして藤浪、二人揃ってスタートラインに立つ瞬間を、ファンもスカウトも待っていた。

 同じスタートラインへ

 まだ切られていないスタートラインをめざし、同世代が駆け込んでくる。東福岡・森雄大は夏の福岡大会3回戦・筑紫台戦で2安打10奪三振で完封、180cmを越す左腕投手が名乗りを上げる。また、中学時代に藤浪晋太郎と競った選手達が一足早く全国で活躍した。龍谷大平安・高橋大樹は京都大会準決勝・福知山成美戦で2打席連続弾を放ち、プロのスカウトから来年のドラフト1位候補と評価を受けると、甲子園1回戦の新湊戦でレフトスタンド中段に白球を叩き込んだ。

 光星学院に進んだ天才打者・田村龍弘も青森大会決勝で通算20号のホームランを放って甲子園を掴み取ると、甲子園では3本塁打を記録した川上竜平が3番をうち、4番は田村龍弘、そして5番には北條史也が座る。強力打線でチームは決勝まで勝ち進んだが、吉永健太朗、畔上翔、横尾俊建、高山峻などスター軍団をそろえた日大三に敗れ、準優勝を果たした。ここから光星学院の全国制覇への厳しい戦いが始まる。

 続く 

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