新型コロナで得られた教訓、自分を見る・持つ力を

選手コラム

今年は、新型コロナウイルスの影響で、春から夏にかけての各カテゴリの野球が全て中止となった。全ての野球選手に影響を与え、進路などにも影響を与えた。一方で、自分を見る力、自分を持つ力の大切さにも気付かされた年となった。

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自分を見る力

高校野球でも大学野球でも、チームで勝利を目指し、チームメイトと一緒に、同じ量の練習をこなし、試合では監督の指示に通りにプレーすれば、もちろん個人の能力がベースにあるとはいえ、野球選手として成長もするし、活躍することだってできる。

しかし、次のステージに進む時は、個人として評価されていく事になる。野球選手として、現在のチームの勝利という目標と、将来にプロ野球など上のステージで野球を続けたいという2つの目標を併せ持ちながらプレーをすることになるが、ほとんどの選手は、前者に大きく思いが偏った状態でプレーをする。

今年、早稲田大の早川隆久投手が、ドラフト会議で4球団から1位指名された。夏に行われた春季リーグ、そして秋季リーグ戦の投球はものすごく、過去数年を見ても、NO.1の左腕投手として評価できるほどだったと思う。高校時代からクレバーさがあり、大学でもしっかりと結果を残す強さを持っている。

しかし、この早川投手も、今年春先は腕のコンディションが良くなかったというが、春のリーグ戦に向けて、”腕が壊れても、リーグ戦で勝利をしたい”という気持ちだったと聞いた。もし今年、春のリーグ戦がいつもどおり行われていたら、秋の早川投手の成績やドラフト会議での1位指名の姿が見られたのか、それを聞いて少し不安を感じた。あのクレバーな早川投手でさえ、自分の将来よりも、目前のチームの勝利への思いを大きく持ってしまう。

今年、新型コロナウイルスの影響で春先は公式戦どころか、練習試合、そしてチーム練習もできない状態になった。選手は個々で練習メニューを考え、一人で練習をしなければならなかった。その中で、自分の力を高められた選手と、高められなかった選手がいたように思う。

全体練習や試合があれば、他の選手と対戦し、比較して自分の力を評価できる。しかし個人練習となれば、それができず、自分の力を自分で見つめなければならなかった。その中で自分のフォームを見つめ直したり、自分のちからを見つめ直し、自分の成長した姿をイメージして、そこにたどり着いた選手が、今年のドラフト1位で指名された。早川投手もしっかりと自分の能力を高めていた。

上のステージに進むにつれて必要なもの

プロ野球は基本的には個人商売。自分の力をチームに高く買ってもらう事で、そのために選手は個人個人で体を鍛え、技術を磨く。

例年、ドラフト会議で指名される選手は、自分を見る力、自分を持つ力をしっかりと備えている選手だと思うが、特に今年のドラフト会議で指名された選手たちは、その力を持っていると思う。プロ野球でどんな成長をしていくのかが楽しみだ。

そして、来年からは、またいつもどおりのシーズンが来ると信じている。しかし、その中で、チームの勝利の思いに偏ることで、自分の思い描く野球の長い道に進めなくなる選手も出てくるのかもしれない。もちろん、他人と比較しながら、チームの勝利を目指しながら、練習や試合で経験を積んで成長をしていく選手も大勢いる。

最近の選手は高校生も大学生も、インタビューをすると、非常にクレバーに感じる。そしてこれからは、チームの勝利への思いと、自分の野球人生への思いの両方をもつ、クレバーな選手が増えてほしいと思う。

野球の試合はGameという。勝つことは楽しいし、それに向かって必死にやることで、自分を成長させることができる。人生をかけてもよいが、決して、今、自分の体が壊れても良いとか、死んでも勝ちたいという場面になったら、もう一人の自分が自分を見られる冷静さを持ってほしい。

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