2016年ドラフト総決算~その2:新たな光2011年~

田中正義投手、柳裕也投手、藤平尚真投手、寺島成輝投手などが自分を磨き、そして輝きを見せてプロへと進むそのストーリー。今日はその2です。

沈む中に新たな光を

都市は2011年を迎えた。1月にセンバツ出場校の発表があり、出場を決めた高校で歓喜の声が挙がっていた。前年夏の甲子園で1年生で注目を集めた報徳学園の田村伊知郎も、九州学院の萩原英之も早くも2度目の甲子園に挑む。センバツの甲子園は初めてだが、田村はエースとして、萩原は4番打者としてチームを背負う存在となり、風格を見せ始めていた。

世代のトップを走る二人だが、このころになると同学年に追いついてくる選手が出てくる。浦和学院の佐藤拓也は天才的なセンスを見せていた。秋季大会では打率.385で2本塁打と打ちまくり、投げても10試合に完投し6試合に完封し、堂々の背番号1として甲子園出場を決めた。国学院久我山もセンバツ出場を決める。ショートの松田進は187cmの大型ショートで3番を打つ主軸打者となっていた。日大三の金子凌也も秋に4本塁打を放ち一塁手として背番号3を手にしていた。

横浜高校の柳裕也は背番号11で出場メンバー入りを決め、初の甲子園出場を手にしていた。これもすごい事だったが、同じ2年生の山内達也が背番号1をつけ、柳には悔しさも混じっていた。日本文理も2年生の田村勇磨が同じく2年生の波多野陽介との激しい争いのなかで背番号1を手にしていた。

しかし、3.11、東日本を襲った大地震により、喜びの顔は動揺の顔へと変わった。こんな時に野球をしていてもいいのか、甲子園の出場を喜んでもいいのだろうか。結局、遅れて開催されることが決定したセンバツ大会で、2年生たちはこわばった顔で行進をしてく。初めて踏む甲子園の芝生は、戸惑いの思いの中にあった。

その雰囲気を変えた2年生がいた。選手宣誓が決まっていたのは創志学園、創部2年目のチームで主将も2年生だった。野山慎介主将の宣誓が、つらい思いをしている人の心にも一つの光を灯してくれた。「頑張ろう日本」、宣誓に、スローガンに込められた言葉に、「野球なんか」という雰囲気から、「高校生のはつらつとしたプレーで新たな日本を」という雰囲気に変わった。

大会を振り返ると、優勝候補の一角とみられていた報徳学園、エースの田村投手は21世紀枠で出場していた徳島・城南に8点を許して初戦でまさかの敗退となった。九州学院は初戦で国学院久我山と対戦、4番サード・萩原と3番ショートの松田は攻守交替などですれ違う。同学年で意識しないことはなかった。試合は九州学院が8-7で勝利したが萩原はノーヒット、松田は5打数1安打に終わった。萩原は2回戦の履正社戦でもノーヒットに終わり姿を消した。

横浜は波佐見に1-5で敗れ初戦敗退、しかし6回から2番手で登板した柳は、持ち前のコントロールが良く三振を奪う投球を見せ、3回2安打6奪三振1失点と手ごたえをつかんでいた。大会は高城俊人三好匠のいた九州国際大付、海部大斗石井元のいた履正社、臼田哲也菅野剛士のいた東海大相模、そして金子選手の他に吉永健太朗高山俊横尾俊建畔上翔など3年生が力を発揮したチームが4強入りし、決勝では東海大相模が九州国際大付を下して優勝した。

一変

夏の甲子園、この世代の顔ぶれは大きく変わっていた。報徳学園の田村、九州学院の萩原は地方大会で敗れ3度目の甲子園出場はならなかった。そして世代の先頭に一気に躍り出たのが花巻東の大谷翔平だった。甲子園出場を決めた191cmの右腕はすでに怪物の予感を見るものに与えていた。

そして横浜高校では、柳が背番号1を背負って登場した。安定感のある140キロの直球で見事に甲子園出場を勝ち取ったエースとして、全国からマークされる存在になっていた。

大会が始まると大谷翔平が150キロを記録する。日本文理の波多野も145キロを投げた。しかし大谷は成長に伴う腰痛により本調子ではなく、日本文理も初戦で姿を消した。北海の玉熊将一は初戦で完投、明徳義塾に2-3と接戦を演じた。

横浜の柳は初戦で健大高崎の足攻めに苦しみ6回途中まで5失点してマウンドを降りる、チームは9回にサヨナラで勝利したものの悔しいマウンドとなった。続く3回戦の智弁学園戦ではその反省から8回まで1失点の投球を見せる。しかし4-1とリードした9回に落とし穴が待っていた。連打を許すて1アウトも取れずに柳投手が降板すると、後続もその勢いを止められず9回表に8点を奪われ逆転負け、名門・横浜高校らしからぬ敗戦に柳投手にとってはつらい甲子園となった。

東大阪大柏原は2年生エースの福山純平投手の好投が光った。そしてこの大会でベスト4入りした作新学院も快進撃を見せたが、その力となっていたのは2年生の石井一成だった。1番サードで巧みなで強い打球を打ち、足でも得点を生んでいく。プロも注目する存在となった。

大会は日大三が優勝を飾る。光星学院は準優勝となり、この大会でも主軸として活躍した2年生の北條史也田村龍弘に翌年の優勝を託すのだった。

甲子園に出場できなかったチームでも2年生が覚醒を見せている。大阪桐蔭は藤浪晋太郎がエースを継いだ。創価は外野手に回った田中正義に代わり、池田隆英が力を見せ始める。神奈川では打倒・柳に向けて三浦学苑の秋元秀明、橘学苑の黒木優太が注目され始める。

つづく


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