2025年ドラフト10大ニュース

2025年ドラフトニュース

2025年もありがとうございました。今年の個人的なドラフト10大ニュースです。

スポンサーリンク

第1位 佐々木麟太郎選手に2球団が1位指名

今年、ドラフト会議周りで最も衝撃的なニュースとなったのは、ドラフト会議当日だった。2023年に高校通算140本塁打というダントツの本塁打数を記録して注目されながらも、プロ志望届を提出せずにアメリカのスタンフォード大に進んだ佐々木麟太郎選手を、横浜DeNAと福岡ソフトバンクの2球団が1位指名した。

ドラフト情報系のサイトの方では、佐々木麟太郎選手の指名の可能性について触れていた方だったし、10月に入ってからの指名予想でも佐々木選手の1位指名は挙げていたが、やはり本流としては考えられなかったし、特に、高校時代から熱心だった埼玉西武が小島大河選手の1位指名を公表し、もう一つ、可能性があるかもしれないと考えていた巨人も竹丸和幸投手の1位指名を公表した時点で、佐々木選手の1位指名は消えたと考えていた。

それでも、ソフトバンクはアメリカで視察をしていた球団の一つだったので、1位指名予想はできた可能性もある。横浜DeNAについては全くのノーマークだった。

ドラフト後の情報では、12球団が佐々木選手についての反応を見せており、ヤクルトは獲得の調査をしたものの、後にGMに就任する青木氏がアメリカの関係者の動向を確認し、来年のMLBのドラフト会議で、かなり高い順位で指名される可能性があるということで撤退をしたという。また、北海道日本ハムがDeNA、ソフトバンクの1位指名を聞き、栗山CBOが険しい顔を見せていたりと、様々な動きがあった事がうかがえる。

この指名に関する結論が出るのは、福岡ソフトバンクが持つ交渉権の期限である来年7月末となる。その前に行われるMLBのドラフト会議で佐々木選手がどのくらいの評価で指名されるのか、そしてその後に佐々木選手がどのような選択をするのか、2025年のドラフト会議はまだ終わっていない。

2025年ドラフト会議指名選手一覧
2025年のドラフト会議は10月23日に行われ、支配下ドラフトが73人(昨年より4人増)、育成ドラフト43人(同11人減)の合計116人(同7人減)人が指名されました。

第2位 有力高校生がプロ志望届を提出せず

今年の高校生のドラフト戦線は少し異常だった。石垣元気投手(健大高崎)という158キロを記録する超目玉がいたものの、それに続く選手が少なく、特に野手については上位候補として挙げられる選手がほとんどいなかった。その動きを受けて、プロ球団も大学生に集中したドラフト指名を展開する形になった。

高校生の今年のドラフトランキングを示す。

2025年度-高校生のドラフト候補とみんなの評価
ドラフト候補の評価や動画、みなさまのコメントを紹介します

福田拓翔投手(東海大相模)や阪下漣投手(東洋大姫路)のように、故障によって3年時に活躍できずに、大学で成長して状態を挙げてプロ入りを目指すという選手は毎年いる。しかし、高校No.1スラッガーの阿部葉太選手(横浜高)、公立から現れた151キロ左腕・芹澤大地投手(高蔵寺)、153キロの速球を投げ15本塁打を放った二刀流・新井瑛太選手(滝川)、高校2年夏の甲子園で素晴らしい一発を放った田西称選手(小松大谷)、阿部選手と神奈川で互角と評された中村龍之介選手(東海大相模)、2年夏の甲子園エース・西村一毅投手(京都国際)などは、プロ志望届を提出すれば指名が確実と思われる選手で、特に3年時に思うような成績を残せなかったわけでもないのに、プロ志望届を提出しなかった。

特に阿部選手は侍ジャパンU18代表としてU18W杯でも、その卓越した打撃技術を見せており、プロ志望をしていれば2位までには指名されただろう。

これには色々な理由があると思うが、近年、高校生で獲得した選手が、早い年数で育成契約となり、そして戦力外となるケースが特に目立つ。育成制度を球団の都合の良い形で利用し、高校生の育成に余裕を持ってあたれていないと強く感じる。以前は特にドラフト1位指名をした高校生は10年間は見るものという感覚があり、それによって選手も焦ることなくじっくりを成長し、入団から5年くらいして大成した選手もいるが、ドラフト上位で指名された高校生でも2年目くらいで焦り始め、そして3年目あたりで結果を出せないと育成契約となってしまう現実を恐れている。

その世代のトップクラスの選手が4年間で戦力外となり、代わりに大学4年間でじっくり成長した選手がドラフトで指名されるという状況を見ると、とても高校生でプロ入りを薦めることなんでできないだろう。

第3位 侍ジャパン大学代表メンバー続々プロへ

高校生の指名が少なくなる中で、大学生の注目度が増した。そしてそれは、侍ジャパン大学代表でプレーした選手に視線が向けられた。そして4年生で出場した18人のうち、実に16人がドラフト3位までに指名された。

1位指名:中西聖輝小島大河小田康一郎立石正広松下歩叶平川蓮

2位指名:伊藤樹齊藤汰直櫻井頼之介毛利海大谷端将伍

3位指名:山城京平繁永晟勝田成大塚瑠晏秋山俊

4位以下:杉山諒(育成3位)

指名漏れ:山形球道

今年は日本で行われた日米大学野球で、12球団のスカウトの視察の環境も良かったことや、アメリカ代表を相手に5戦全勝という圧倒的な力を見せた事も、この結果に繋がったものと見られる。アメリカ代表は下級生が中心で投手の野手も粗さがあり、既に実戦経験十分の侍ジャパンメンバーが圧倒したが、それにしても初見の150キロ中盤を投げる投手を、いとも簡単に攻略するあたり、やはり今年の日本代表選手のレベルは非常に高かったといえる。

プロでも即戦力として活躍できる選手ばかりで、来年、ルーキーとしての活躍も非常に期待される。

第4位 青学大3年連続複数1位指名

東都リーグの青山学院大からは、今年のドラフト会議でも中西聖輝投手(中日)と小田康一郎内野手(横浜DeNA)が1位指名され、これで3年連続のドラフト1位複数指名となった。

2023:常広羽也斗投手、下村海翔投手
2024:西川史礁外野手、佐々木泰内野手

青山学院大は今年、春秋のリーグ戦と明治神宮大会を制覇、大学野球選手権優勝は逃したものの、2023年、2024年は優勝をしている。東都リーグも6連覇で、下記のようにここ3年間は、大体優勝をしている。これはドラフト1位指名された選手だけではなく、下級生も含めた選手層の豊富さや、チーム状況の良さなどにより好循環が生まれているのであろう。

  東都・春 大学野球選手権 東都・秋 明治神宮大会
2023 優勝 優勝 優勝 準優勝
2024 優勝 優勝 優勝 優勝
2025 優勝 4強 優勝 優勝

これから少子化が更に進むと、選手は、より強豪へと集まるようになり、その存在が圧倒的になっていく事が予想されるが、青山学院大の「王朝」ができつつある現在は、その兆候が見え始めているのかどうか。

第5位 明治大16年連続ドラフト指名

青山学院大と同じく、東京六大学の明治大もドラフト会議での偉大な記録を続けている。今年は小島大河選手と大川慈英投手がドラフト1位で、毛利海大投手が2位で指名され、16年連続のドラフト指名となった。

2010年の阪神ドラフト5位・荒木郁也選手の指名がスタートし、1位指名の10人輩出している。プロ野球を全うして引退している選手もおり、その歴史と偉大な長さを感じさせる。

  ドラフト指名選手
2024 宗山塁(1位)、浅利太門(3位)
2023 上田希由翔(1位)、石原勇輝(3位)、村田賢一(4位)
2022 村松開人(2位)
2021 丸山和郁(2位)
2020 入江大生(1位)
2019 森下暢仁(1位)、伊勢大夢(3位)
2018 渡邊佳明(6位)
2017 斉藤大将(1位)
2016 柳裕也(1位)、星知弥(2位)、佐野恵太(9位)、中道勝士(育成5位)
2015 高山俊(1位)、上原健太(1位)、坂本誠志郎(2位)
2014 山崎福也(1位)
2013 岡大海(3位)
2012 上本崇司(3位)
2011 野村祐輔(1位)、島内宏明(6位)
2010 荒木郁也(5位)
2009 指名なし

第6位 北海道の選手が注目集める

北海道日本ハムは毎年、北海道関係の選手もリストアップをしているが、今年は最終的なドラフト指名候補を70人に絞り込んだ時点でも、そのうち北海道関係者が10人も入っており、全員が北海道関係選手の指名となる可能性もあったほどだ。

健大高崎・石垣元気:1位・登別市
仙台大・平川蓮:1位・札幌市
中京大・秋山俊:3位・登別市
東洋大・宮下朝陽:3位・黒松内町
北海学園大・工藤泰己:4位・札幌市
札幌日大・窪田洋祐:4位・由仁町
明秀日立・能戸輝夢:4位・音更町
北海学園大・髙谷舟:5位・札幌市
明徳義塾・藤森海斗:5位・札幌市
オイシックス新潟・能登嵩都:5位・旭川市
北海学園大・常谷拓輝:育成1位・江別市
富山GRNサンダーバーズ・幌村黛汰:育成1位・静内町
立正大・林燦:育成2位・千歳市

北海道出身選手を見ても、1位から下位まで、そして育成と、まんべんなく指名をされている。以前は北海道は冬の雪や寒さにより、練習環境に恵まれない地とされてきたが、近年は逆に、夏の暑さによって本土で練習ができにくくなる中で、夏でも他に比べるとまだ屋外で練習やプレーができる北海道のほうが、練習環境に恵まれているのかもしれない。

第7位 社会人野球からのドラフト指名は増えず

高校生の上位指名候補がプロ入りを回避し、昨年、独立リーグの選手が大量に指名されていた事から、今年は独立リーグの選手の指名が少なくなると予想されていた。そして、それは指名人数が減っている社会人選手にチャンスの年と思われたが、指名人数は昨年の13人が12人へと減少した。その分大学生が54人指名され、完全に差をつけられた。

社会人野球選手では鷺宮製作所の竹丸和幸投手が巨人に1位指名を公表され、1位指名となったものの、ドラフト3位以内で指名されたのは一人だけだった。育成指名ができないこともあり、ドラフト会議では5位前後で社会人選手を指名するのが定型化されてしまい、11人が4位以降に指名されている。

野手ドラフトが続く中で、社会人野球の主軸を打つベテラン選手の壁を、大卒1年、2年で突き破れないというのがあるが、2023年の度会隆輝選手(1位)や、津田啓史選手(2位)の例もあるし、来年は柴崎聖人選手(王子)や藤澤涼介選手(東京ガス)などが1年目でレギュラーとして活躍を見せている。投手ではドラフト1位ルーキーだった伊原陵人投手(阪神)や竹田祐投手が1年目から通用する所を見せており、社会人出身選手の使命としてプロで活躍をし、社会人選手の上位指名が増えるようにしたい。

ただし、社会人野球も1年目2年目の選手の大会であったり、リーグ戦だったり、社会人カテゴリの代表のPRなど、まだまだできることもあると思う。

第8位 ドラフトの目玉・立石選手は3球団競合の末に阪神が獲得

今年のドラフトの目玉は、創価大の立石正広選手だった。昨秋の明治神宮大会で4試合で10安打2本塁打6打点と大活躍を見せ、春のリーグ戦では5本塁打を放ち、ホームラン王と打点王、MVPを獲得した。しかも、大学代表でもトップクラスの俊足に、二遊間を守れる事や、素晴らしい強肩もあり、強打の二遊間というプロ側の需要を満たす選手だった。

ドラフト会議前は5球団前後の予想もあったが、実際にはヤクルトが松下歩叶選手を指名、DeNAやソフトバンクが佐々木麟太郎選手の指名をするなど、結果的に事前に指名を公表していた広島と、その年のNo.1を指名する北海道日本ハム、そして阪神の3球団の指名となった。

阪神は2020年に佐藤輝明選手を4球団競合の末に獲得すると、2022年には、浅野翔吾選手を1位指名で外し、森下翔太選手を獲得したが、大山選手と共にドラフト1位指名のスラッガーがチームを引っ張っており、立石選手にもその期待がかかる。

第9位 中野大虎投手、江藤投手など指名漏れ

高校生の有力選手がプロ志望をしない中で、U18代表でも投げた中野大虎投手や、夏に注目を集めた江藤蓮投手(未来富山)、150キロ中盤を記録した中西浩平投手(豊川)などが指名漏れとなった。

大学生では明治大の久野悠斗投手と髙須大雅投手が指名漏れ、下級生時代にスケールの大きさと圧倒的な投球を見せたものの、4年時に台頭した大川投手や毛利投手が上位指名でプロ入りする中で指名はされなかった。また立教大の山形球道選手は4年時にブレークをしたものの指名は無かった。

指名漏れとなったモレチアレシャンドレ投手(誉)はフィリーズとマイナー契約を結んだ。これまでは、大学や社会人で見たい、と見送ってきた選手が、海を渡って海外でプレーするケースも出てくるだろう。一方でプロ野球で高校生を育てる余裕が無くなってきているジレンマもある。

第10位 トミー・ジョン手術のタイミング

健大高崎で、2年のセンバツで石垣投手と共に優勝に貢献をした左のエース・佐藤龍月投手が、2年夏の大会後にトミー・ジョン手術を受けた。リハビリに約1年間かかると言われる中でのこのタイミングの手術により、高校3年時の登板はほとんど不可能だったが、3年夏に少し登板できる状態へとなったものの、1年間をほとんど投げることなくドラフト会議を迎え、3位で指名された。

一方、東洋大姫路の阪下漣投手は3年のセンバツで肘を痛め、手術をせずに最後の夏に少し投球をしたものの、プロ志望はせずに進学を選択した。東海大相模の福田拓翔投手もプロ志望の意思があり、3年時に良い状態であれば志望届を提出し、高く評価されていたかもしれない。

投手にとっての故障、特に肘の故障についての問題は昔も今も変わらないが、トミー・ジョン手術をいつ行うかという決断もさまざまなケースがある。佐藤投手は2年時の評価の貯金があった事や、健大高崎で石垣投手など豊富な投手の層があるチームだったことで、高校3年目を棒に振る決断をし、ドラフト3位指名という結果になったが、他のチームではその決断は難しかっただろう。

昨年のドラフト会議でも、高校生の世代トップクラスだった津嘉山憲志郎投手(神戸国際大付)が2年11月にトミー・ジョン手術を受けたものの、ドラフト会議では育成指名だった。また、川勝空人投手(生光学園)も肘の故障により、3年時に思うように投げられず、3年の夏終了後に右肘の手術を行い、育成ドラフトで指名された。

佐藤龍月投手のケースは、トミー・ジョン手術をしてもドラフト3位指名となった成功事例となるが、2年春のセンバツ優勝という大きな評価や、チームの層の厚さがあってこそのタイミングであり、特殊なケースと言えそうだ。

最後に2026年も多くの選手の夢が叶いますように。

この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

yukiをフォローする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする

コメント