オリックスに入団する底知れぬポテンシャルを秘めた高卒ルーキーたち。ドラフト1位指名の藤川敦也投手(18・延岡学園)と、2位指名の森陽樹投手(18・大阪桐蔭)。奇しくも同じ宮崎県延岡市に縁を持つ二人の大型右腕が、それぞれの想いを胸にプロの世界で「頂点」を目指す。
ドラフト1位・藤川敦也投手「お母さんが自慢できる選手に」
最速153キロを誇る九州No.1右腕、藤川敦也投手は、背番号「31」のユニホームに袖を通し、「この世代のトップを背負っていかなければ」と強い決意を述べた。その元となるは家族への思いだ。小学4年生の時に父・真一さんが他界。「プロ野球選手になるということを常に考え、一緒に行動してきた」と話し、見事にその目標を叶えると、ドラフト後は仏壇の前で父に報告した。そして、「お母さんが周りに自慢できる選手になりたい」。女手一つで育ててくれた母・七恵さんへの恩返しを誓い、プロの厳しい世界へ飛び込む。
中学時代、オリックスのキャンプを見学した際に衝撃を受けたのが、同じ福岡出身の先輩・山下舜平大投手だった。「全員の球が強い中、山下投手はすごかった」。入団が決まると早速、「直球もすごいけど、カーブの強さはすごい。あの落差を聞きたい」と弟子入りを志願。延岡学園の森松部長が、都城高で山本由伸投手(ドジャース)らを指導しており、多くの縁がオリックスへと繋がった。
対戦したい打者には、かつてファンとして応援していたソフトバンクの柳田悠岐選手を指名。「自信はあります」と、真っ向勝負を宣言した。
ドラフト2位・森陽樹「世代No.1奪還へ」覚悟の160キロ宣言
身長190センチの未完の大器、森陽樹投手は「世代No.1」の称号を取り戻す戦いに挑む。大阪桐蔭では1年秋に151キロを計測し“怪物”と呼ばれたが、3年夏は大阪大会決勝で敗退し甲子園を逃した。U-18日本代表も落選。「実力も成績も、もう少しいけた。野球に取り組む姿勢が甘かった」と、挫折を糧に目の色を変えた。
森投手にも縁がある。森選手は延岡市生まれで、軟式の東海東少年野球クラブで競技を始め、聖心ウルスラ学園聡明中では軟式野球部でプレーすると、全国から注目される投手となっていた。進路が注目される中で大阪桐蔭を選択し、地元は逸材が流出したことを非常に残念がっていた。しかし入れ替わるように藤川投手が延岡学園に来て、森投手より上のドラフト1位で指名されている。
現在は体重100キロを目標に肉体改造中。目指すのは「最速160キロ」だ。「山下舜平大選手のような威力のある真っすぐが目標」。阪神・藤川球児監督の現役時代に匹敵する回転数2700を記録したこともある極上の直球を磨き上げ、「将来的に一番活躍できるように」と話し、ドラフト会議では順位で負けた藤川投手へ、プロでの大逆転劇を誓う。
湊球団社長も興奮「ワクワクプラン」
今秋のドラフトでオリックスは支配下7人中5人を高校生で指名した。他球団が即戦力、特に野手の指名を優先させる中で、高校生のナンバー2、ナンバー3の右腕を獲得した。
湊通夫球団社長や福良淳一GMが「ワクワクプラン」と呼ぶ未来への投資。その中心にいるのが、この「延岡コンビ」だ。藤川と森、無限の可能性を秘めた二人が、オリックス投手王国の新たな歴史を築き上げる。
藤川敦也 プロフィール
- 氏名: 藤川 敦也(ふじかわ・あつや)
- 所属: 延岡学園高校(18歳)
- 出身: 福岡県飯塚市(延岡学園高)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 183cm、88kg
- 主な特徴: 最速153キロの直球と多彩な変化球。亡き父との約束を胸にプロ入り。ドラフト1位。
森陽樹 プロフィール
- 氏名: 森 陽樹(もり・はるき)
- 所属: 大阪桐蔭高校(18歳)
- 出身: 宮崎県延岡市(聖心ウルスラ学園聡明中)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 190cm、93kg(目標100kg)
- 主な特徴: 190cmから投げ下ろす角度と回転数の高い直球が武器。目標は160キロ。ドラフト2位。










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