阪神は今秋のドラフト会議に向け、早稲田大学の伊藤樹投手(21)を上位候補としてリストアップしていることが明らかになった。伊藤投手は、5月19日の明治大学戦で東京六大学野球史上25人目となるノーヒットノーランを達成した最速152キロ右腕。その最大の武器は抜群の投球センスと制球力であり、中学時代には全国準優勝、仙台育英高校(宮城)では3年春の選抜高校野球で8強入りを果たし、早稲田大学では昨年に春・秋の東京六大学制覇に貢献するエースとしてリーグ通算18勝を挙げている。
阪神球団関係者が高評価
伊藤樹投手は仙台育英時代に140キロ後半の速球と制球力や変化球などに優れ、すでに精度の高い投球をしており、ドラフト上位候補として注目をされていたが、早稲田大でもその実力は非常に高く、2年秋に4勝、3年秋には6勝を挙げるなど、現時点で東京六大学通算18勝を挙げている。
そして今季も、5月19日の対明治大学戦で史上25人目のノーヒットノーランという快挙を成し遂げたたが、この試合で伊藤投手は、最速152キロのストレートを内外角に正確に投げ分け、切れ味鋭いスプリットを駆使して明治大学の強力打線から11個の三振を奪った。
この完成度の高い右腕に対し、阪神は今秋のドラフト上位候補としてリストアップを行っているという。球団関係者は伊藤投手の能力について、「試合を組み立てる能力は、今年の大学球界では抜けている。変化球を効果的に使って打者を打ち取るコツを知っているように見える。即戦力投手が必要なチームは、欲しがるのではないか」と高く評価、即戦力投手として上位での指名になってくると話した。
甲子園で輝く資質 村上頌樹投手の系譜を受け継ぐか
伊藤投手は仙台市の秀光中学校時代には全国大会で準優勝。宮城・仙台育英高校では1年夏から甲子園のマウンドを経験し、3年春の選抜大会ではチームを8強に導いた。
身長177cmと上背がある方ではないが、最速152キロのストレートは常時140キロ台中盤を計測し、コースにきっちりと投げ込む技術はアマチュア球界でもトップクラス。この制球力の高さは、阪神で現在6勝を挙げている村上頌樹投手に通じる所があり、村上投手も身長175cmながら抜群の制球力に150キロ前後の出力で活躍を続けている。
また阪神は、昨年のドラフト1位で伊原陵人投手を指名しているが、170cmと小柄ながら優れた制球力を武器にとしており、ルーキーイヤーの今季はすでに3勝を挙げている。伊藤投手も甲子園のエースになれる力があると評価が高くなるのは自然だろう。
阪神のドラフト戦略と伊藤樹投手の位置付け
阪神の今秋ドラフト上位候補としては、野手では創価大学の立石正広選手、投手では東北福祉大学の157キロ右腕・堀越啓太投手の名が挙がっているが、「ドラフト1位でのプロ入り」を目標としている伊藤樹投手の評価も非常に高く、現時点では抽選を外した場合の1位候補が有力と言える。しかし、チーム状況や藤川監督の判断次第では、2023年のドラフト1位・下村海翔投手のように、単独1位指名になる可能性もある。
下村投手はトミー・ジョン手術を受けて復帰に向かっている所だが、伊藤投手と同じく、やや小柄な右腕投手で制球力が武器の投手。この下村投手の回復状況も、伊藤投手の指名に影響をしてくるかもしれない。
伊藤樹投手 プロフィール
- 氏名:伊藤 樹(いとう たつき)
- 生年月日:2003年8月24日
- 出身地:秋田県
- 経歴:仙台育英高校 – 早稲田大学(4年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:177cm・84kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速152キロのストレートと切れ味鋭いスプリットが武器の右腕。2025年5月19日の東京六大学野球春季リーグ・明治大学戦で史上25人目のノーヒットノーランを達成。仙台育英高校時代には1年夏、3年春に甲子園出場。早稲田大学では1年春からリーグ戦デビューし、3年夏には大学日本代表にも選出。リーグ通算53試合で18勝3敗、防御率1.88(2025年5月26日時点)。阪神タイガースが今秋ドラフトの上位候補としてリストアップ。



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