全国高校野球選手権東東京大会が5日、神宮球場で開幕し、強豪の二松学舎大付が開幕試合に登場すると、両国に13-0で5回コールド勝ちし白星発進した。この試合で、大橋零(れい)外野手(3年)が2安打3打点と躍動。投げては、元プロ野球選手・川島慶三氏を父に持つ1年生左腕・川島連十(れんと)投手が公式戦初登板で5回参考ながらノーヒットノーランを達成。投打に現れた二人のヒーローの活躍で、首都圏の夏が開幕した。
長嶋茂雄さんの魂受け継ぐ大橋零選手、ミスター流フルスイングで3打点
「小さい頃から長嶋さんを知っていたので、そういう凄い選手に自分もなりたいと思っていた」。長嶋茂雄さんと同じ千葉県佐倉市出身の大橋零選手は初回、3点を先制しなおも1死三塁のチャンスで、右中間を破るタイムリー二塁打。この一打を皮切りに、チームは打者12人の猛攻で初回に8点を奪った。大橋選手は3回にもライト線へタイムリー二塁打を放つなど、2安打3打点でチームのコールド発進に大きく貢献した。
小学4年生の時には、長嶋さんが地元の小学生を指導した最後の野球教室に参加。「凄い人なんだろうなと思った。オーラがあった」と話す。それ以降、「長嶋さんは振る選手。凄いフルスイング、それは意識しています」と話し、フルスイングを心がけるようになった。この日も2本の長打を打ち、「チャンスの場面で回ってきたら絶対に還す。チームの勝利のためのバッティングをできるように」と話した。
外野手としての肩も非常に強く、守備でも打席でも目に留まる選手で、今後も注目の選手となりそうだ。
1年生・川島連十投手、父・慶三氏の前で5回ノーノーデビュー!
またこの日、開幕試合の先発を任されたのは1年生だった。父はヤクルトやソフトバンクで活躍し、「左キラー」の異名を取った川島慶三氏(現オリックス1軍打撃コーチ)。その次男・川島連十投手が、父もプレーした神宮のマウンドで鮮烈なデビューを飾った。試合の約1時間前に先発を告げられたという1年生左腕は、開幕戦の重圧を感じさせない堂々たるピッチングを披露。ストレートを主体に、カーブ、チェンジアップ、フォークを織り交ぜ、82球で5回を無安打無失点。参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。
5回に四球などで2死三塁のピンチを招くと、市原勝人監督から「絶対ノーノーでいけ」と檄が飛んだ。「最後の打者でようやく意識しました」と、最後の打者をライトフライに打ち取り、見事指揮官の期待に応えた。「先輩たちの後押しがあって、落ち着いて投げることができました」と、試合後は初々しい笑顔を見せた。
父とは逆の左投げで、「いつか父を抑えたい」という思いを胸に技術を磨いてきた。理想の投手像は、ソフトバンクなどで活躍した和田毅投手。「自分の中では、まだまだ課題がある。強いボールをコースに投げたい」と話す。
早稲田大時代に神宮で活躍した和田毅投手、そしてプロで神宮で活躍した父親に挨拶代わりの投球を見せ、これからこの神宮で様々な伝説を作り出してゆきそうだ。
大橋零選手 プロフィール
- 氏名:大橋 零(おおはし れい)
- 生年月日:2007年9月19日
- 出身地:千葉県佐倉市
- 経歴:王子台シーガルス(王子台小1年) – 千葉沼南ヤング(臼井西中) – 二松学舎大学附属高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:176cm・85kg
- ポジション:外野手
- 主な特徴や実績:長嶋茂雄さんと同じ千葉県佐倉市出身。小学4年時に長嶋さんの野球教室に参加。「ミスター流フルスイング」を心がける。東東京大会初戦で2安打3打点の活躍。憧れの選手は同校OBのカブス・鈴木誠也。好きな言葉は「諦めない」。
川島連十投手 プロフィール
- 氏名:川島 連十(かわしま れんと)
- 生年月日:2009年9月28日
- 出身地:東京都国立市
- 経歴:国立ヤングスワローズ – 多摩シニア(中学) – 二松学舎大学附属高校(1年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:176cm・70kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:元プロ野球選手・川島慶三氏の次男。2025年夏の東東京大会初戦で公式戦デビューし、5回参考ながらノーヒットノーランを達成。中学時代にはシニア日本代表として全米選手権に出場。目標の選手は元ソフトバンク・和田毅。

コメント