全国高校野球選手権宮城大会は準々決勝が行われ、仙台育英がライバルの東北に3-2で勝利し、ベスト4進出を決めた。プロ注目のエース左腕・吉川陽大投手(3年)が9回を投げ抜き、7安打2失点10奪三振の力投。一時は逆転を許す苦しい展開も、勝負どころで粘りを見せ、見事な逆転勝利を呼び込んだ。
逆境で発揮した「平常心」9回は3者連続三振斬り
吉川陽大投手は1点リードの5回、「全然走ってなかった」というストレートを狙われ、2本の長打と自らのエラーも絡んで2失点、逆転を許した。しかし、ここから崩れずに6回以降は無失点に抑えた。7回に味方が逆転すると、7回1死二、三塁のピンチでは、「自慢のボールを信じ続けて投げた」という伝家の宝刀・カットボールで連続三振。そして最終回には3者連続三振に斬ってとり、この日一番の雄叫びを上げた。136球の熱投だった。
「いい時だけいいなんてのはエースじゃない。今日で一皮むけて、新しい吉川が生まれたんじゃないかな」。試合後、仙台育英の須江航監督は、エースの成長をそう称えた。
DeNAスカウト絶賛「ここぞで投げ切る勝負根性は高校生上位」
この日はプロ注目の147キロ左腕に、7球団12人のスカウトが視察し、DeNAスカウトは、その精神的な強さを高く評価した。
横浜DeNA・稲嶺スカウト:「ここぞで投げ切る勝負根性は高校生上位」
175cm72kgと体に恵まれているわけではないが、その体から湧いてくる力強さを感じる左腕投手に、プロも注目をしている。
母は世界NO1リベロ「平常心でやりなさい」
吉川投手の勝負根性を育てたのは、母・博子さんの言葉だった。バレーボール全日本女子のリベロ第1号として活躍し、「世界NO1リベロ」とも称された母から、常に「普段通り、平常心でやりなさい」と言われ続けてきた。その教えが、この日の逆境を乗り越える力となった。
父・正博さん(62)も元バレーボール女子日本代表監督というアスリート一家。父は「チームのために頑張ろうとする姿が見えたのがとてもうれしい」と、息子の成長に目を細めた。大会直前、気の抜けた練習をしていた吉川投手に対し、須江監督は「果たしてそれで本当にいいのか?」と問いかけたという。その言葉で決意を新たにしたエースは、「仲間を絶対に甲子園に連れて行く。仲間のために投げていきたい」と、その思いをボールに込めた。
吉川陽大投手 プロフィール
- 氏名:吉川 陽大(よしかわ あきひろ)
- 生年月日:2007年12月28日
- 出身地:神奈川県横浜市(出生は広島県広島市)
- 経歴:茅ケ崎エンデバーズ(小3) – 横浜都筑シニア(中学) – 仙台育英高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:176cm・72kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速145キロのプロ注目左腕。2025年夏の宮城大会準々決勝で東北相手に9回2失点10奪三振の完投勝利。DeNAなど7球団のスカウトが視察し、高い評価を受ける。母は元バレーボール全日本代表リベロの吉川博子さん、父・正博さんも元女子代表監督。




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