近畿チャンピオンが勢いづきはじめた。全国高校野球選手権兵庫大会は5回戦が行われ、東洋大姫路が明石商業に1-0で競り勝ち、準々決勝進出を決めた。昨夏の準決勝で0-1で敗れた因縁の相手に、3番・高畑知季内野手(3年)が初回にソロホームランを放つと、先発した木下鷹大投手(3年)の6安打で完封し。投打の柱の活躍で見事雪辱を果たした。
高畑知季選手、ボディービルダー級トレで覚醒
「決め球はインコースのストレートが多い。ここで来るかなと」。狙い澄ました一振りだった。初回2死で打席に立った3番・高畑知季選手は、フルカウントから内角の直球を強振。打球はほっともっとフィールド神戸の左翼スタンド中段に突き刺さる、高校通算5号の先制ソロ本塁打となった。相手は4回戦でノーヒットノーランを達成した明石商業のエース左腕・石原大暉投手だったが、その好投手から放った値千金の一発が決勝点となった。
プロ注目の遊撃手で、昨秋までは守備を売りにした下位打者だったが、冬にハードなウエートトレーニングで肉体改造を行い、体重を約10キロ増やし、ユニフォームがきつくなるほど厚みを増した胸板で、3番を打つようになった。岡田龍生監督も「去年から一番伸びた選手。インボディー(体成分分析装置)の数値も一番高いくらい」と、その成長を絶賛する。「夏は打たないと勝てない」と語る高畑選手、鍛え上げた肉体でパワーを手にし、これからさらにチームを牽引する。
木下鷹大、6安打完封!「チームとして、気合が入っていた」
高畑選手の一発でもぎ取った1点を、背番号1の木下鷹大投手が最後まで守り抜いた。再三ピンチを招きながらも、要所を締めるピッチングで6安打完封勝利、特に3回無死一塁から2者連続で企図された送りバントを、投飛、一邪飛で抑えると、6回1死一、三塁のピンチでもスクイズをファウルにさせた。「明石商さんは低めから高めにバントを構えるので」と、あえて高めに速球を投じ、相手の作戦を封じ込めた。
昨夏の準決勝で敗れた悔しさが、チーム全体の力になっていた。「明石商業には去年の夏、ここで0―1で負けていたので、先輩方からも、きょうは絶対に負けないでくれと連絡をいただいていました」と高畑選手が語れば、木下投手も「チームとして、気合が入っていました」と胸を張った。
明石商・石原投手は8回1失点完投も涙
一方、敗れた明石商業のエース・石原大暉投手も144球の熱投を見せた。初回に決勝弾を浴びたものの、2回以降は粘りの投球で追加点を許さず、8回1失点完投。「ベンチに入れなかった3年生のために全力で腕を振ろうと思っていました。勝てなくて申し訳ないです」と、試合後は唇をかんだ。
昨秋以降、県内公式戦17連勝中の東洋大姫路。14年ぶりの夏の甲子園、そして兵庫大会の秋春夏完全制覇にあと3勝となった。
高畑知季選手 プロフィール
- 氏名:高畑 知季(たかばたけ ともき)
- 所属:東洋大姫路高校(3年)
- ポジション:内野手(遊撃手)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:168cm・67kg
- 主な特徴や実績:2025年夏の兵庫大会5回戦で、明石商業の“ノーノー左腕”石原大暉投手から決勝ソロ本塁打を放つ。高校通算5本塁打。冬場のハードなウエートトレーニングで体重を10kg増やし、長打力が開花。岡田龍生監督も「去年から一番伸びた選手」と評価。
木下鷹大投手 プロフィール
- 氏名:木下 鷹大(きのした ようた)
- 所属:東洋大姫路高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速147キロ右腕。2025年夏の兵庫大会5回戦で明石商業相手に6安打完封勝利。相手のバントを巧みに処理するなど、クレバーな投球も見せた。





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