全国高校野球選手権西東京大会は準々決勝が行われ、4年ぶりの夏の甲子園出場を目指す東海大菅生が佼成学園に4-0で勝利し、4試合連続の完封勝利でベスト4進出を決めた。プロ注目の最速149キロ右腕・藤平寛己投手(3年)が、投打にわたる活躍でチームを牽引。初回に先制の2点タイムリー三塁打を放つと、今夏初登板となったマウンドでは2回を無失点に抑えた。
「打」で先制、「投」で締める
気迫全開で、まずはバットが火を噴いた。「5番・中堅」で出場した藤平寛己選手は、初回2死一、二塁のチャンスで高めの直球を強振。打球は左中間を深々と破る先制の2点タイムリー三塁打となり、力強く拳を握り雄叫びを上げた。「バットを短めに持ってコンパクトにいきました」と、貴重な先制点を振り返った。
マウンドには8回から上がった。今夏初登板となったが、「力を入れた球は打たれない自信はある」という言葉通り、この日最速146キロを計測したストレートを武器に2イニングを1安打無失点。9回には相手4番から空振り三振を奪うなど、試合をきっちりと締めくくった。しかし、本人は「全然ダメでした。高めに浮いていたので、もっと低めに」と、辛口の自己評価で満足する様子はなかった。
ロッテ「直球の強さが魅力」オリックス「空振りが取れる」
この日、視察したネット裏のスカウトからも高く評価する声が聞かれた。
千葉ロッテ・菅野スカウト:「直球の強さが魅力」
オリックス・佐野スカウト:「身長がそこまで高くなくても、しっかりと腕を振って球速をだせる。力を入れた直球で空振りが取れる。テンポが良く変化球でもカウントがとれる。イメージは楽天則本昂大に近い。マウンドさばきも良い」
藤平投手は春の関東大会で登板し、140キロ後半の速球を投げて注目されていた。普段は外野手として出場し、リリーフとして登板するが、この日はストレートも高めに浮いた。しかしカーブでカウントを稼ぎ、決め球にストレートを使うなど、制球が定まらない中でもしっかりと締める力を見せた。
体は大きくないが走る姿も含めて体に強いバネを感じさせる選手で、投手ならば則本、野手ならば打撃技術は及ばないものの中日の岡林選手のように広角に鋭く打てる選手になっていくかもしれない。
「この仲間と絶対に甲子園へ」
この日は、先発したエース左腕・上原慎之輔投手(3年)が7回1安打無失点と完璧な投球を披露。元中日の若林弘泰監督も「今日は完璧ですね。久しぶりに見ました」と絶賛するほどの出来でだった。また、藤平投手についても「藤平様々です」と、リリーフとして全幅の信頼感を寄せている。
2年前のセンバツ以来、甲子園から遠ざかっている。「1回も行ったことないので。この仲間とぜひ行きたいです」と語る背番号10の藤平投手。投打の大黒柱が、チームを4年ぶりの聖地へと導く。
藤平寛己投手 プロフィール
- 氏名:藤平 寛己(ふじひら ひろき)
- 所属:東海大学菅生高校(3年)
- ポジション:投手、外野手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:プロ注目の最速149キロ右腕。2025年夏の西東京大会準々決勝で、リリーフとして今夏初登板し2回無失点。打っても5番打者として先制の2点タイムリー三塁打を放つなど投打で活躍。ロッテ、オリックスなど複数球団のスカウトから高い評価を受ける。




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