全国高校野球選手権大阪大会は準々決勝が行われ、大阪桐蔭が大阪偕星学園に9回サヨナラ勝ちし、5年連続のベスト4進出を決めた。今秋ドラフト上位候補の最速153キロ右腕・森陽樹投手(3年)が、9回3安打12奪三振無失点と圧巻の投球を披露し0-0の投手戦となると、最後は味方のサヨナラスクイズを呼び込んだ。ネット裏には阪神、巨人など9球団のスカウトが集結し、その投球に熱い視線を送った。
113球完封「自分が粘って攻撃に流れを」
「負けたら終わりなので。自分が粘って攻撃に流れをつけることができてよかった」。普段は穏やかでおっとりとした性格と言われる森陽樹投手が、マウンドでは気迫を前面に出した。この日の最速は147キロ。序盤3回をパーフェクトに抑えると、最大のピンチは4回。連打で無死一、二塁とされたが、ここからギアを上げ、クリーンアップを全てスライダーで3者連続三振に。「これまでピンチは直球で押し切ることが多く、ピンチの場面での粘り強さが課題だった」というが、攻めの変化球で成長した姿を見せた。
打線が相手エース・橋本一輝投手(3年)の前に8回まで無得点と苦しむ中、森投手は一人で投げ抜きスコアボードにゼロを並べ続けた。その粘りが、9回裏1死満塁からの黒川虎雅(たいが)二塁手(2年)による劇的なサヨナラスクイズを呼び込んだ。西谷浩一監督も「立ち上がりはいつもそっと入るんですけど、今日は非常に攻めた投球をしていた。頼もしく見ていた」と、エースの投球を絶賛した。
阪神「常にいいパフォーマンス」巨人「直球の走りは良かった」
その圧巻の投球に、ネット裏のプロスカウトも高い評価を与えた。この日、阪神、巨人など9球団が集結した。
阪神・岡本洋介スカウト:「常にいいパフォーマンスができている。」
次戦は宿敵・履正社「やってきたことを出すだけ」
190cmの本格派右腕として1年生の頃からドラフト1位候補注目されてきた森投手、昨年、そしてこの春も素晴らしい球を投げるのだが、打ち込まれる場面も見られ、この夏も背番号は10をつけている。背番号10で臨む最後の夏。「正直、悔しかった。結果で見せるしかないと思った」と、エースナンバーを主将の中野大虎投手(3年)に譲った悔しさを力に変える。
準決勝の相手は、秋春1勝ずつを分け合った宿敵・履正社だ。「履正社だからという気持ちは捨てて、自分たちがやってきたことを出すだけ」。7年ぶりの夏の全国制覇へ、その右腕に全てを懸ける。
フォームの改修など試行錯誤も見られる中で、この日の完封は、1−0のサヨナラ勝利という緊迫した中でこの結果を出せたことは、非常に自信になるのではないかと思う。あとは自信のみ。この投球で一気に吹っ切れて、激しさも感じさせるような圧倒的なピッチングを見たい。
ドラフト会議に向けてはドラフト上位候補という評価は変わることはない。後はこれからの投球次第で1位指名、1位指名確実、そして1位指名競合という評価に変わってくる可能性を持っている。
森陽樹投手 プロフィール
- 氏名:森 陽樹(もり はるき)
- 生年月日:2007年8月1日
- 出身地:宮崎県延岡市
- 経歴:東海東少年野球クラブ(小1) – 聖心ウルスラ学園聡明中学校(軟式野球部) – 大阪桐蔭高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:190cm・92kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速153キロ、身長190cmを誇る今秋ドラフト上位候補の大型右腕。2025年夏の大阪大会準々決勝で9回3安打12奪三振の完封勝利。巨人、阪神など9球団が視察。2年春夏に甲子園出場。直球の回転数はプロトップクラスの2700回転を誇る。









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