全国高校野球選手権高知大会は決勝が行われ、高知中央が明徳義塾に3-2で競り勝ち、2年ぶり2度目の夏の甲子園出場を決めた。試合開始直前にエースが右肘痛を訴え登板を回避する緊急事態の中、背番号10の2年生右腕・堅田徠可(かただ くうが)投手が急遽先発。自己最速を8キロ更新する151キロをマークするなど、9回2失点の熱投でチームを聖地へと導いた。
「やっと投げられる」緊急登板で自己最速8キロ更新の151キロ
大一番で、新たなヒーローが誕生した。試合開始直前、先発予定だったエースの松浦伸広投手(2年)が右肘の痛みを訴え登板を回避。急遽マウンドを託されたのは、今大会1イニングしか投げていなかった2年生右腕・堅田徠可投手だった。試合前のシートノックの後に監督から告げられると、「やっと投げられる」と突然の登板にも、緊張より喜びが勝ったという右腕は、強気に腕を振った。
圧巻だったのは2-2で迎えた8回。1死満塁のピンチを背負うと、ギアを全開にする。150キロを連発し空振り三振を奪うと、続く打者には自己最速を8キロも更新する151キロを計測。カウント3−1で絶体絶命となっても150キロのストレートをど真ん中に投げ込み、最後は中飛に打ち取った。9回も148キロ前後のストレートを投げ続け、最後はインコース低めに148キロが決まり、142球6安打2失点7奪三振で見事な完投勝利を飾った。
「兄を超える存在に」聖地でも腕を振る
「明徳義塾を倒して甲子園に行きたくて、高知中央に入学した」。その言葉通り、昨夏王者の明徳義塾を自らの手で打ち破った。明徳義塾の馬淵史郎監督も「全く予想もしていなかった。ずっと松浦くん対策ばかりやっていて、データも何もない状態。そこであんな球を投げられると苦しい」と、2年生右腕の快投に脱帽した。
今春には前監督が退任し、新入部員の候補選手がその監督のいる藤井学園寒川に入学したため、1年生は0人という異例の事態となった。しかし、PL学園出身の山野司監督が4月に就任すると、基本プレーを繰り返しながら力をつけてきた。「やることは変わらない。甲子園に絶対行くという気持ちで練習してきた」と堅田投手。2023年に同校初の甲子園出場を果たした際のメンバーだった兄・堅田紘可(こうが)選手(横浜商大2年)の存在も大きい。「兄を超える存在になりたい」。その思いを胸に、聖地のマウンドでも腕を振る。
高校2年生の世代は、センバツを制した横浜のエース格で最速152キロ右腕の織田翔希投手や、大谷翔平2世の二刀流・山梨学院の152キロ右腕・菰田陽生選手、沖縄尚学で1年時に150キロを記録している末吉良丞投手、センバツで149キロを記録した市立和歌山の丹羽涼介投手も150キロに到達している。そしてこの夏に153キロを記録した大阪桐蔭の吉岡貫介投手、遊撃手ながら152キロの速球を投げる横浜高の池田聖摩選手など、わかっているだけでも堅田投手も含めて150キロ投手が7人もいる。
織田投手、末吉投手を中心に、この2年生投手が来年、どんなふうになっているのかも想像ができない。いずれにしても、突如出現した新星の甲子園での投球に注目が集まる事は間違いないし、織田投手、末吉投手などとの投げ合いになれば、堅田投手の良さが更に見られるのではないかと期待する。
堅田徠可投手 プロフィール
- 氏名:堅田 徠可(かただ くうが)
- 所属:高知中央高校(2年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速151キロを誇る2年生右腕。2025年夏の高知大会決勝で、エースの緊急降板を受け急遽先発。明徳義塾相手に9回2失点の完投勝利を挙げ、自己最速を8キロ更新した。兄・紘可さんも同校野球部OBで2023年夏の甲子園に出場。









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