今秋に台湾で開催予定の「第14回BFA U18アジア選手権」に向けた高校日本代表候補の強化合宿が5日までの3日間行われたが、静岡の最速147キロ左腕、聖隷クリストファーの高部陸投手(3年)は、2度のシート打撃登板で安打を一本も許さない圧倒的な投球を披露し、全国の強打者との対戦を経て、日の丸を背負うことが「夢」から明確な「目標」へと進化した。最新鋭の測定器トラックマンが弾き出したデータと、ライバルとの技術交流。充実の3日間を過ごした「静岡の至宝」が、侍ジャパンの主力へと名乗りを上げた。
シート打撃で「安打性ゼロ」、トラックマンが証明した直球の威力
高部陸投手にとって、この合宿は自らの立ち位置を世界レベルへと引き上げる重要な転換点となった。3日間の練習のなかで2度シート打撃のマウンドに上がると、初日は横浜の小野舜友内野手(3年)ら強打者延べ10人に対し2三振を奪い、4日も打者5人を相手に2三振。計15人を相手に許した安打はゼロという、非の打ち所がない快投だった。高部投手「3日間を通じ、自分の力が全国のバッターに通用することを改めて感じました(スポーツニッポン)。」と話した。
その自信を裏付けたのが、球場に設置された弾道測定器「トラックマン」のデータだ。高部投手のストレートは、最速タイの147キロを計測しただけでなく、回転数が2500〜2600回というプロ級の数値をマークした。高部投手は自らの特徴をデータで客観的に把握。「自分の特徴を知れた良い機会にもなりました」と、感覚と数値が一致したことに納得の表情を浮かべた。
沖縄尚学・末吉良丞との「秘密の特訓」、3000回転スライダーを吸収
そして全国のトップレベルの選手との交流が、合宿の一番の価値となる。合宿中、高部投手は昨夏の甲子園優勝投手、沖縄尚学の末吉良丞投手(3年)と積極的にコミュニケーションを図った。同じ左腕の逸材同士、意気投合した二人は、互いの持ち味をデータで確認し合いながら、変化球の握りを伝授し合った。末吉投手のスライダーが「3000回転」という驚愕の数値を叩き出していることを知ると、高部投手は「驚きました」と苦笑しつつも、どん欲にその技術を学んだ。
末吉投手から伝授されたのは、縦に鋭く落ちるスライダーとカーブだ。高部投手は「教わったのは変化の速い縦です」と明かし、夏までに自らの球にしようと考えている。そして末吉投手もまた、高部投手の直球の質の高さに「お互いの特徴や良さを語り合えました」と喜びを口にしており、良きライバル関係が築かれている。
「夢から目標へ」、2年連続の甲子園と台湾での勝利を目指して
合宿を終え、高部投手の眼差しは以前よりも鋭さを増している。当初、日の丸を背負うことは「夢」だったが、今はこの合宿での手応えを経て、明確な「目標」へと変わった。そして、2年連続となる夏の甲子園出場、そして9月に台湾で開催されるアジア選手権での優勝という道筋が見えてきた。
選抜不出場組として参加した今回、「全国に通じる」という確信と、新たに手に入れた変化球という収穫を手にし、既に春には浜松西戦で5回パーフェクトの投球を見せている。既に進学を公表していることで、ドラフト候補として取り上げられることはないが、将来の日本を代表する左腕投手として、注目しておく必要がある。
【高部 陸】 プロフィール
- 氏名: 高部陸(たかべ・りく)
- 所属: 聖隷クリストファー高校(3年)
- 出身: 静岡県(浜松南シニア出身)
- 投打: 左投左打
- ポジション: 投手
- 身長・体重: 177cm、75kg
- 主な特徴や実績: 最速147キロ、回転数2500〜2600を誇るプロ注目左腕。2025年夏の甲子園出場。2026年春季県大会予選で5回完全試合を達成。U18代表候補合宿では2度のシート打撃で無安打、4奪三振の快投を見せた。
【末吉 良丞】 プロフィール
- 氏名: 末吉良丞(すえよし・りょうすけ)
- 所属: 沖縄尚学高校(3年)
- 主な特徴や実績: 2025年夏の甲子園優勝投手。U18代表候補合宿にてスライダーの回転数が3000を計測した。高部陸投手とは同じサウスポーとして合宿中に技術交流を深めた、2026年ドラフト上位候補。

スポニチ静岡 高部、侍ジャパンへ手応えの3日間






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