日本野球連盟資格停止処分の吉川投手、「規定知っていれば接触しなかった」

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今年のドラフト会議で上位候補にも名前が挙がっていた元パナソニックの吉川峻平投手、規定に違反してアメリカ大リーグのダイヤモンドバックスのスカウトと接触しマイナー契約を結んでいたが、いろいろ規定を知っていれば接触をしなかった、と話した。

規定を知らなかった

吉川峻平投手はダイヤモンドバックスの関係者と接触したことについて、「1月です。最初は面白い話が聞けるかな、という興味本位だった。」と話し、「その時、規定違反ということも分かっていなかったし、最初からアメリカへ行きたいという思いで会ったわけではありません。その後も何回か会いました」と話した。

所属する社会人野球を統括する日本野球連盟の規定では、プロ球団との接触は7月の都市対抗前までは行ってはいけないというルールがあるが、吉川選手はその規定を知らなかったといい、4月にパナソニックに相談したというが、その時も、「相談した時に、規定があることは知らされなかったので、知らなかったと思います。人任せな発言になりますが、知っていたら誰かは言ってくれていたと思うので」と話し、パナソニック側も規定について理解をしていなかった。

そして、「規定を知っていたら?」の質問に、「もちろん会っていません」と話した。吉川投手は田澤ルールについては知っていたようで、「田沢さんの時のことしか分かっていなかったんです。NPBとMLBの間の協定しか気にしていなかった。ダイヤモンドバックスと会う時も、NPBに問題はないのかと何度も確認はしていましたし」と話した。

社会人として、所属してプレーする社会人野球のルールを「知らなかった」というのは通用しない。パナソニックも日本野球連盟への確認を怠った。その結果、JABAからは資格剥奪処分となり、今後、JABAに所属する社会人チームやクラブチームではプレーできない。またすでにダイヤモンドバックスと契約を交わしていることから、NPBからも田澤ルールが適用されることになり、すぐに日本復帰はできない。

ただし、そのルールを知る機会は選手には必要だと思う。吉川投手も問題発覚後はつらい思いをしたと思う。これは社会人野球だけでなく、高校生、大学生の選手にも、そしてチームや親などにも、進路についての事や、それに付随する契約や規約について説明する時間は必要だろう。

メジャー球団のスカウトへの対策の必要性

現在はNPBとMLBで、日本国内の選手の獲得についての紳士協定が結ばれているものの、明確なルールはない。また、JABAや学生野球協会も、国内に限らずプロ球団と選手の接触についてルールがあるものの、これまでも大谷翔平選手や菊池雄星選手、田澤選手などメジャースカウトが接触し、大谷翔平選手はドラフト前にメジャー挑戦の意思を固めて指名拒否を要望をする所までいっていた。

2012年には韓国の高校NO.1左腕・金聖民投手がオリオールズと契約を結び、金投手は韓国球界を追放され、韓国球界はオリオールズのスカウトを韓国国内の球場に立ち入りを禁止したり、「もし事態が改善されなければ、オフィスに直接乗り込むなり、日本や台湾とも手を組んで対処する」と強硬姿勢を示して、結局、契約は保留され、金投手は九州の日本経済大でプレーしたのち、韓国球界復帰が許され、2016年に韓国ドラフト1位でSKに入団した。

今回も、契約社会のアメリカのダイヤモンドバックスが、JABAの規定を調べられないことはない。そのアメリカに対して紳士協定で済ませていることは大きな問題だろう。非常にタフで面倒くさい交渉事になると思うが、今のままではいけない。

大谷翔平選手が昨年ポスティングで移籍し、MLBで争奪戦が繰り広げられたが、高校時に契約目前まで来ていたドジャースは、「高校の時に獲得していれば」となると思う。そして、今後、日本国内の野球選手に接触をしてくるだろう。

来年は大船渡の佐々木朗希投手が注目されている。すでに157キロを記録しており、世界中を見てもこの世代ではトップクラスに入る選手だろう。その選手をMLBが指をくわえて見ていることはおそらくなく、既に岩手大会にスカウトが姿を見せており、何らかの動きをしてくるとみるべきだ。対策が後手後手になっている日本球界、まずはNPB、JABA,日本学生野球協会が一体となり、ルール決めや契約交渉など、対MLB対策が必要となる。

選手がメジャーに挑戦したいという意思は尊重する。そして、やるのならばルールに乗っ取ってメジャー入りし、本人も思い切りできるように、そして日本のファンも心から応援できる形になって欲しい。

2019年度-高校生のドラフト候補リスト
2018年度-社会人投手-右投のドラフト候補リスト

-日本なら今秋、ドラフト1位で指名される可能性があった。米国に行けば25歳未満の外国人選手はマイナー契約となる。厳しい環境を選んだ理由は。

 「『日本のプロでやって、アメリカで終わる』というのをベースに考えていました。でも、若い段階で行けるならベストだとも思っていました。ダイヤモンドバックスと本格的な話になって、日本からメジャーに行った選手を調べたのですが、高卒でプロに入って、海外FA権を取れれば20代後半で行ける。でも、僕がFA権を取るには、どれだけ順調にいっても30歳は超える。僕としては日本とアメリカなら、アメリカで長くやりたいという思いがありましたし、自分がピークの時にアメリカで野球をしたいという思いも強くて」
「日本で実績を残して、即メジャー契約する方が安定すると思います。でも、未熟で伸びしろがあるうちにアメリカへ行って成長して、アメリカでピークを迎えて終わりたいな、という思いが強くなっていきました」

-契約までの経緯について。パナソニックは今回の事実関係を調査後、吉川投手がダイヤモンドバックスと「都市対抗前に接触していた」と発表している。

 「そうですね。(今年の)1月です。最初は面白い話が聞けるかな、という興味本位だった。その時、規定違反ということも分かっていなかったし、最初からアメリカへ行きたいという思いで会ったわけではありません。その後も何回か会いました」

 -規定を知っていたら?

 「もちろん会っていません」

-4月に会社に相談した時点で誰も規定を分かっていなかった?

 「相談した時に、規定があることは知らされなかったので、知らなかったと思います。人任せな発言になりますが、知っていたら誰かは言ってくれていたと思うので…」

 -13年の沼田投手(※1)のケースは知っていたのか。

 「連盟から規定違反を聞いた時に知りました。僕もいろいろと調べてはいたんですが…。本当に田沢さんの時のこと(※2)しか分かっていなかったんです。NPBとMLBの間の協定しか気にしていなかった。ダイヤモンドバックスと会う時も『NPBに問題はないのか』と何度も確認はしていましたし」

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