社会人野球JABA静岡大会では、ヤマハで高校卒4年目となる左腕の沢山優介投手が明治安田生命戦に先発し、5回を1安打無失点に抑える好投を見せた。この試合には北海道日本ハム、千葉ロッテ、中日の3球団のスカウトが視察に訪れ、ドラフト指名を目指す沢山にとって、大きなアピールの場となった。
スカウト注目のヤマハ・沢山優介が圧巻の投球
身長187cmの長身から最速151キロの速球を投げ込むヤマハのプロ注目左腕・沢山優介投手。この日の明治安田生命戦では、初回に許した二塁打1本のみで、3回以降は全て三者凡退に抑える安定した投球を披露した。15アウトのうち12個がフライアウトという内容で、持ち味のストレートを主体に、2巡目以降はカーブなどの変化球を織り交ぜ、打たせて取るピッチングを展開した。
指名漏れをバネに成長！WBCブラジル代表での経験も自信に
高卒3年目の昨秋のドラフト会議では、9球団から調査書が届いていたものの指名漏れを経験した沢山投手、この悔しさをバネに、「1位で指名されるようになる」とチームメイトに宣言し、冬の期間に徹底的にレベルアップを図ってきた。
変化球の精度向上に取り組み、新たにカットボールを習得すると、食事面でも意識改革を行い、寮食に加え自宅の炊飯器で米を炊き、1日5合を平らげるなど、体重を6キロ増の90キロまで増やした。
この肉体改造により、「直球の回転が良くなり、スピードが出なくても空振りが取れるようになった」と手応えを語る。この日の最速は141キロだったものの、球の重みが増しており、手応えを感じている。
また、沢山の成長を語る上で欠かせないのが、WBCブラジル代表としての経験だ。ブラジル人の父を持ち、2年連続でブラジル代表に選出されると、2026年WBC出場権をかけた予選ラウンド・ドイツ戦（3月）では先発勝利に貢献した。
「並大抵のことでは緊張を感じなくなった」と、国際舞台での経験がメンタル面を大きく成長させたことを明かし、今季初先発となったこの日の好投にも「より自信がついた」と話した。
昨年の巨人3軍戦でもスカウトが高評価
昨年4月のJABA静岡大会でも、準決勝の東京ガス戦で4回無失点のリリーフを見せ、最優秀新人賞を獲得。リリーフながら長いイニングをしっかりと抑える力を見ていたが、昨年の9月には、巨人3軍との試合で4回2安打無失点と好投。この試合には巨人、千葉ロッテ、中日、北海道日本ハム、東北楽天、埼玉西武の6球団13人のスカウトが視察に訪れ、各球団のスカウトから高い評価を得ている。
当時のスカウトのコメント：
- 巨人・榑松スカウト次長: 「縦の角度を持っていて、チェンジアップが切れる。大型だけど割と制球が良い。20歳と若いし魅力がある。左はみんなで取り合いです」
- 東北楽天・後関スカウト部長兼編成ディレクター: 「まずまずだね。ボールに角度があってチェンジアップが有効。真っ直ぐが多少甘くなるから制度がもう少し上がってくれば」
- 中日・松永スカウト部長: 「ボールが暴れなくなり、まとまってきたね。コントロールが良いにこしたことはない。20歳で左。完成形じゃない。ここから」
WBCブラジル代表での経験、そしてこの日の好投で、ドラフトに向けて大きなアピールとなったヤマハの沢山優介投手。指名漏れの悔しさを胸に、更なる成長を誓い、夢の舞台での活躍を目指す。
コメント