社会人野球日本選手権は12日、京セラドーム大阪で決勝が行われ、ヤマハ（静岡）が日本生命（大阪）を2-1で下し、2016年以来9年ぶり2度目の優勝を果たした。エース左腕の佐藤廉投手（26）が1失点完投勝利で胴上げ投手となり、最高殊勲選手賞（MVP）を受賞。来秋ドラフト候補の相羽寛太選手（23）が打撃賞、日本生命の新人・中津大和選手（23）が敢闘賞に輝いた。
エース佐藤廉、7日間で全5試合登板・361球の熱投
ヤマハの大黒柱が、まさに鉄腕の活躍でチームを頂点に導いた。先発したエース左腕・佐藤廉投手は、11安打を浴びながらも粘りの投球。最大のピンチは1点リードで迎えた9回1死二、三塁、一打逆転サヨナラの場面だった。「ここは三振を取らなきゃいけない」。その言葉通り、後続の9番・三島選手、そして敢闘賞を受賞した1番・中津選手をいずれも得意のスライダーで連続空振り三振に斬って取り、マウンドで雄叫びを上げた。
初戦から決勝までの7日間で、先発3試合を含む全5試合に登板。この日の1失点完投で、投球回数は計27イニング1/3、総球数は361球に達した。「最後にマウンドにいることにすごく憧れてきた。まだ日本一になった実感はわきません」と、圧巻のフル回転でMVPに輝いた左腕は、喜びを噛み締めた。
都市対抗首位打者・相羽が打撃賞、来秋ドラフトへ猛アピール
ヤマハの優勝に、バットで大きく貢献したのが来秋ドラフト候補の相羽寛太選手だ。今夏の都市対抗で首位打者に輝いたヒットメーカーは、今大会でも「3番・遊撃」として躍動。決勝でも4打数1安打を放ち、全5試合で安打を記録。大会通算打率.400（20打数8安打）で打撃賞のタイトルを獲得した。
今秋のドラフトで指名漏れを経験したが、「（プロを）目指しながら、ヤマハを優勝に導ければ」と語っていた遊撃手。「個人賞は取れると思っていなかった。優勝したことが何よりもうれしいです」と笑顔を見せ、来秋のドラフト解禁へ向けてこれ以上ないアピールを果たした。
日本生命・中津は敢闘賞、最後の打者に
一方、10年ぶりの優勝にあと一歩届かなかった日本生命。9回1死二、三塁の逆転サヨナラの好機で、最後の打者となったのが「1番・中堅」の新人・中津大和選手だった。準決勝で先制2ランを放つなど、大会通算打率.409と打線を牽引したが、最後はヤマハ・佐藤投手のスライダーにバットが空を切った。
それでも、新人ながら1番打者としてチームを準優勝に導いた活躍が認められ、敢闘賞を受賞。「打てない中で使い続けてくれた監督に感謝しています」と、悔しさの中にも充実感をにじませた。来秋のドラフト候補として、相羽選手と共に社会人野手の中心的存在となりそうだ。
佐藤 廉 プロフィール
- 氏名：佐藤 廉（さとう れん）
- 所属：ヤマハ
- 出身：修徳高校 – 共栄大学
- ポジション：投手
- 投打：左投左打
- 身長・体重：178cm・80kg
- 主な特徴や実績：社会人5年目。今大会全5試合に登板し3勝、決勝で1失点完投勝利を挙げ最高殊勲選手賞（MVP）を受賞。
相羽 寛太 プロフィール
- 氏名：相羽 寛太（あいば かんた）
- 所属：ヤマハ
- 出身：静岡高校
- ポジション：内野手
- 投打：右投左打
- 身長・体重：172cm・75kg
- 主な特徴や実績：2026年ドラフト候補。高卒5年目。今夏の都市対抗首位打者。今大会は打率.400で打撃賞を受賞した。
中津 大和 プロフィール
- 氏名：中津 大和（なかつ やまと）
- 所属：日本生命
- 出身：小松大谷高校 – 法政大学
- ポジション：外野手
- 投打：右投左打
- 身長・体重：180cm・77kg
- 主な特徴や実績：2026年ドラフト候補。社会人1年目。今大会打率.409を記録し敢闘賞を受賞。準決勝で先制2ランを放つなど活躍した。
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