札幌六大学野球春季リーグが開幕し、北海学園大学は星槎道都大学との開幕節で連勝スタートを切った。この日の先発マウンドにはプロ注目の最速159キロ右腕、工藤泰己投手(4年・北海高校)が今季初登板し、11球団のプロ野球スカウトが集結した。
プロ注目159キロ右腕が6回1失点10奪三振
先発マウンドは久々だった事もあり、2戦目の先発となった工藤泰己投手、この日は風速10メートルを超える強風が吹き荒れるコンディションであったが、大きく乱れることはなかった。初回に3者連続三振で立ち上がると、2回には2アウト2,3塁のピンチとなってからこの日最速の154キロのストレートで見逃し三振を奪って抑えた。6回に味方の2つのエラーなどで1点を失ったものの、6回95球を投げて許したヒットはわずか2本、1失点(自責0)という内容で、10個の三振を奪った。
「いつも力が入って初回から力むことが多かったので、力を抜いて安定感ある投球、初回から流れを持ってくる投球を心掛けた。6回はちょっと力を入れようかというところで投球を乱してしまった。結果的に与えてはいけない1点を取られてしまったので、そこは反省」と話し、6回に無安打で1点を失った事について反省を口にしたものの、チームはその後逆転サヨナラ勝ちを収めて開幕2連勝となり、工藤投手は、「本当に良かったです。久しぶりに勝ったなという感じ」と話した。
オフの脱力投法が開花!11球団スカウトも絶賛「東都トップと遜色ない」
工藤投手は最速159キロの力のあるストレートが魅力だが、オフには「脱力投法」に取り組んできた。投球時に捕手を凝視して前に突っ込んでしまうため、「セットに入る時に遠くを見て、それから一瞬捕手の方向を見るのを意識」し、リリース時の無駄な力を抜く練習を重ねた。これにより、本調子ではない中でも「1~3年生の頃よりも楽しく投げられた。力を抜いて安定感ある、流れを持ってくる投球を心がけた。大人の投球ができてよかった」といった投球に繋がった。
この日はプロ11球団、合計29人のスカウトが視察し、北海道日本ハムは4人、巨人は3人態勢で視察した。スカウトからは、
- 巨人・青木高広スカウト:「まとまっている。3月の巨人3軍戦よりもコントロール、球威、キレ、全部レベルが上がっている。どの変化球でもストライクが取れる。体が強そう。遜色ない」
- 北海道日本ハム・白井康勝スカウト:「力みが抜けて、変化球も良くなっている。暖かくなればもっと良くなりそう。去年よりは確実に良くなっている。ボール先行が少ない」
と話し、青木スカウトは東都リーグの投手と比べても「遜色ない」と評価した。
3季ぶり優勝、そして全国へ
北海学園大学は3季ぶりのリーグ優勝、そして4年ぶりの全日本大学選手権出場を目指している。島崎圭介監督が今季チームに掲げている「ナイストライ」というスローガンは、失敗を恐れず挑戦していく姿勢を表している。工藤投手自身も、これまでの力みや失点に繋がった反省点を次への糧とし、大きく進化を見せた。
中学時代は捕手としてプレーし、高校では甲子園に控えでベンチ入りしたが登板はなかった。大学でエースとして成長し、リーグ通算4勝となった。先発として本格的に大成し始めた159キロ右腕が、全国の舞台でその力を見せることができるか、まずは強豪の星槎道都大に2連勝して一歩前進を見せた。そして秋には工藤投手が東都リーグの投手たちの中に割って入り、ドラフト1位で指名される事につながっていくかが注目される。
工藤泰己投手 プロフィール
- 氏名: 工藤 泰己(くどう たいき)
- 所属: 北海学園大学 4年
- 出身: 札幌市
- 生年月日: 2003年(平15年)9月29日(21歳)
- 経歴: 札幌常磐中学校(T・TBC、軟式、捕手)- 北海高等学校(3年時春夏甲子園控え)- 北海学園大学(1年春からベンチ入り、リーグ通算4勝)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 175cm・87kg
- 最速: 159キロ(自己最速)
- 特徴: プロ注目の本格派右腕。最速159キロの力強いストレートと、脱力投法による安定感、変化球の精度が向上。中学時代は捕手。スカウトからも高く評価されている。




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