東都大学野球春季リーグ戦は第4週が行われ、苦しい戦いを強いられている日本大学が、今秋ドラフト候補でエースの市川祐投手(4年・関東第一)の力投で、わずか89球で完封勝利。今季2度目となる「マダックス」を達成し、チームの連敗を7で止める大きな一勝をもたらした。
今季2度目の「マダックス」達成!わずか89球で東洋大を完封
日本大学のエース・市川祐投手は、2年時には東都セブンと呼ばれた武内夏暉投手、西舘勇陽投手、下村海翔投手、草加勝投手などと互角に投げ合うなどリーグ通算16勝を誇る実績がある。今年は4年生となりドラフト候補として注目される中、今季もエースとして国学院大との開幕カードで96球で完封勝利を挙げるマダックスを記録し勝利していたが、青学大との1戦目で9回10安打で力投したもののタイブレークの10回に失点して敗戦となると、中央大との1戦目ではわずか1/3回で3失点し降板し、4月30日の青学大との試合でも2回1失点で降板するなど不安を見せていた。
今週の東洋大とのカードでは初めて1戦目の先発を外れ、この日の2戦目に先発をした。9回を投げ、許したヒットは8本ながらも、四球はゼロ。打たせて取る投球でわずか89球で相手打線を完封し、今季2度目となるマダックスを記録した。これで自身にとっては4度目の完封勝利で、リーグ通算勝利数も17勝に伸ばした。
市川投手は「今日は真っすぐが走っていたので、初回から押せていけた。後半、変化球が多くなくても狙われずにボールを打たせることができた」と話し、「今日負けると入れ替え戦の可能性が高くなるので初回から飛ばして後ろにつなぐ気持ちで投げた結果、ゼロを並べられた」と話した。
チームの7連敗を止めたエース!危機感と粘りの投球
日本大学は前日の東洋大学との初戦を落とし、チームは7連敗中と苦しい状況にあり、勝ち点なしで最下位の危機に瀕していた。試合のなかった先週は、外角低めの真っすぐを意識して投げ込みを続けて調整してきたといい、「今日は、その成果をしっかり出せたと思います」と語り、地道な調整が実を結んだことを示した。9回途中に足をつるアクシデントがあったが、「最後まで投げ切ろうと思っていた」とエースの役割を全うした。
片岡昭吾監督は、市川投手の力投と精神力を高く評価し、「前日と違い、1点差のゲームを勝ち切ることが出来た。マウンド上の姿が俺がカバーしてやる、というように見えたので、良かったんじゃないですか」と話す。連敗については「1点差負けが多く、勝ち切るのが課題だった。市川がよく投げた」と話した。
現在、日大は唯一勝ち点が無い状況で、残すはこのカードの3回戦と、首位を走る亜細亜大とのカードのみとなる。今カードで勝ち点を取らなければ、入れ替え戦の可能性が高くなる非常に難しい状況となりそうで。第3戦も一戦必勝、総力戦で臨む。片岡監督は市川投手には翌日もどこかで投げてもらう期待があることを示唆し、「勝ち点を取らなければ、どうにもならない。一戦必勝の総力戦。市川も、どこかで投げてくれれば」と話した。
昨日の投球を見たが、早稲田大時代の4年時に斎藤佑樹投手のような投球に見えた。ストレートはやや無理をして投げているように見えた。制球力と変化球をうまく使って打たせて取る投球も似ている。この投球で斎藤投手は春2勝、秋4勝を挙げ、秋はリーグ優勝、そして明治神宮大会に優勝、そして侍ジャパン大学代表でも4年連続で選出されるなど、大学野球界に燦然と輝く実績を残した。しかし、プロ入り後には、早稲田実3年時や大学1年時のような球威を見せることができずに苦しんだことは記憶に残っている。
他にも亜細亜大の東浜巨投手が大学4年時にストレートの球威が落ちるなど同じような感じだったが、シーズン4完封を記録するなど春・秋連続で投手3冠に輝いき、リーグ通算35勝を挙げた。東浜投手もプロ入り後には高校時、大学下級生時のような球威を見せることはできなかったが、プロ入り5年目に16勝を挙げるなどその力を見せた。
市川投手も実績と力を見れば、ドラフト上位で指名されてもおかしくないものを持っている。しかし、その評価や判断は分かれる可能性もありそうだ。高校時の東京ドームでのあの球に衝撃を受けた身からすると、市川投手の可能性と、あの球を見たいという思いが強い。今はとにかくリーグ戦の戦いでそれどころではない状況となっていると思うが。
市川祐投手 プロフィール
- 氏名: 市川 祐(いちかわ ゆう)
- 所属: 日本大学 4年
- 経歴: 関東第一高等学校 – 日本大学
- 投打: 右投右打
- 最速: 152キロ
- ポジション: 投手
- リーグ通算勝利数: 17勝
- 特徴: 今秋ドラフト候補のエース右腕。最速152キロ。今季2度、自身4度目の完封勝利(マダックス)を達成。89球での完封は今季2度目。チームの連敗を止める力投を見せた。




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