スタンフォード大学の佐々木麟太郎選手(20)が20日(日本時間21日)、米大学野球1年目のシーズンを終えた。ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)トーナメントの1回戦で、バージニア工科大に4-7で敗退。佐々木選手は「6番・一塁」で出場したが4打数無安打に終わった。
アメリカの大学リーグ・1年目終幕、4打数無安打でプレーオフ初戦敗退
この日は佐々木麟太郎選手にとって初めてのポストシーズンとなったACCトーナメント。高校時代に多く経験していたトーナメント方式だったが、佐々木選手は4打数無安打に終わった。第2、第3打席ではフェンス際まで打球を飛ばすも、あとひと伸びがなかった。そして、2-6とリードを広げられた7回2死満塁のチャンスでは、低めのチェンジアップに手が出て空振り三振に倒れた。試合後、「自分の結果どうこうじゃなくて、負けたことが一番、悔しい。チームに流れを持って来られなかった」と話し、「あの球に手を出してしまったのは悔しい。しっかり自分の中で反省すべきだと思っています」と悔しさをあらわにした。
1年目のシーズン成績は52試合に出場し、打率.269、7本塁打、41打点だった。佐々木選手は高校通算140本塁打を記録していたが、本人も満足いく数字ではないと語る。「単打よりもロングで自分は成績を出してきたのに、シーズン中盤ごろはゴロになる打球が多かった」と長打率が.413にとどまった要因について話した。
精神的な成長と確かな収穫 「怪我なく戦い抜けたことが一番」
成績面では悔しさが残るものの、佐々木選手は1年間の経験を大きな収穫と捉えている。シーズンを振り返り、「時間的にはここに至るまですごく早く感じた。今年は経験をさせていただきましたし、多く学ばせてもらった」と語った。特に、「自分が良くない状況の時にどれだけ最低限の力を出せるか」を学んだという。
開幕直後は好調だったものの、シーズン中盤からは打順が3番から6番に下がるなど低迷を経験。「自分が思っている以上に、重圧を感じているかも」と弱気さものぞかせた。しかし、5月上旬には父であり花巻東高校監督の佐々木洋氏から「思い切って踏み込んでいけ」と助言を受け、それが転機となった。再び打球に本来の角度が出始め、本塁打も放つなど復調の兆しを見せていた。
また、「最終的に成績を振り返ると全然満足してないけど、一番は52試合をしっかり戦い抜けたっていうのはうれしいことでした」と、怪我なくシーズンを完走できたことについては納得するものだった。一昨年の冬に腕など上半身のコンディション不良で手術を受け、高校3年生時は復活に向けて苦しんでいた。まずは初めての環境で多く出場できたことは大きな経験と言える。
デービッド・エスケル監督も佐々木選手を高く評価しており、「彼を誇りに思う。優れた選手になるのは時間の問題だ」と将来への期待を寄せた。
日米大学野球のアメリカ代表選出の可能性も
1年目を終え、佐々木選手は来季への明確な課題と強い決意を胸に刻んでいる。課題としては、打席における打撃の質の向上に加え、守備や走塁を含めた全てにおいてレベルアップが必要だと認識している。「今年は1年生だからっていう言い訳は自分の中でないので、来年はチームの先頭に立って、勝つために貢献できるようにやっていきたい」と、抱負を語った。
今後、MLB入りを目指す選手は多くが7月中旬から8月中旬に開催される「サマーリーグ」に出場して実戦でアピールをする。佐々木選手も出場が期待されるが、7月8日から日本で開催される日米大学野球での米国大学代表選出の可能性もある。成績的にやや厳しいかもしれないが、日本への凱旋ということで選ばれる可能性は十分ある。
そして来年6月のMLBのドラフト会議では指名される可能性があるため、今年のNPBのドラフト会議でも、国内の球団が佐々木選手を先に指名して交渉権を獲得する可能性がある。
佐々木麟太郎選手 プロフィール
- 氏名: 佐々木 麟太郎(ささき りんたろう)
- 経歴: 花巻東高校 – スタンフォード大学
- 投打: 右投左打
- ポジション: 内野手(一塁手)
- 主な実績: 高校通算140本塁打(史上最多)。スタンフォード大学1年目:52試合出場、打率.269、7本塁打、41打点。


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