2013年ドラフト総決算~3つの球場で~

選手コラム 2013年ドラフトニュース

 いよいよ第6章、ドラフト会議の1年前、2012年が始まる、大学から社会人に進んだ選手、高校生の候補も2年生となり、チームの主力となっていく。

2012年開幕

 昨年は東日本大震災の為、決勝戦まで行われなかったスポニチ大会が3月12日に開幕した。その初日の神宮球場第2試合、相手はNTT東日本、半年前まで大学のユニフォームを着ていた東明大貴投手が富士重工のユニフォームを着てマウンドに立つ。そしてその試合、東明大貴は完封で勝利して見せた。JR東日本・吉田一将、そしてセガサミー・浦野博司も中継ぎで次々と新しいユニフォーム姿を見せた。

 続いてはセンバツ大会、昨年は静かな中で行われたように見えたが、普段どおりの盛り上がりが戻ってきたように思える。それ以上だったかもしれない。共に150km/hを記録する190cm以上の大型投手、花巻東の大谷翔平と大阪桐蔭・藤浪晋太郎が初日の初戦で激突する事が決まっていた。

 試合は一方的なものになる。1番に入った森友哉が大谷の球を見定めて2四死球を奪うと、140km/h中盤の速球も甘く入った球を苦にせずヒットにする。7回にはレフトオーバーの2ベースヒットを放った。また、同じく2年生でサードを守った笠松悠哉も逆転となる2点タイムリー2ベースヒットを放ち5打数2安打を記録した。大谷を攻略した打線は、決勝まで勝ち進む。

 笠松悠哉も九州学院戦で逆転の3ランホームラン、健大高崎はダメ押しのホームランを放つ。森友哉は準決勝の健大高崎戦で勝ち越しのホームランを放ち、守備でもワンバウンドの球を捕球して矢のような送球で2塁盗塁を刺す。そしてエース藤浪晋太郎をリードし見事優勝を納めた。

 同じく2年生で注目されたのは聖光学院の園部聡、4番ファーストで出場すると1回戦で3打数2安打、2回戦では横浜高校・柳裕也の前に4打数1安打に終わったが、鋭い打球を見て来年のドラフト候補入りを確信させた。

 

神宮に舞う

 大学リーグも春のシーズンが開幕する。東京六大学では、早稲田大が1年生・吉永健太朗が4勝0敗、防御率1.25でリーグ1位を記録し、最優秀投手となる活躍で優勝を果たした。その輝きには及ばなかったものの、2年間努力を続けた3年生たちが成績を残していく。

 明治大では関谷亮太投手が3勝3敗ながら、防御率1.75でリーグ2位となると、岡大海もリリーフで20イニング以上を投げ、150km/hを越すストレートを連発した。また岡は打撃でも1本塁打に打率.379を記録し、投打に開花をして見せた。法政大でも遊撃手のレギュラーを奪った西浦直亨が2本塁打を記録し、大城戸匠理と共に初の規定打席をクリアした。

 大学選手権、当たり前のように名前を連ねた九州の2大学、福岡大と九州共立大。福岡大は初戦で旋風を起こした奈良産業大に敗れて姿を消したが、九共大は、川満寛弥、大瀬良大地の2枚看板がそれぞれ登板する。2回戦は川満寛弥が広島経済大を完封すると、3回戦は関東の雄・創価大と対戦する。先発は九共大が大瀬良大地、創価大は小川泰弘だった。二人は昨年秋、つまり2011年の明治神宮大会で激突している。そのときは大瀬良が10奪三振も10安打で3失点、対する小川は4安打11奪三振で完封し勝利をしていた。

 この日、小川の4安打7奪三振で2失点に対して、大瀬良は3安打6奪三振で完封し、リベンジを完封でキッチリと返した。

 選手権でも早稲田大・吉永健太朗の快進撃は止まらない。決勝は亜細亜大、九里亜蓮はリーグから調子が上がらなかったものの、大エース・東浜巨投手と嶺井博希のバッテリーで勝ちあがってきたが、吉永健太朗の前に全国制覇はならなかった。

  

決戦の東京ドーム

 都市対抗野球が開幕した。昨年は震災の影響で11月に行われたものが、再び7月開催となる。各企業の応援合戦を披露し、スタンドを社員が埋め尽くす。社会人野球の花形の大会だ。その中でもドラフト候補が躍動する。

 日本生命の吉原正平投手が2試合連続完封を記録する。ドラフト候補として注目されたパナソニックの秋吉亮は先発、リリーフに登板したが、自分としては納得することができず、来年チームに貢献してからプロ入りすることを考えるようになる。

 セガサミー・浦野博司は初戦で先発し勝利し、社会人でも全国の舞台を踏んだ。大学選手権でも顔を合わせていた富士重工の東明大貴も初戦で先発し、2戦目ではJR東日本に敗れたもののリリーフで2回ノーヒット4奪三振に抑えた。

 そのJR東日本は、初戦から準々決勝まで吉田一将が先発し、準決勝ではリリーフ、決勝では再び先発と、完全に吉田のチームとなっていた。その決勝ではJX-ENEOSと対戦、吉田は5回まで1失点と好投したが6回にピンチを招き降板した。JX-ENEOSは三上朋也が先発するも3回で3失点、しかし大城基志などリリーフ陣が踏ん張り、逆転で優勝を果たす。ここから2年間、社会人の頂点を争そうJJ決戦が始まる事になる。

 

3年生に挑む甲子園

 夏の甲子園を目指す選手が特に注目された年だった気がする。花巻東の大谷翔平が160km/hを記録する。大阪では藤浪晋太郎が150km/hの速球でキッチリと勝ち上がる。愛工大名電の濱田達郎も苦しみながら勝ち上がる。3年生のBIG3と呼ばれる投手が注目される中、神奈川では横浜高校を3安打11奪三振3失点に抑えて、決勝の桐蔭学園戦で15奪三振を記録して勝ち上がった2年生がいた。桐光学園・松井裕樹は46回1/3で68奪三振と驚異の数字を記録、中学時代に続いて横浜スタジアムで2度目の優勝を果たした松井裕樹が、甲子園に飛び立つ。

 甲子園はすぐに松井のものになる。初戦の今治西戦、大会新記録となる1試合22奪三振を記録した。

 他の2年生も黙ってはいない。仙台育英の上林誠知は4番を打って初戦で4打数4安打を記録、聖光学院の園部聡も4番を打ち、初戦で昨年覇者の日大三に、2ベースヒット、3ベースヒットを浴びせて勝利を勝ち取ると、浦和学院戦では敗れたものの初回に3ランホームランを放った。東海大甲府の渡辺諒は1番として、また遊撃手としてファインプレーを連発しチームを引っ張る。常総学院の内田靖人も3番サードで初戦にマルチヒットを記録して勝利を飾る。

 2回戦、桐光学園と対戦したのは常総学院、22奪三振を記録した松井裕樹投手対策を行い5点を奪った常総学院だったが、19三振を奪われて屈した。内田靖人は2安打に2三振、対戦は5分だった。

 そんな松井裕樹も光星学院の田村龍弘、北條史也の前に敗れる。15三振を奪ったものの、8回に田村、北條に連続ヒットを浴びて力尽きた。大粒の涙を流し、甲子園のスターとなった松井裕樹は去っていく。プロのスカウトの「今年のメンバーの中でもドラフト1位」という評価を受けた。

 ベスト4まで残った東海大甲府も光星学院に敗れる。遊撃手で類稀なる野球センスを見せ付けた渡辺諒だったが、相手の遊撃手・北條史也の2本塁打を、甲子園の青い空の中に見上げていた。

 優勝したのは大阪桐蔭だった。森友哉は1番捕手として出場し、済々黌戦では同じ2年生の大竹耕太郎からホームランを放つと、続く天理戦でも先頭打者ホームランを放つ。それ以降は、藤浪晋太郎、沢田圭佑のリードに集中し疲れたのか当たりは止まったものの、20打数8安打2本塁打、春夏連覇を達成した。

 

 多くの2年生が3年生に戦いを挑んだ。最終的に藤浪晋太郎が勝利を収めたものの、ヒーローになったのは松井裕樹だったと思う。そして松井裕樹が中心となるドラフト会議までの1年間がスタートする。

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