【ドラフト総決算1】2020年ドラフト会議の指名選手の内訳から見える『大学生までの壁』

2020年ドラフトニュース

2020年ドラフト会議の指名選手の内訳を見ると、今年も社会人野球の選手に厳しかったことが分かります。

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2020年ドラフト会議指名選手の内訳

支配下ドラフト指名選手

( )は昨年の指名人数

  高校 大学 社会人・独立 合計
投手 12(15) 19(13) 9(10) 40(38)
捕手  3(4)  3(5) 0(1)  6(10)
内野手 10(13)  7(2) 1(1) 18(16)
外野手  5(3)  3(5) 2(2) 10(10)
合計 30(35) 32(25) 12(14) 74(74)

支配下・育成指名人数

( )は育成の指名人数、昨年は全体で107人

  高校 大学 社会人 独立 合計
投手 25(13) 33(14) 7(0) 5(3)  70(30)
捕手  8(5)  5(2) 0(0) 1(1)  14(8)
内野手 11(1)  8(1) 1(0) 2(2)  22(4)
外野手  8(3)  7(4) 2(0) 0(0)  17(7)
合計 52(22) 53(21) 10(0) 8(6) 123(49)

クラス別分析

高校、大学、社会人・独立のクラス別でみると、高校生が昨年から5人減、大学生が7人増、そして社会人は2人減となりました。昨年との比較でみると、確かに高校生の減少は新型コロナの影響もあったかもしれませんが、年の誤差の範囲とも考えられるかもしれません。

しかし、新型コロナの影響で、秋にしっかりとリーグ戦を行い、またこれまで1年生から3年生までの実績もある大学生が、公式戦でほとんど見ることができなかった高校生や社会人に比べると有利に働いた可能性があります。

大学生は投手が昨年から6人、内野手5人増え、全体でも32人と、高校生の30人を上回りクラス別でNO.1となりました。ドラフト会議では大体、大学生が中心となりますが、今年は例年通りの結果と言えます。

社会人・独立の合計は昨年から2人の減少、特に野手は3人だけでした。昨年と比べると2人の減少ですが、一昨年は20人が指名されており、昨年同様に社会人・独立リーグにとって厳しいドラフトとなりました。

特に社会人は育成指名が事実上できない感じになっているため、高校生が全体で52人、大学生が53人に対し、社会人は10人しか指名されていません。社会人野球からプロに進むのは非常に難しいという傾向が強く、大学までにプロから指名を受けなければ、プロ入りは難しいという印象を、選手も思っているのではないかと見られます。今後は育成指名も許可するなどの対策をしなければ、選手の社会人離れが進み、結果的に社会人野球の低迷につながる可能性があります。

ただし、ドラフト1位でトヨタ自動車の栗林良吏投手や、ドラフト2位でJR東日本の伊藤将司投手、NTT東日本の佐々木健投手が指名されるなど、上位で指名される選手は高い評価で指名されました。栗林投手と伊藤投手は大学時代も指名候補でしたが、社会人の2年間で実績を固めて上位指名を勝ち取りました。佐々木投手は大学時代はまだ素材型で、指名されても育成ドラフトくらいと見られていましたが、社会人で大きくジャンプアップしました。

また、JFE東日本の今川優馬選手は、大学時に指名されず2年間をフルに活躍し、セルフプロデュースもしっかりと行い、プロ入りをつかみ取りました。今後は社会人からプロ入りするには、活躍はもちろん、セルフプロデュースなどでアピールする事も必要になりそうです。

独立リーグでは行木俊投手が高校卒2年目で支配下指名を勝ち取り、石井大智投手は高専卒で3年目で支配下指名を勝ち取りました。一方で独立リーグで6年目ながら無双の活躍を見せる前川哲投手やメジャーで実績のある田澤純一投手などは指名されず、NPBは若い選手を好む傾向がまだ高いとみられます。

ポジション別分析

ポジション別では、例年通り投手の指名が多く、捕手の指名が少ない結果になりました。昨年は大学生を中心に捕手の当たり年だったこともあります。

投手と野手で見ると、支配下で投手40人:野手34人、育成で投手70人と53人となり、支配下では投手と野手に大きな偏りはありません。投手中心の指名をする球団も複数ある一方で、野手の指名を多くする球団もあり、球界全体的に投手を中心とした守備の野球、または打力を中心とした攻撃野球に偏っているという傾向は無さそうです。

支配下・育成別分析

昨年は育成指名が33人でしたが、今年は49人と大幅に増加しました。これは巨人が大量12人を指名し、また初めて12球団すべてが育成ドラフトで指名したことも影響しています。

支配下では高校生が多くなりそうですが、今年は大学生が21人指名され、佐藤宏樹投手や宇田川優希投手など特に評価の高かった選手や、法政大、駒澤大など、東京六大学や東都リーグの選手も育成指名をうけています。

佐藤投手についてはドラフト直前にトミー・ジョン手術を受けるという事もあり、育成でもプロ入りするという方針となりました。逆に宇田川投手は育成指名の場合には入団しないという方針を伝えていたようで、今後、入団するかどうかが注目されます。

また、大学生が育成でもプロ入りするのには、社会人野球からプロ入りする選手が少なくなっている事や、新型コロナの影響により社会人チームがセレクション活動ができなかったり、会社自体が影響を受け採用が少なくなっているという事もあり、チャンスがあればプロ入りという判断をする傾向はさらに強くなっているように見られます。

結論

今年のドラフトは、新型コロナの影響もあってか、大学生の投手・内野手が中心のドラフトでした。

ヤクルト・広島・東北楽天の3球団が投手中心の指名をする球団がある一方で、ソフトバンク・西武が野手中心の指名を行い、全体的には投手・野手に大きな差はなかった。

社会人、独立リーグの指名人数は少ない傾向が続き、
 ・独立リーグの評価がまだNPBの中で上がってきていない
 ・社会人野球からプロ入りするのは非常に厳しい
傾向にあるとみられます。

そのため、大学生までに指名されないと、プロ入りすることは難しい言う事になり、東京六大学や東都などの強豪大学の選手でも、育成指名でもプロ入りを選択する傾向が強くなっています。

2020年ドラフト会議、主なドラフト指名漏れ選手
評価されていた選手の中で、ドラフトで指名漏れとなった主な選手を挙げます。
この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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コメント

  1. 明治大学軟式野球部2年井上投手はかなりいいボールを投げます。140キロ代のストレートに落差の大きい変化球。注目してほしい選手です。