ドラフト会議前日のスカウト会議ではドラフト1位指名を決めており、吉村GMが「ポテンシャルが最も高い選手を指名する」と決め、公表をしなかったのが達孝太投手だった。
大谷翔平と同じ身長193cm&メジャー志望
多くの球団が、1位指名選手をドラフト当日に持ち越す中で、北海道日本ハムは前日に1位指名選手を決めていた。しかし、公表はしなかった。公表して他球団に情報を与えなくても単独1位指名できると踏んでいたからだろう。
公表をしなかったことでスポーツ紙各紙は風間球打投手を1位指名と予想、高校BIG3の指名の中から誰を一番に評価するかと見られていたが、1位指名したのは193cm右腕の達孝太投手、大谷翔平投手と同じ身長の投手となる。
栗山監督は「本当に良かった。真っすぐでしっかり押し切れる。スケールとして日本のエースでもあるし、世界で勝負ができるくらい、成長の幅が物凄く大きい選手。5年後、10年後が本当に楽しみ」と口にした。達投手は日本で数年間プレーし、メジャーに移籍する夢を公言しているが、メジャーを見ている所も大谷投手と共通していた。
北海道日本ハムはダルビッシュ有投手、大谷翔平投手、そして有原航平投手と、エースが球界を代表するエースとなり、そしてメジャーで世界を代表する選手に挑戦していく。メジャー挑戦を公言した達投手に栗山監督は「エースじゃなくて大エースをつくる命題がある。世界中の人が彼の投球を見に来ることを信じています」と話し、スケールの大きさも評価した。
達投手も「23年にできる新球場は映像も見て知っている。アメリカンチックで一番やりたいと思っていた球場。メジャーという夢のためにも、日本で活躍しないと次はない。経験を積んで、頑張って誰もが納得する結果を出す」と話し、メジャー挑戦に向けてOBにダルビッシュ有投手、大谷投手、有原投手がいることは非常にありがたいことだろう。
日本ハムらしさ
日本ハムは高校生を指名する印象の強い球団となっている。実際にはそれほど高校生に偏ったドラフトは行っていないのだが、清宮幸太郎選手や吉田輝星選手のほか、2018年の万波中正選手、柿木蓮選手の指名などが印象に残っているのだろうか。逆に他球団が高校生の指名を続けると、「日本ハムらしい」と表現されることもあった。
その日本ハムだが、2019年は河野竜生投手と立野和明投手、2020年は伊藤大海投手と五十幡亮汰選手と即戦力選手を1位2位で指名していた。しかし今年は2018年の吉田投手以来の高校生のドラフト1位指名で、日本ハムらしさをみせた。
そしてそれは指名が進むにつれて増していく。2位で有薗直輝選手、4位で阪口楽選手、5位で畔柳亨丞投手、7位で松浦慶斗投手と、高校野球、そしてドラフトファンの中で有名な選手を次々と指名した。ドラフト上位と評価されていた選手も多く、高校野球ファンにとってはたまらない指名となっただろう。
もちろん高校生だけではない。3位では打撃が課題の二遊間に、長打力のある水野達稀選手を指名、また7位でも、プロでも即通用するという守備力がある上川畑大悟選手を獲得し、渡邉、石井選手も厳しい立場に追いやられる。ピンポイントの左腕・長谷川威展投手や、巨人などが高く評価していた北山亘基投手も下位で指名し、来年の戦力にも影響を与える事になる。
北海道日本ハムは2023年に新球場となる。そして今年、栗山監督の退任が濃厚となっており、吉村GMも2022年は続けるかもしれないが、そろそろ交代のタイミングとなりそうだ。最後に、北海道日本ハムらしい指名をし、栗山監督らしい、「後は頼んだよ」と言うような、大きな夢を見せてくれそうなドラフト会議となった。

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