最速149キロの速球を武器に、春季岩手大会盛岡地区予選で、3試合17回1/3を無失点に抑えている齋藤響介投手は、昨年秋に富士大進学からプロ志望に変わっていたことがわかった。
強い人たちと一緒に
齋藤響介投手は昨年夏の岩手大会で、全国屈指と評価された盛岡大付の強打線を相手に好投を見せていた。細身で大きくない体から投げられる140キロ中盤のストレートはキレも十分で、高めのストレートで空振りを奪い、低めの変化球で勝負する投球が印象的だった。
その齋藤投手は、北東北の雄で、毎年のようにプロ野球選手を輩出する富士大へ進学することを希望していた。しかし、昨年11月の進路希望調査で、「プロ野球選手になりたい」と初めて書いたという。「強い人たちと一緒に練習したり戦ってみたりしたい。もっと野球がうまくなりたいと思うようになった」と話す。
この春の盛岡地区予選では圧倒的な投球を見せる。1回戦の盛岡南戦で5回2安打10奪三振無失点、2回戦も3回1/3を投げて1安打5奪三振で無失点、そして盛岡一戦では9回を投げて7安打17奪三振で完封し、3試合で計17回1/3で32奪三振で無失点と快投を続けている。
どの試合にも多くのスカウトが詰めかけ、盛岡南戦では千葉ロッテや東北楽天など4球団が、盛岡一戦では巨人や阪神など8球団のスカウトが視察した。まだプロ向きの体になっていないが、その体から目を見張るようなストレートを繰り出すのが特徴で、その特徴を活かしながら、これからもまだまだ成長を見せてくれそうだと期待できる。
岩手では花巻東がセンバツに出場し、また盛岡大付などの強豪がひしめく。その中で「中央でも甲子園で勝ち進めると思われたい」と甲子園出場を目指し、佐々木麟太郎選手にも「内角直球で空振り三振を奪いたい」と闘志を燃やす。投球が非常に注目される。

斎藤は学校で配布される進路希望書に「富士大進学」と書き続けてきた。西武・山川ら多くのプロ野球選手を生んだ地元・岩手の名門で腕を磨くプランは、昨年11月に変わった。学校の昼休みに母・敏江さんが作ったお弁当を食べ終えると、机の中から取り出した同書に「プロ野球選手になりたい」と鉛筆を走らせた。初めて夢と向き合った瞬間だった。
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