都市対抗野球は決勝戦が行われ、ENEOSが昨年王者の東京ガスに5−4の劇的な逆転勝利を収めて優勝した。19歳の度会隆輝選手が3ランホームランを放ち、今大会5試合で4本塁打を放った。
19歳で橋戸賞
天才バッターが決勝でも火を吹いた。今大会は準々決勝のJR西日本戦で2本塁打を放つなど大活躍が目立っていた度会隆輝選手がこの日、0−4で点差の開いた6回、1アウト2,3塁の場面で打席に入ると、プロ注目右腕・益田武尚選手の149キロのストレートを鮮やかにライトスタンドに運び、1点差に追いつく3ランホームランを放った。
このホームランで勢いを盛り返したENEOSは、続く丸山壮史選手、そして小豆澤誠選手にもホームランが飛び出し、1イニング3本塁打で5−4と一気に逆転した。試合はそのまま勝利し、ENEOSが頂点に輝いた。
度会選手は今大会5試合で4本塁打、打率.429、11打点を挙げ、MVPである橋戸賞、新人賞である若獅子賞、そして最高の打者に送られる打撃賞を獲得した。大久保監督も「一番良い場面でまた打ってくれて、ただただ感心しています。本当にミラクルを起こしてくれた」と讃えた。
横浜高校では1年時にヒットを連続して打ち続け、天才打者として注目された。高校3年時にはホームランも増え、強打の二塁手として注目されるものの、プロ志望届を提出したがドラフト会議では指名されなかった。
社会人1年目の昨年はオープン戦から結果を残して高卒ルーキーでレギュラーを勝ち取ると、12月に行われた都市対抗野球でホームランを放ち、驚きを持って評価された。今年もスポニチ大会でホームランを放つなど高校卒2年目にして、来年のドラフトの目玉と注目されるようになり、今大会の4本塁打で来年の超目玉クラスになることは確定した。
この日は北海道日本ハムの坂本スカウトが視察したが、「やっぱり天才的だと思いますね。打球を遠くまで運ぶ能力がありますし、差し込まれても逆方向に落とす技術もあります。あのバットコントロールは教えてできるものではないですね」と評価、「将来的にはNPBで首位打者を狙える能力を持っていますね」と話した。
そして、「今大会で評価は上がりましたね。打撃以外でも、社会人野球に入ってから足も速くなっていますし、外野もしっかり守れている。来年のドラフト上位候補に入ってくることは間違いないでしょう」と打撃以外の部分でも成長を評価し、来年のドラフト上位候補と断言した。
言動やインタビュー、ベンチ内で先輩に対して熱く語る姿などを見ても、天才という言葉が枕詞となりそうな選手で、プロ入りすればそのチームを変えていく存在になりそうな予感がする。来年は、高校生・大学生の怪物と呼ばれる選手がいるが、度会選手も十分怪物と呼ばれる存在となりそうだ。


――今大会を通して度会選手の打撃をどう見ましたか。
「やっぱり天才的だと思いますね。打球を遠くまで運ぶ能力がありますし、差し込まれても逆方向に落とす技術もあります。あのバットコントロールは教えてできるものではないですね」

MVPの橋戸賞に加え、若獅子賞と打撃賞まで獲得。「最高でーす!絶対やってやると思ってました。思い切り打ってチームに流れを呼び込めた」とインタビューで絶叫した。元ヤクルト内野手でムードメーカーだった父・博文氏譲りの明るさ全開だった。史上最多、12度目の大会制覇を成し遂げた大久保監督も「一番良い場面でまた打ってくれて、ただただ感心しています。本当にミラクルを起こしてくれた」と声を絞り出した。


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